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REVELATION DIRECTIVE[ユニコーンS週:2020/0620-21号]

■開催競馬場:東京/阪神/函館 ■開催重賞:ユニコーンS/函館SS ■執筆担当:吉田晋哉 ------------------------------------- <REVELATION RACE LIST> ■ユニコーンS ■函館SS ------------------------------------- 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 JTTC種牡馬部門担当の吉田晋哉です。 今週もGIの谷間となりますが、次週はいよいよグランプリGI宝塚記念が行われます。 また、プライベートサロン統括本部長の松井、内部監査室長の宇野が揃って北海道に赴いているように、生産界にとっての重要な夏セリが刻一刻と近づいてきております。 来月13日、14日に行われるセレクトセール2020については、先週の「REVELATION DIRECTIVE」で触れましたので、今週は深く掘り下げるつもりはございませんが、いま各クラブ法人は新規募集戦略の渦中にあることはご存知でしょうか。 今月8日より、サンデーレーシング、社台レースホース、G1レーシングといった社台グループ系クラブ法人の新規出資申込受付がスタート。 本日6月19日時点での上位人気は、 ◆サンデーレーシング 1位 トゥリフォーの2019(父ドゥラメンテ) 2位 ラヴズオンリーミーの2019(父ディープインパクト) 3位 アイルビーバウンドの2019(父オルフェーヴル) ◆社台レースホース 1位 ダイワスカーレットの2019(父ロードカナロア) 2位 カトマンブルーの2019(父オルフェーヴル) 3位 フリアアステカの2019(父イスラボニータ) このように、知る側の立場から見れば、総じてクラブサイドの思惑通りの反響数が寄せられていることが分かります。 特筆すべきは、サンデーレーシングの2位、3位、これはあまりにも露骨すぎる反響数として見るべきではないでしょうか。 阪神11R 鳴尾記念 1着注パフォーマプロミス(母アイルビーバウンド) 2着◎ラヴズオンリーユー(母ラヴズオンリーミー) サンデーレーシングが誇る二冠馬ドゥラメンテの仔で、そのドゥラメンテを管理していた堀宣行厩舎に預託予定のトゥリフォーの2019が人気になるのは当然として、鳴尾記念の上位2頭の弟に人気が集まるのは、競走部門における宣伝効果がまざまざと反映されたものとして捉えています。 また、社台レースホースは、先日訃報があった大城敬三氏が所有していたダイワスカーレットの仔が初めてクラブで募集されるということもあり、人気が殺到するのも当然でしょう。 東京11R エプソムC プライベートランク:☆☆☆☆☆ 1着☆ダイワキャグニー(馬主:大城敬三) 2着◎ソーグリッタリング(馬主:社台レースホース) 馬連1万2210円的中 先週末行われたエプソムCの決着は社台ファームにとっても、大城氏周辺にとっても、JTTCにとっても、また馬券的観点からも、望むべき結果であったことは言うまでもありません。 社台系の3大クラブ法人の新規募集はすでにスタートしているわけですが、 ◆キャロットファーム 9月上旬予定 ◆シルクレーシング  7月上旬予定 馬主リーディングで上位に君臨し続けているノーザンファーム提携のクラブ法人の新規募集スケジュールはこのようになっています。 先にシルクレーシングの募集が始まるわけですが、鳴尾記念がサンデーレーシングの新規募集の影響による決着だったように、シルクレーシングの新規募集に関連するレースがどこで行われることになるのか。 これからの競馬開催では、「シルク」というアンテナを張っておくのも良いでしょう。 それでは、早速今週の競馬開催の話に移ります。 多分に漏れず、この場では触れられないレースも複数ございますが、なんとか「ユニコーンS」と「函館SS」の2重賞については、掲載許可がおりました。 まずは、3歳ダート重賞の「ユニコーンS」について。 パラダイムシフトの渦中に行われる今年の「ユニコーンS」は、昨年までとは決定的に異なることがいくつかあります。 そのうちの1つが種牡馬構成。 そして、米国のケンタッキーダービーとの関連性です。 まずは種牡馬構成についてですが、1頭の種牡馬に対して、許された産駒の出走は「1頭のみ」に限られているということに着目ください。 率直に申し上げれば、出走馬選定の時点から「統制されている」ということが一目瞭然といえます。 今年のユニコーンSの出走馬の背景をご覧ください。 ------------------------------------- 1枠1番<デュードヴァン> 父Declaration of War(デクラレーションオブウォー:米国産) 1枠2番<マカオンブラン> 父Turtle Bowl(タートルボウル:愛国産) 2枠3番<ラブリーエンジェル> 父Casino Drive(カジノドライヴ:米国産) 2枠4番<アポロアベリア> 父Apollo Sonic(アポロソニック:米国産) 3枠5番<レッチェバロック> 父Uncle Mo(アンクルモー:米国産) 3枠6番<ケンシンコウ> 父Pyro(パイロ:米国産) 4枠7番<サンライズホープ> 父Majestic Warrior(マジェスティックウォリアー:米国産) 4枠8番<オーロラテソーロ> 父Malibu Moon(マリブムーン:米国産) 5枠9番<メイショウベンガル> 父Kurohune(クロフネ:米国産) 5枠10番<サトノラファール> 父Gold Allure(ゴールドアリュール:日本産) 6枠11番<サンダーブリッツ> 父Kinshasa no Kiseki(キンシャサノキセキ:豪州産) 6枠12番<キッズアガチャー> 父Victoire Pisa(ヴィクトワールピサ:日本産) 7枠13番<タガノビューティー> 父Henny Hughes(ヘニーヒューズ:米国産) 7枠14番<フルフラット> 父Speightstown(スパイツタウン:米国産) 8枠15番<キタノオクトパス> 父Fenomeno(フェノーメノ:日本産) 8枠16番<カフェファラオ> 父American Pharoah(アメリカンファラオ:米国産) ------------------------------------- 出走馬16頭の馬名、父(種牡馬)を枠順に沿って並べたわけですが、[米国出身の種牡馬]が占める割合が多いというところは1つのポイントです。 名を連ねる種牡馬16頭のうち、11頭が米国産。 また出走馬選定という観点からは、「消えた2頭」の存在について触れないわけにはいきません。 最終的に非当選で出走が叶わなかったスリーグランド(父シニスターミニスター:米国産)のことではありません。 デュードヴァンが勝った青竜Sにも出走していた2頭。 青竜S 2着ダノンファスト(父キングカメハメハ:日本産) 7着フォーテ(父ロードカナロア:日本産) この2頭が、ユニコーンS出走候補馬から、消えたのです。 正確には、「消された」、「追いやられた」と言うべきかもしれません。 ダノンファストは、7月8日に大井競馬場で行われるジャパンダートダービーに出走予定。 一方のフォーテは、今週日曜日の阪神12R(ダート1200m戦)に出走します。 キングカメハメハ産駒、ロードカナロア産駒のこの2頭が、ユニコーンS出走候補馬から、追いやられたという事実。 また芝の活躍馬が多いとはいえ、ディープインパクト産駒もユニコーンSには存在しないのです。 「ある目的を果たすために、不要な存在は事前に追いやっておく」 競馬の世界だけではなく、世の中ではこのような「根回し」は日常茶飯事に行われておりますので、政治的な圧力がどう働いているのかについては、メンバーの皆様もある程度は想像いただけるでしょう。 今年の出走馬の構成は、米国産馬の割合が多いということは先述した通りですが、ユニコーンSの近年の傾向としては、サンデーサイレンス系の血が入っている馬が6年連続で優勝している重賞であることも触れておきます。 過去6年の優勝馬一覧 ------------------------------------- 2014年 レッドアルヴィス 父ゴールドアリュール(その父がサンデーサイレンス) 2015年 ノンコノユメ 母の父アグネスタキオン(その父がサンデーサイレンス) 2016年 ゴールドドリーム 父ゴールドアリュール(その父がサンデーサイレンス) 2017年 サンライズノヴァ 父ゴールドアリュール(その父がサンデーサイレンス) 2018年 ルヴァンスレーヴ 母の父ネオユニヴァース(その父がサンデーサイレンス) 2019年 ワイドファラオ 母の父アグネスタキオン(その父がサンデーサイレンス) ------------------------------------- 過去6年はサンデーサイレンスの血が勝ち続けてきたユニコーンS。 そして今年は米国産まれの種牡馬の仔が11頭出走。 これらの事実も踏まえた上で、1つ考えなければならない「課題」は、世界の高額賞金が設定されているGIはダート戦が主流になっている中で、日本の主要なダートGIには海外の馬が近年は参戦してきていないということ。 単純な比較をすれば、世界のダートは土、一方で日本のダートは砂。 このような違いもあるため、馬場への対応など外国調教馬にとっては日本のダートに適応することは難易度が高いということもあります。 世界のダートの潮流と日本のダートの潮流をどのようにして融合していくのかは、いま日本の競馬界が克服していかなければならない課題。 変わらなければならない、変えなければならない岐路に私どもは立たされているのです。 またケンタッキーダービーとの関連の件についても触れておきましょう。 今年はコロナウイルスの影響によって、例年であれば5月上旬に行われている米国のケンタッキーダービーの開催が9月5日(土)に延期。 それに伴い、今年に限りユニコーンSとジャパンダートダービーの2レースが「JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY」の対象レースに加わりました。 カトレア賞 1着10pt 2着4pt 3着2pt 4着1pt (1着デュードヴァン) 全日本2歳優駿 1着20pt 2着8pt 3着4pt 4着2pt (1着ヴァケーション) ヒヤシンスS 1着30pt 2着12pt 3着6pt 4着3pt (1着カフェファラオ) 伏竜S 1着40pt 2着16pt 3着8pt 4着4pt (1着ヘルシャフト) ユニコーンS 1着40pt 2着16pt 3着8pt 4着4pt (6月21日開催) ジャパンダートダービー 1着40pt 2着16pt 3着8pt 4着4pt (7月8日開催) 「JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY」とは、対象レースにおける着順でポイントを争い、累積のポイント上位の馬がケンタッキーダービーに出走できるという制度。 世界との交流の場面には、「レーティング」というものがつきものです。 ダービー週に松井執筆によるREVELATION DIRECTIVEの中で、 「レーティングコントロール」 というコードネームの話も出ておりましたが、今年のユニコーンSもまた「レーティング」を意識すべきレースということです。 米国競馬には、2歳ダートGIの「BCジュベナイル」というレースがあります。 ブリーダーズカップ(BC)は米国競馬の祭典となるわけですが、その祭典における2歳ダートGIに出走していたのが、ユニコーンSに出走するフルフラットです。 武豊騎手の手綱で5着だったフルフラットは、2月末のサンバサウジダービー優勝以来の帰国初戦が今回。 しかしながら、今回手綱をとるのは武豊騎手ではなく田中勝春騎手。 他にも、 デュードヴァンが、川田将雅騎手→M.デムーロ騎手。 カフェファラオは、M.デムーロ騎手→D.レーン騎手。 このようなあからさまといえる乗り替わりが敢行されています。 2019年の米国2歳GI「BCジュベナイル」出走馬のフルフラット。 米国ダートGI・8冠馬American Pharoah産駒のカフェファラオ。 ケンタッキーダービー馬ナイキストを輩出したUncle Moを父にもつレッチェバロック。 木幡巧也騎手に託されるMalibu Moon産駒の逃げ馬オーロラテソーロ。 このような4頭の外国産馬が名を連ねる今年のユニコーンSとなるわけですが、世界のダート競馬と日本のダート競馬を融合させていく上で、パラダイムシフトの渦中にある今、どのような決着となることが理想なのか。 今回触れたことを踏まえて、ユニコーンSの決着をぜひ想像してみてください。 続いて、サマースプリントシリーズ初戦の「函館SS」。 ユニコーンSに出走するフルフラットの海外遠征時に手綱をとっていた武豊騎手が、今週は土日ともに函館に参戦します。 ユニコーンSのフルフラットではなく、函館SSに出走するロードカナロア産駒のダイアトニックに騎乗。 これは3月末の高松宮記念直後にコンビ結成が決まっていましたので、4月の時点で準備されていた話です。 ユニコーンSとの兼ね合いという点では、大野拓弥騎手についても言及すべきでしょう。 過去10戦中6回手綱をとったことがあるオーロラテソーロではなく、今回は函館SSに参戦するマリアズハートに騎乗。 デビューしてから葵S以外すべてで手綱をとっており、通算4勝と相性抜群のコンビですので、この馬の手綱を離したくないのは当然。 マリアズハートはオークス馬デアリングタクトを擁するノルマンディーサラブレッドクラブが所有する4歳牝馬で米国産馬。 今年の函館SSは、3頭の外国産馬が参戦することもまたレースの価値を引き立てる要素です。 ・マリアズハート ・シヴァージ ・フィアーノロマーノ ユニコーンSは同一馬主の複数頭出しは行われない一方、函館SSは異なります。 ノルマンディーサラブレッドクラブ ・マリアズハート ・アリンナ シルクレーシング ・スイープセレリタス ・ダイアトニック ゴドルフィン ・ティーハーフ ・ライトオンキュー これらを含む16頭立てでメンバーが集められた今年の函館SS。 函館関係者にとってみれば、昨年の函館SSが禁止薬物問題の影響で結果的に7頭立てのレースになっていたわけですので、今年は昨年の分の屈辱という意味でも豪華な一戦にしたいという思惑があったことは想像に容易いはずです。 函館関係者を象徴するようなレースが先週もありましたね。 函館12R:洞爺湖特別 プライベートランク:☆☆☆☆ 1着○マイネルズイーガー 2着◎オーロラフラッシュ 馬単2350円的中 レースを終えて、見解の公開許可がおりましたので、洞爺湖特別のレース見解を再掲致します。 ------------------------------------- <見解>を再掲 ------------------------------------- 日本中央競馬会 (JRA) に所属する調教師によって組織されている業界団体「一般社団法人日本調教師会」の初代会長を務めた尾形藤吉。 現役時は11戦無敗のクリフジ(JRA顕彰馬)など数多くの名馬を手掛けただけでなく、多くのホースマンを門下生として従え、尾形から連なる系図には武豊の師匠にあたる武田作十郎ほか、シンボリルドルフの管理調教師野平祐二等が名を連ねる。 当該レースの本命推奨馬オーロラフラッシュを管理する藤沢和雄もまた、野平祐二とともにシンボリルドルフの牡馬三冠制覇に貢献したホースマンの一人であり、昨日の函館10Rでは管理馬シークレットアイズが1着となり、史上2人目となるJRA通算1500勝を達成。 定年引退まで約2年を残す状況ではあるが、調教師顕彰者としての十分な資質を持ち合わせる、数少ない調教師の一人である。 また、今週は藤沢和雄の節目となる記録以外にも、明るい話題が舞い込んだ。 函館馬主協会に所属するヤナガワ牧場の生産馬キタサンブラックが顕彰馬に選定されたのである。 JRAの発展に多大な貢献のあった競走馬の功績を讃える事が目的となる、この顕彰馬にGI7勝の記録を持つキタサンブラックが選ばれたことは、今後の顕彰馬選定の重要な指標にGI勝利数が影響することを示したものとされ、皆様におかれましては宝塚記念をはじめ、今秋のGIシーズンの動向を是非とも興味深く見守っていただきたい。 函館開幕週のタイミングで、函館の地とも深い関わり合いを持つ、調教師、生産牧場の吉報をお届けすることとなったが、本日の函館最終レースでは、オーロラフラッシュに騎乗する蛯名正義の健闘を祈りたい。 蛯名正義が現在、調教師試験に向けて藤沢和雄のもと修行中の身であることは周知の事実だが、その蛯名正義の調教師転向を支援している一人が馬主の嶋田賢であり、過去にはヴィクトリアマイル優勝馬ホエールキャプチャや皐月賞優勝馬ディーマジェスティといったGI馬の主戦に蛯名を指名していた経緯を持つ。 藤沢和雄にしても、蛯名とはバブルガムフェローの天皇賞秋制覇など、同じ関東圏に身を置くホースマンとして旧知の仲といえ、ディーマジェスティの母母にあたるシンコウエルメスは藤沢厩舎の管理馬でもあったのだ。 嶋田賢オーナーはエルコントルパサーの管理調教師として知られる二ノ宮敬宇を懇意にしていたことから、二ノ宮厩舎解散をきっかけに藤沢厩舎へオーロラフラッシュ含む2頭を預託することとなったが、藤沢和雄と嶋田賢オーナーの仲介役として蛯名正義の存在があったことはもはや自明といえ、この一戦に向けた三者の思惑は完全に一致している。 函館馬主協会の会員の多くは、その土地柄生産牧場が多数を占める状況ではあるが、ノーザンファーム系列のクラブ法人キャロットファームもこの函館馬主協会に加盟しており、故に当該レースではキャロットファームの出走馬は見送りの措置がとられている。 レイデオロをはじめ、多数のクラブ馬の引受先調教師を務める藤沢和雄の顔に泥を塗るようなことは彼等とて出来ないわけだ。 よって、当該レースでは◎オーロラフラッシュが最先着を果たすことを前提に、レースの主導権を握る相手2頭を中心とした勝負買い目を最終結論とする。 ------------------------------------- 本命推奨馬オーロラフラッシュは最低限の2着を確保し、レースの主導権を握った相手筆頭馬マイネルズイーガーが押し切り勝ち。本命対抗馬2頭の本線決着で馬単的中をお届けしていた先週の洞爺湖特別。 競馬界における「函館」という地は歴史によって支配されていることは、私が詳しく説明するまでもなく、この見解を読むことでわかるでしょう。 「函館SS」は、函館に利権のある競馬関係者たちにとっての理想の決着を想像すれば、行き着くはずです。 昨年の出走馬が7頭、今年は16頭と出走馬こそ一気に増えますが、難しく考える必要はありません。 今週のREVELATION DIRECTIVEは以上です。 JTTC日本競走馬育成評議会 種牡馬部門 吉田晋哉