REVELATION DIRECTIVE[大阪杯週:2020/0404-05号]
掲載日:2020年4月3日
■開催競馬場:中山/阪神
■開催重賞:大阪杯/ダービー卿CT
■執筆担当:宇野篤
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<REVELATION RACE LIST>
■土・阪神9R
■大阪杯/ダービー卿CT
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新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、中央競馬が無観客態勢に入って1カ月余りが経過。先月3月31日までに5週30日を消化し当該期間中の売り上げは前年比13.8%減の2456億6697万200円で着地。入場料収入に依存する他のプロスポーツが、中止や無観客開催で苦境に置かれる中、競馬の底力たるや恐るべし。
度重なる自粛要請により、飲食業、ホテル業、観光業が軒並み大打撃をこうむる中、公営競技という括りから、競馬を開催していること自体に不謹慎といった声を浴びせる方々が一定数いらっしゃるようですが、昨年度だけでも約3000億円もの国庫納付金をJRAは収めています。
その大部分にあたる第一国庫納付金は、我々が購入する馬券代金の1割に充当します。
いくらネットが普及しているとはいえ、このご時世において、これだけの売上を僅か30日間で計上できる企業はごく一握りといっていいでしょう。
的外れな批判はさておき、閉塞感漂うこうした状況だからこそ、競馬の担う役割も相対的に大きくなっているのは事実です。
これは経済面に限った話ではなく、「労働」と「娯楽」の関係性を踏まえれば、至極当然の話でして、人の動きに制約が設けられた今、大切なことは肉体的な健康面とともに、メンタルヘルスといわれる「心の健康」もセットで良いコンディションを保てるよう心掛けることです。
娯楽とは、個人が純粋に楽しみで行う非労働的活動です。
もちろん、いやいや競馬をやってくれという話ではなく、今この内容をご覧いただいている方は漏れなく競馬好きの方々でしょうから、心の健康を担保する上でも、競馬を純粋に楽しんでいただきたいと思いますし、その行動によって、皆様の健康と活力を取り戻していただければ本望です。
一説によると、幸福物質とも呼ばれる脳内ホルモンの一つドーパミンは、モチベーション向上、ポジティブ思考といった作用があるそうです。
運動や筋トレをした後に、スッキリした気分になるのもこのドーパミンの効能の一つ。
他方、競馬はといえば、的中馬券をとった直後に、このドーパミンが分泌されるそうですから、是非1本でも多くの的中シーンに立ち会っていただき、週末くらいはフレッシュな気分で競馬を楽しんでいただきたいものです。
世間一般に知らされていない真実を知る側の人間として、言葉を選びながらの情報伝達となりますが、であるからこそ、今回の「Revelation Directive」を通じては、疑問を疑問のまま終わらせることなく、ご自身で調べる、考えるという行動に移していただき、最終的には知る喜び、当たる喜びという結果に結ぶつけてほしいと切に願っております。
まず、明日の阪神9R・アザレア賞について。
3歳1勝クラスの一戦でありながら、阪神芝2400mという条件で行われるというのがミソです。
普段であれば、この程度の表現に留めてしかるべきところですが、今回はより具体的にこのレースの前提を申し上げます。
・クラシックディスタンスの王道である芝2400mという条件下で
・3歳時に何よりも求められる成長力を示し
・家系の価値向上に繋げる
そうしたミッションが現に課せられている陣営が十中八九勝つレースです。
馬券の醍醐味としては、相手選びにあるといっても過言ではありませんが、今回の出走メンバーをご覧いただく中で、それぞれの家系にまで考えが及ぶ方は、まず問題ないと思います。
・サトノシャローム(父ロードカナロア)
・ハナビマンカイ(父ディープインパクト)
・ディープボンド(父キズナ)
・フライライクバード(父スクリーンヒーロー)
・スズカキング(父キズナ)
・ウインダークローズ(父ロージズインメイ)
・エイシンアメンラー(父American Pharoa)
馬名の序列は、枠の並びを参考にしたまでですが、改めて整理しますと、
・この条件に実績のあるフライライクバード
・血統背景としては通用の下地を示しているディープインパクト一族
・血統背景としては通用の下地を示せていないロードカナロア産駒、ロージズインメイ産駒、American Pharoa産駒
こうしたグループに家柄を分類した中で、豪州市場を最有力候補とする種牡馬ビジネスの動向を踏まえれば、今回のメンバー構成に落ち着いたことも合点がいくはずです。
合点がいかないとおっしゃる方に一つ。
『このレースに「補填」「救済」のキーワードが絡んでいる』
と申し上げればご理解頂けるでしょう。
この時期の芝2400m戦にシルクも社台RもサンデーRもキャロットも、もっといえば昨年の覇者を擁立したゴドルフィンまで【黙認している貴重な一戦】ですから、くれぐれもお見逃しなきようご注意ください。
さて、アザレア賞ほど大風呂敷を広げるわけにはいきませんが、同日行われるダービー卿CTについても簡単に。
アザレア賞との比較でいえば、まず特筆すべきは社台系クラブ法人の動き。
・プリモシーン(シルクR)
・クルーガー(キャロットF)
・レイエンダ(キャロットF)
・ムーンクエイク(キャロットF)
上記した4頭の内、3頭は前走の東京新聞杯で対峙したメンバーですから、おおよその力関係は把握されていると思いますが、その東京新聞杯を制したプリモシーンにまたしてもキャロットFが挑戦者の立場で臨むこの構図がミソといえます。
-----以下引用-----
■[日]東京11R:東京新聞杯
プライベートランク:☆☆☆☆☆
◎1プリモシーン
○5サトノアーサー
▲12シャドウディーヴァ
☆2ヴァンドギャルド
☆13クリノガウディー
△3モルフェオルフェ
△15ケイアイノーテック
△11キャンベルジュニア
<買い目>
指定券種:3連複F
1頭目 1
2頭目 5.12.2.13
3頭目 5.12.2.13.3.15.11
<結果>
1着◎1プリモシーン
2着▲12シャドウディーヴァ
3着☆13クリノガウディー
3連複F: 1万9730円的中[18点]
<総評>
M.デムーロ騎手が2020年の序盤は拠点を関東に移したことは誰もが知るところ。この関東移籍における目的の1つが、東京新聞杯でのプリモシーン(父ディープインパクト、母モシーン)の騎乗にあったといっても過言ではない。昨春のVM優勝馬ノームコアが昨秋富士Sも制していたが、VMでクビ差の2着だったプリモシーンにも同じ東京芝1600mでの優勝が期待されていたのが今年の東京新聞杯の舞台裏。昨秋以降、人馬ともに苦戦続きだったが、デットーリからの助言も含めて社台グループからも改めてチャンスをもらえている今は彼にとっても重要な時期。初コンビでの重賞制覇によって、さらに際立つ印象を残すことができたのではないだろうか。
-----引用終了-----
参考までに、プリモシーンが制した東京新聞杯の提供結果を全文転載した次第ですが、その東京新聞杯週を総括した「REVELATION REPORT」の場においては、全提供レースに通じる共通点があったことを松井本人が包み隠さず言及しています。
-----以下引用-----
10本の提供レースの内訳は「芝9本」「ダート1本」。
その芝のレース9本に対しての当会の◎本命馬は、、、
全て「ディープインパクト産駒」という大きな偏り。
そして唯一のダート競走アルデバランSに関しても「ハーツクライ産駒丼」という指名。
おそらく、過去の「Stallion Parade(種牡馬展示会)」ウィークでもここまでの偏りを見せることはなかったわけですが、
1、パラダイムシフトの真っ只中である
2、昨年のディープインパクトの急逝
このあたりの影響が色濃く出た年であると申し上げてよいのでしょう。
◎ライティア【2着】
◎プリモシーン【1着】
◎サトノラディウス【1着】
◎サトノソロモン【1着】
◎リリーピュアハート【1着】
◎ウーリリ【1着】
◎ランブリングアレー【1着】
◎ハナビマンカイ【1着】
◎アルジャンナ【3着】
と、指名した全ての「ディープインパクト産駒」が[7:1:1:0]という成績で馬券圏内に好走。
-----引用終了-----
文中にもございますが、開催週単位でここまで大きな偏りをみせた週というのはそうそうないわけでして、それと同様にディープインパクト産駒を暗に本命にしますということをこの場で示唆したいわけではありません。
プリモシーンを前走の東京新聞杯で擁立するに足る状況であった事実を押さえ、その上で、東京新聞杯と同様に、ディープインパクト産駒を擁立することで、相対的に評価を落とす出走馬が必ず浮上するということを念頭に置いていただきたいのです。
ともすれば、今年のアザレア賞の内容をご覧いただいた後でも遅くありません。
ディープインパクト産駒を擁立することで、相対的に評価を落とす出走馬とは、いかなる属性の出走馬にあたるのか、今回のダービー卿CTに置き換えてお考えください。
最後に、今週の注目GI「大阪杯」について。
ご承知の通り、大阪杯がGI競走に昇格されて今年は4年目にあたります。
2017年 キタサンブラック
2018年 スワーヴリチャード
2019年 アルアイン
上記3頭は単に大阪杯の優勝馬ということだけでなく、いずれも種牡馬入りを果たしているというのが、大阪杯のミソです。
・社台スタリオンステーション
キタサンブラック(父ブラックタイド)
スワーヴリチャード(父ハーツクライ)
・日高ブリーダーズスタリオンステーション
アルアイン(父ディープインパクト)
さて、種牡馬入りといえば、当然、対象は種牡馬に限られるわけですが、今年の大阪杯には、GI昇格後2018年のスマートレイアー以来となる牝馬が出走を予定しております。
サンデーRのクロノジェネシス、ラッキーライラックがそれに該当します。
昨年はアーモンドアイがVマイルではなく、安田記念への参戦を表明したことで、順当にVマイルに向けた使い分けがなされたわけですが、サンデーRのクラブ事情として、高松宮記念2着のグランアレグリアをVマイルに使う以上、クロノジェネシスとラッキーライラックは大阪杯で頑張ってほしいという気概は十分理解できる状況かと思います。
・過去3年の優勝馬は例外なく種牡馬入り
・過去3年の歴史の中で、人気を背負う立場としては初となる牝馬2頭の参戦
ここまでの話を整理すると、大きく二つに集約することができます。
そして、本来であればC.ルメール騎手が騎乗予定であったダノンキングリーをはじめ、全12頭中ちょうど半数にあたる6頭がディープインパクト産駒という顕著な偏りをみせる今年の大阪杯。
ある人物からみれば実に微笑ましい出走態勢が整ったといえるのではないでしょうか。
先週の高松宮記念では、何とも後味の悪い結果となってしまいましたが、大阪杯を筆頭に、知る喜び、当たる喜びを一人でも多くのメンバー様と分かち合える週末にしたいと思っております。
そういった意味でも、明日のアザレア賞、おおいにご期待ください。
JTTC-日本競走馬育成評議会
内部監査室長
宇野篤