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REVELATION DIRECTIVE[皐月賞週:2020/0418-19号]

■開催競馬場:中山/阪神/福島 ■開催重賞:皐月賞/アンタレスS/アーリントンC/中山グランドJ ■執筆担当:宇野篤 ------------------------------------- <REVELATION RACE LIST> ■日・中山12R ■皐月賞/アンタレスS ------------------------------------- ここまで二転三転あったものの、無事今年も短期免許取得に至ったD.レーン騎手。 立場こそ異なりますが、先月より短期免許を取得したR.ヒューイットソン騎手とともに「南半球」の競馬界を牽引する若武者二名が今週末の中山開催に揃って参戦。 レーン騎手が騎乗するサリオスは皐月賞でも三強の一角を占める存在ですから、ここに至るまでの間、様々な情報を皆さま耳にしている事と存じますが、我々JTTCが持つ皐月賞に対する大枠のイメージは先日の「皐月賞大全」に記したとおりです。 第一章:トライアルで権利をとった馬の露骨な回避では、 “わずか18頭しか皐月賞に出走することができないにも関わらず、皐月賞に出走しないという選択は、その馬の利権に関わっているものからすれば、理不尽という不満が出てもおかしくない。もちろん、例えそのような軋轢が生じていたとしても表に出るような話ではないだろうが、人為的に犠牲になることがあれば、もちろん補償に代わるような企てがないわけではない。” とする前提を述べた上で、 “皐月賞を回避した、オーソリティ(木村哲也厩舎)、サクセッション(国枝栄厩舎)、アドマイヤビルゴ(友道康夫厩舎)に代わり、ダーリントンホール(木村哲也厩舎)、サトノフラッグ(国枝栄厩舎)、マイラプソディ(友道康夫厩舎)、ラインベック(友道康夫厩舎)を出走させている事実を見逃してはならない” とする忠告も。 事実、ゴドルフィンのダーリントンホールを除けば、いずれもノーザンファームの生産馬ですから便宜上の調整が入ったことは明らかであり、騎手の貸し借りという言葉からも推察いただけるとおり、ノーザン包囲網が敷かれた中での一戦であることは間違いありません。 物議を醸した弥生賞2着馬ワーケアの皐月賞回避の一件ですら、今となってはC.ルメール騎手がサトノフラッグとのコンビで臨むという既成事実に落ちついたわけですが、そろそろ大衆の競馬ファンも目を覚ますべきでしょう。 有力馬の土壇場での皐月賞出走回避と有力騎手の乗り替わりが同時多発的に巻き起こった前代未聞の皐月賞が今週末まさに行われようとしてることを。 また、第二章においては主にコントレイル、コルテジア、ディープボンドを擁立するノースヒルズ軍団のこれまでの軌跡と育成方針の「変化」に言及しています。 日本ダービーまで計6戦を要したキズナとここまで3戦のコントレイルのローテーションを踏まえれば、その「変化」は明確といえる状況にあります。 昨年こそ、サートゥルナーリアがホープフルS以来のぶっつけ本番で満額回答を得たわけですが、ご存知の通りこちらはノーザンファーム生産馬。 そのローテーションをまさかノースヒルズが踏襲してくるとは、思ってもみなかったでしょうが、昨年末にはサリオスで朝日杯FS制覇、コントレイルでホープフルS制覇とここまでは両者の思惑が一致していたわけです。 しかし、事態は急展開を迎えます。 第三章:サリオスの皐月賞直行発表の裏側では、 “無傷の3連勝でのGI制覇という成績からも、この春のローテーションが最も注目されていたわけだが、トライアルシーズンギリギリまで、発表されることはなかった。マイル路線に行くのか、クラシックに挑むのか。皐月賞直行を発表したのは、弥生賞週の水曜日3月4日のことである。” この、「発表されることはなかった」という言い回しからもご理解いただけると思いますが、3月4日はあくまで出資会員に向けた告知日であり、ギリギリまで発表を待った陣営サイドの内情に先週のニュージーランドTを制したルフトシュトロームの存在があげられることもまた皐月賞大全に記されていた通り。 奇しくもサリオス、ルフトシュトロームはともに美浦・堀厩舎の管理馬であると同時に、堀師はD.レーン騎手の身元引受調教師も務めています。 実際、来日初週にあたる中山開催では、計5頭の管理馬をD.レーン騎手に託している堀厩舎。 皐月賞直後の中山最終レースには、サリオスの調教パートナーを務めたフォルコメンとのコンビで参戦予定。 さらりと書いてしまいましたが、この中山最終レースは「REVELATION RACE LIST」の対象レースとして明記しているように、皐月賞大全に記されていた「貸し借り」「代償」の実態を踏まえ、当事者への「補填」「救済」という観点から成立するに至った非常に重要な一戦です。 ・エクセランフィーユ(サンデーR) 父:Frankel 母:エクセレンス2 管理厩舎:木村哲也 騎手:M.デムーロ ・フォルコメン(社台RH) 父:ヴィクトワールピサ 母:イマーキュレイトキャット 管理厩舎:堀宣行 騎手:D.レーン ・レッドサイオン(東京HR) 父:ロードカナロア 母:レッドベルフィーユ 管理厩舎:藤沢和雄 騎手:C.ルメール ・レッドレグナント(東京HR) 父:ロードカナロア 母:エンプレスティアラ 管理調教師:大竹正博 騎手:武藤 雅 本レースには、フォルコメンをはじめ社台G系クラブ法人から「4頭」がエントリーしていますが、フォルコメンの復帰初戦となった前走の出走メンバーと見比べていただければ、明らかに出走メンバーの「構図」が一変している様が読み取れるはずです。 その意味で、1つだけキーワードを掘り下げるとすれば、 ・前走ルメール騎手が騎乗していたフォルコメンに「D.レーン騎手」 ・そのルメール騎手は前走ヒューイットソン騎手が騎乗していた「レッドサイオン」に騎乗 ・そしてニシノの田辺騎手は連続騎乗で、ダノンは津村騎手を配置し、スマートはお約束の武騎手、エクセランフィーユは騎乗経験のある丸山騎手ではなくM.デムーロ騎手で、その丸山騎手はロフティフレーズ。 「なるほど」と唸ってしまう見事な采配をしてきたと言えますが、これ以上言及することは許されません。 その上で、『このレースに「補填」「救済」のキーワードが絡んでいる』と明言しているわけですから、皐月賞大全の内容と、皐月賞の直後に行われるレースという「タイミング」でもってお察しください。 最後に、今週の注目重賞の一つ「アンタレスS」について。 ご承知の通り、皐月賞の裏開催にあたるわけですが、ここでも対ノースヒルズの構図を形成してきた社台G系クラブ法人。 <ノースヒルズ> ・クリンチャー 父:ディープスカイ 母:ザフェイツ 管理厩舎:宮本博 騎手:石橋脩 ・アングライフェン 父:ステイゴールド 母:レッドスレッド 管理厩舎:安田隆行 騎手:藤井勘一郎 <社台G> ・ベストタッチダウン 父:タートルボウル 母:タッチザピーク 管理厩舎:橋口慎介 騎手:川田将雅 ・ウェスタールンド 父:ネオユニヴァース 母:ユーアンミー 管理厩舎:佐々木晶三 騎手:藤岡佑介 アンタレスSといえば、タフなコース形態として知られる中山競馬場に比べ、純粋な速力が問われる阪神ダート1800m戦とあって「サンデー系種牡馬」の活躍が目立ちます。 そうしたコース適正を見越した上で、現在リーディング首位の川田騎手とベストタッチダウンを、クリンチャー、アングライフェンにぶつけてくるあたり、皐月賞同様の「気概」を感じてしまうのは私だけではないはずです。 その証左に、ベストタッチダウンがグリーンウッドからトレセンに帰厩した直後の初時計は栗東坂路で「4F 54.4」を計時。 しがらき帰りのウェスタールンドの初時計が同じ栗東坂路で「4F 57.0」ですから、その差は歴然。 また、そうした対立構図をよそに、ここにある「共通の目的」をもって送り出された出走馬が2頭います。 ノルマンディーTRのアナザートゥルースと松本オーナーのメイショウザワシです。 アナザートゥルース、メイショウワザシの父「アイルハヴアナザー」といえば、2012年にビッグレッドファームが総額11億2000万円で購入し、有志によるシンジケートを結成。 2013年から2018年まで5年間供用していた経緯を有しますが、さて、このシンジゲートが成功を収めたか否か、という観点で捉えていただくと、おおよその経緯は掴めるはずです。 ビッグレッドファームの代表者を務めるのは岡田繁幸の奥様となりますが、実権を握っているのはもちろん繁幸氏であり、同じく日高地方で岡田スタッドを経営する繁幸氏の実弟牧雄氏の傘下にあるノルマンディーサラブレッドレーシング。 また、日高の救世主として今尚数百頭という持ち馬を所有する松本オーナーも馬主という職域を超えて関与しているアイルハヴアナザーを巡る思惑。 デアリングタクトで桜花賞を制した直後というタイミングでもありますし、皐月賞の舞台裏の攻防、そして皐月賞直後の救済レースも含めてもれなくお楽しみください。 本日も最後までご覧いただいたメンバー様、誠に有り難うございました。 JTTC-日本競走馬育成評議会 内部監査室長 宇野篤