REVELATION DIRECTIVE[桜花賞週:2020/0411-12号]
掲載日:2020年4月10日
■開催競馬場:中山/阪神/福島
■開催重賞:桜花賞/阪神牝馬S/NZT
■執筆担当:松井彰二
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<REVELATION RACE LIST>
■クイーンエリザベスS(豪州)
■ニュージーランドT
■忘れな草賞
■桜花賞
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今週の真実追求コラム「REVELATION DIRECTIVE」は松井が担当させて頂きます。
まず、予め申し上げなければならない事として、「今、馬券購入することは、まさしく正である」という事。
この緊急事態宣言下における大きな経済支援であり、国庫納付金を納め国の財源を下支えするという意味では、許されている活動では普段どおり、否、普段以上に経済活性に協力すべきであり、それこそがホースマンシップであると確信しております。
世界的な補填競馬が動き出してからわずか3週ほどではございますが、今週は世界でも数少ない競馬開催続行国である「日本」と「豪州」に着目し、コラムを展開してまいります。
人・馬ともに厳しい検疫にさらされる中、渡豪したダノンプレミアム。
クイーンエリザベスSといえば、2017.2018.2019とウィンクスが3連覇したレース。
昨年は、先週のダービー卿CTにて当会が◎指名したクルーガーが2着に食い込だレースとして、日本でも馴染み深くなった「豪州の中距離GI」です。
そうです。
しっかりと連動しているわけです。
なぜ、先週のダービー卿CTにて「◎クルーガー」となったのか。
ノーザンFの意向が大きく働いていることは言わずもがなでありますが、その上で、
生産者:ケイアイファーム
馬主:ダノックス
のダノンプレミアムが「ノーザンF」が今後の拠点を築こうと躍起になっている豪州の地へ、なぜ、わざわざこのコロナ騒動の渦中に遠征しているのか。
ドバイが中止になり、アーモンドアイが日本国内に専念となれば、マイル戦線においても中距離戦線においても、ダノンプレミアムが勝てる可能性が少ないという背景はもちろんのこと、それでも、なぜ「豪州なのか」という点において、誰も口にしない一つの真実があるわけです。
外枠が圧倒的に不利と言われるランドウィック競馬場にて、この様なゲートが割り振られたこと。
レイティング順
※牝馬にはアローワンスポイントで4ポンド加算した順位
1位:ベリーエレガント[2番]
1位:メロディーベル[4番]
3位:アデイブ[1番]
3位:ダノンプレミアム[3番]
上記馬名末尾に記載した番号が[ゲート番]となるわけですが、なんとも[人の手が加わっているかのような]割り振りなわけですが、なぜこのような事がことが起こるのか。
レーティングは、アローワンスを加えたNZ産の牝馬2頭が1位。
海外から遠征してきているアデイブとダノンプレミアムの牡馬2頭が3位。
もちろん日本とは文化も競馬の歴史も異なる豪州の地での競馬ですから、日本の常識は通用しませんし、このゲート番が即ち[仕込まれたものである]という話をしたところで、そもそも
[仕込む目的]
が、日本と豪州では違うわけです。
ただ、今回のケースは異質。
もちろん、それは世界中がコロナウィルスに汚染されてしまっているという背景の中で行われる豪州GIであるということと無関係ではありません。
豪州のTOPジョッキーであるD.レーン騎手が日本で[2週間の隔離生活]を余儀なくされながらも日本に入国している裏で、ダノンプレミアムが豪州に行くことの価値を、ノーザンFの思惑抜きに語ることは出来ないわけです。
更に申し上げれば、このクイーンエリザベスSと土曜日中山で行われるニュージーランドTが「無関係とは言えない背景」で結ばれるわけです。
NZTに出走するノーザンF生産馬は以下の4頭。
・ペールエール
・ルフトシュトローム
・アブソルスティスモ
・シーズンズギフト
ですが、とりわけ目を引くのが[ルフトシュトローム]の存在でしょう。
父キンシャサノキセキは、御存知の通り[豪州産]。
では、NZTで勝つのは「ルフトシュトローム」なのか?
と言われれば、仮にそうだとしても、そうでなかったとしても、「背景はそれほど単純ではない」ということを申し上げなければなりません。
ここでお伝えしておきたいことは、「どの様な救済の絵図が書かれているか?という意味でのクイーンエリザベスSとの繋がり」であるわけですが、クイーンエリザベスSに出走している北半球の馬は、
ダノンプレミアム(JPN)
アデイブ(GB)
この2頭。
あとは、地元豪州とニュージーランドの生産馬によるレースなわけです。
アデイブの出走により、英国、愛国のホースマンの目線はこの週豪州に寄ることは間違いありません。
もちろん、競馬開催が中止されている国からすれば、開催されている国への視線は今非常に高まっているわけです。
その意味で、日本の競馬、豪州の競馬は今、世界の注目の的。
その同日に、日本ではニュージーランドTが施行されるわけです。
世界の注目を集めている豪州からニュージーランドTに目線を向けてもらうことのために「ルフトシュトローム」の出走があるということは隠し立てする必要もないでしょう。
日本でも「日本生産馬が海外で活躍すること」に関しては、NEWSに取り上げられます。
キンシャサノキセキ産駒のルフトシュトロームが出走するか否かで、豪州はもちろん、各国からの注目度は大きく変わるわけです。
その様な背景がある中でのルフトシュトロームの出走であり、「ディープインパクト産駒が1頭も出走していない重賞」という構図。
まさに、そこがツボ。
この構図をご覧になり、私の解説を聞かずとも「NZTにて何かが仕込まれているのでは?」という視点を持てるようになってきて下さっているとすれば、JTTCのメンバーの皆様の「目利き度」が抜群に上がってきている証拠でございます。
クイーンエリザベスSとニュージーランドTがどの様な背景で結ばれているのか?を想像しながら、レースをお楽しみ頂ければ幸いです。
さて、「日本と豪州」の繋がりだけでなく、日本の「牝系」に関しても今週は重要なレースがございます。
桜花賞と忘れな草賞でございます。
阪神牝馬Sに関しては、プライベートギフトにて情報公開させていただきますので、この場で触れることは致しませんが、「桜花賞と忘れな草賞」に関しては、共に同世代牝馬の戦いでありますし、視点をぐぐっと先まで広げて頂ければ、「オークス」に向けた前哨戦と捉えることも出来るわけです。
特に忘れな草賞の露骨な出走メンバーの偏り。
<ディープインパクト産駒>
・ヴィースバーデン
・キングスタイル
・ライティア
・リリーピュアハート
<キズナ産駒>
・アカイイト
・ジャルジェ
・ルーチェデラヴィタ
と、出走10頭中「ディープインパクト系」が7頭を占めているレース。
NZTに関してはほぼ出走の意志すら感じさせなかった「ディープインパクト系」ですが、こと、牝馬路線となるとその様相は一気に変わってまいります。
方や、桜花賞に関して言えば
<ディープインパクト産駒>
・スマイルカナ
・サンクテュエール
・リアアメリア
・インターミッション
・マジックキャッスル
・ミヤマザクラ
<キズナ産駒>
・マルターズディオサ
・フィオリキアリ
と、出走馬18頭中8頭が「ディープインパクト系」となっており、忘れな草賞ほどの偏りではございません。
ちなみにご存知の方も多いかも知れませんが、桜花賞の過去15年を振り返りますと、
「社台グループ生産×クラブ法人所有(社台オーナーズ所有含む)」
の馬が、15年中「13回」馬券圏内に来ているわけです。
ちなみに、上記の条件に当てはまらない年も「アパパネ」「ダイワスカーレット」といった馬が勝利しています。
何が申し上げたいか?
社台グループにとって「繁殖として自牧場に戻ってくる馬を上位に入線させている」という視点が浮かび上がってくるわけです。
金子真人オーナー
故・近藤利一オーナー
大城敬三オーナー
など、社台グループと親しいオーナーであれば、引退後も社台グループの繁殖として自らの牧場に戻ってくるわけですが、社台グループと繋がりの薄い個人オーナーであれば、いくら社台グループの生産馬であっても、オーナーサイドの意向が働き、可愛がっている非社台牧場にて繁殖入りさせるケースも出てくるわけです。
牝馬こそ、牧場の重要な資産であり、宝。
その視点で、
「桜花賞のブラックタイプ」
の価値を考えていただきたいのです。
これは、牝馬にとっては非常に大きな「価値」となることは、ご理解頂けるでしょう。
この「牝馬にとって重要な桜花賞のブラックタイプ」を如何に独占しつつ、ブラックタイプを獲得したその牝馬を如何に自らの牧場に繁殖牝馬として戻すか。
牧場運営という視点で見れば、そこが一番の重要課題であるわけです。
その上で、本年の出走馬から「社台G生産×クラブ法人所有」の馬をピックアップさせて頂ければ、
・サンクテュエール
・リアアメリア
・マジックキャッスル
・レシステンシア
とこの4頭が浮上するわけです。
また、社台グループに戻ってくるという意味では金子真人オーナー所有の
・ミヤマザクラ
も確実にノーザンFでの繁殖入りとなるわけですから、同じ括りに含まれるわけです。
しかしながら、本年は「異質な馬」が1頭存在しております。
それが「デアリングタクト」でございます。
15年前の桜花賞で3着に入線した「デアリングハート:社台F生産/社台RH所有」。
その子供が「デアリングバード:社台F生産/社台RH所有」。
このデアリングバードが2014年の繁殖セールにて長谷川牧場に購買され、その子馬をノルマンディーサラブレッドクラブが「セレクトセール」にて購入。
社台グループの牝系から派生した馬であり、それが繁殖セールを経て流出。
そこに、社台SSにて繋養している「エピファネイア」が種付けされたことでセレクトセールに上場させ、そこでノルマンディーサラブレッドクラブが購買。
一見、捻れに捻れたように見える「この流れの裏の意図」をどう読み解くか?
「敵対」なのか、「共存」なのか、それとも「新たな価値創造」への布石なのか。
ここが本年の桜花賞の肝と言っても過言ではなく、正に、クラシックに浮上する様々な思惑の象徴とも言える背景が存在するわけです。
その桜花賞から、逆算して忘れな草賞を垣間見た際に、マイネル、ウイン、ノルマンディ、いわゆる「岡田軍団」の存在が見え隠れしているわけです。
デアリングタクトにまつわる背景の一部が、忘れな草賞のウインマイティーに及んでいる、といえばもう少し分かりやすいかもしれませんね。
これ以上は、この場でお伝えするわけには参りませんが、
クイーンエリザベスSとニュージーランドT。
桜花賞と忘れな草賞。
バラバラのレースとして捉えるのではなく、それぞれ「対になったレース」との比較で、レースを楽しんで頂ければ幸いです。
今週のREVELATION DIRECTIVEはここまで。
冒頭にも記述いたしましたが、今は、ホースマンとしての矜持を見せなければならない時期。
無観客とは言え競馬開催が行われていることに感謝し、しっかりと貢献させていただくだけでなく、収益を手に乗せて参りましょう。
それでは、今週もよろしくお願いいたします。
JTTC-日本競走馬育成評議会
プライベートサロン統括本部長
松井彰二