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【結果総括】REVELATION REPORT「アイビスSD週レポート」

皆様、お世話になっております。 JTTC種牡馬部門の執行役員を務めております吉田晋哉です。 新潟・札幌開幕週から一夜明け、アイビスサマーダッシュをはじめここまで多くの反響メールをお寄せいただいていますが、感心させられるのは国内のレースに留まらず、ミナリク騎手の容態を案ずるメッセージや、キングジョージ3連覇の偉業を成し遂げたエネイブルに関するコメントなど、皆様がキャッチアップされている競馬情報の広さであり温かいメッセージの数々に心から感銘を受けています。 我々は、その競馬業界に身を置く立場にあるわけですから、24時間365日といっては大げさかもしれませんが、競馬に対するアンテナは常に張り巡らせた状態がむしろ自然といえますし、にわかには信じがたいかもしれませんが、皆様のメッセージを拝読させていただくことで、改めて競馬の魅力を再発見する機会をいただいています。 昨日から本日にかけては、プライベートギフトの対象レース「アイビスサマーダッシュ」に関する反響が飛びぬけて多い印象ですが、共通していたのは、ビリーバーを信じてよかったですという(駄洒落を交えた)メッセージ。 ※プライベートギフト対象レース [日]新潟11R アイビスSD プライベートランク:☆ 1着◎9 ジョーカナチャン 2着○13 ライオンボス 3着☆12 ビリーバー 3連単F:2万7030円的中 確かに、☆ビリーバーは当日9人気の評価に甘んじていましたから、上位2頭は別にして、プライベートギフトの提供情報を受けて、ビリーバーを相手に加えられたメンバー様もいらっしゃったと思います。 また、勝ったジョーカナチャンと2着したライオンボスはいわゆるライバル関係。 これまで先着を果たせなかったライオンボス相手に、重賞初挑戦の立場ながら撃破してみせたあたり、ジョーカナチャン陣営の気概が感じられた一戦でもありました。 「負けたことがある」というのがいつか大きな財産になる。 上記は「キングジョージ」史上初の3勝目を挙げたエネイブル(牝6、父ナサニエル)のジョン・ゴスデン調教師によるレース後コメント。 今回のレースを振り返るだけでなく、敢えて昨年の凱旋門賞の敗戦(2着)の意義に言及されていたあたり、ゴスデン調教師のホースマンとしてのプライドであり自尊心が垣間見えた瞬間でした。 「昨年の凱旋門賞のときはフランキーも私も自らを責めました。厳しい展開で早く仕掛けすぎたことはセクショナルタイム(通過タイム)が教えてくれました。ヴァルドガイストは素晴らしい仕上がりで、素晴らしい騎乗でした。残り100メートルで失速したとき、くぎ付けにされてしまいました。でも、これが人生です。これが歴史です。もし、エネイブルが昨年の凱旋門賞を勝っていたら、今日という日はありませんでした。ですから、明るい方を見ましょう」。 もちろん、上記もゴスデン調教師のコメントとなりますが、多くの競馬ファンがエネイブルの優勝シーンを期待した昨年の凱旋門賞において、ライバル馬であるヴァルドガイストの末脚にくぎ付けにされたと言ってのけたわけです。 これが、一競馬ファンのコメントであれば、わざわざこの場でご紹介することもなかったのでしょうが、日々エネイブルのことを考え過ごし、想像を絶するほどのプレッシャーにあったあの凱旋門賞の結果を、これほど冷静かつ誠実な言葉で振り返ってみせた彼の人間性は称賛に値するものだと思います。 エネイブルが素晴らしい競走馬であることは改めるまでもないことですが、そのエネイブルを取り囲む関係者もまた一流のホースマンであることは、世界のホースマンにとっての誇りといえます。 アイビスサマーダッシュを制したジョーカナチャン陣営にしても、これまでの敗戦があったからこその大金星だったと言えるでしょうし、「負けたことがある」というのがいつか大きな財産になるという言葉をどう解釈すべきか、これは競馬に限らず一考に値するテーマなような気がしてなりません。 さて、夏の新潟開催を象徴する名物重賞アイビスサマーダッシュに続き、今週は札幌競馬場にて「クイーンS」が行われます。 その舞台となる札幌競馬場からは先週金曜日の【REVELATION DIRECTICVE】を通じて下記2レースを取り上げておりましたが、皆様馬券の方はいかがでしたでしょうか。 <REVELATION RACE LIST> ■土曜 札幌9R 利尻特別 ■日曜 札幌5R 2歳新馬 従来通り、【REVELATION DIRECTICVE】に記した見解を引用しつつ、振り返っていきたいと思います。 -----土曜札幌9R見解を引用----- まずは札幌記念と同じ芝2000mで行われる土曜日札幌9R「利尻特別」。 コロナウイルスの感染防止のために函館競馬場で調教を行い、事前に札幌競馬場へ移動するという出走方法が今年は規制されました。 それに伴い札幌競馬場における馬房数には限りがあることから、出走頭数を確保することが例年以上に難しいという課題を残したまま、札幌開催を続けていくことにはなります。 利尻特別の出走馬は、8頭。 しかしながら、この一戦は集まらなかったのではなく、8頭が選ばれたわけですので、出走頭数が絞られている要因は、全く別です。 札幌馬主協会のお膝元である札幌競馬場。 補足にはなりますが、札幌馬主協会の会長を務めるのは社台ファーム代表の吉田照哉氏。 また社台グループだけでなく、岡田総帥が率いるビッグレッドファームグループも名を連ねる重鎮関係者が集うのが、札幌馬主協会という組織です。 <中略> 「札幌馬主協会」のお膝元で行われる2020年の札幌競馬開幕初日。 札幌記念と同じ芝2000mが舞台の特別戦。 特別登録の段階では14頭。 水面下での談義の末に、結果的に「上記8頭」のみに絞られたのです。 このレースの全貌を掴むためには、出走をやめた6頭の存在を必ず頭に入れておくべきです。 -----土曜札幌9R見解を引用----- 金曜日の【REVELATION DIRECTICVE】で示した要点は2つ。 (1) 岡田一族が主導権を握るレースであること (2) 特別登録の段階では14頭→結果的に8頭に絞られた=出走をやめた「6頭」の存在を必ず頭に入れておくべき こう明言していたなか、同レースの結果を振り返れば、北海道シリーズではマイネルの主戦を務める「丹内騎手」を背にしたゴールドシップ産駒◎マイネルソラスが2着馬▲ダノンセレスタにコンマ3秒差をつける完封劇。 3着には大和田厩舎二頭出しの1頭、☆クロスザルビコンが猛追し3連単4990円の配当をお届けした一戦。 [土]札幌9R 利尻特別 プライベートランク:☆☆☆☆☆ 1着◎4 マイネルソラス 2着▲5 ダノンセレスタ 3着☆3 クロスザルビコン 3連単F:4990円的中 逃げて4着のロッソモラーレは「コスモヴューファーム」の所有馬ですから、(1)にあげた【岡田一族が主導権を握るレースであること】の真意のほどは改めるまでもないでしょう。 また、(2)で取り上げた出走をやめた「6頭」の存在についてはどうでしょうか。 モンブランテソーロ 馬主:了德寺健二ホールディングス 生産:市川フアーム →日曜札幌7Rに出走→(1人気、1着) マイネルエキサイト 馬主:サラブレッドクラブ・ラフィアン 生産:坂本春雄 →日曜札幌7Rに出走→(8人気、2着) エフティイーリス 馬主:吉田英子 生産:ノーザンファーム →日曜札幌7Rに出走→(3人気、3着) コスモレリア 馬主:ビッグレッドファーム 生産:ビッグレッドファーム →日曜札幌7Rに出走→(5人気、4着) マジストラル 馬主:サンデーレーシング 生産:ノーザンファーム →日曜札幌7Rに出走→(4人気、6着) ウインローズブーケ 馬主:ウイン 生産:コスモヴューファーム →日曜札幌7Rに出走→(2人気、7着) 2着したマイネルエキサイトが勝利していれば、岡田一族にとっては棚から牡丹餅といえる勝利になっていたことと思いますが、それではモンブランテソーロ陣営に対して筋が通りません。 土曜の札幌9Rは芝2000m戦。 日曜の札幌7Rは芝1800m戦。 この1ハロンの差が、時として結果を大きく左右することは周知の事実といえますが、芝2000m戦に狙いを定めていた◎マイネルソラス陣営に対して、1800m戦でも実績のあるモンブランテソーロ。 そのモンブランテソーロの関係者が、当初登録していた札幌9Rではなく、翌日曜日の札幌7Rに回ったわけです。 陣営サイドとしては「貸し借り」を反故にするようなことは当然できるはずもなく、同レースで2人気の支持を集めながら前走比+22キロの馬体で7着と敗れたウインローズブーケなどは、負けるべくして負けた存在に映ったはずです。 札幌馬主協会の存在に留まらず、岡田一族の多頭出しに言及し、明確な逃げ馬まで擁立していた一戦とあって、土曜・札幌9Rはアイビスサマーダッシュに次ぐ反響をお寄せいただきましたが、ともすればこれより言及する日曜・札幌5R「2歳新馬戦」の内容は少々難解だったのかもしれません。 限りなく答えに近い【道しるべ】を用意していたつもりですが・・・。 まずは、【REVELATION DIRECTICVE】に記した内容からお目通しください。 -----日曜札幌5R見解を引用----- この一戦も出走馬は統制され、出走するのは7頭。 <中略> いくつかポイントをまとめましょう。 まずは、厩舎の全国リーディング1位矢作芳人厩舎、2位友道康夫厩舎の管理馬が出走するということ。 矢作厩舎といえば、 7月19日(日) 阪神11R 中京記念(GIII) 3着◎エントシャイデン(ノースヒルズ) 7月18日(土) 函館10R 湯浜特別 1着◎チェルシーライオン(ライオンレースホース) 7月11日(土) 函館5R 2歳新馬 1着◎カイザーノヴァ(広尾レースホース) 7月5日(日) 福島11R ラジオNIKKEI賞(GIII) 2着◎パンサラッサ(広尾レースホース) 7月競馬において要所でしっかりと好走させてくれている矢作芳人厩舎が管理馬を出走させるレースには、「裏に何かがある」という感が働くプライベートメンバー様は多くいらっしゃることでしょう。 <中略> 友道康夫厩舎は今週管理馬を4頭出走させます。 土曜日 新潟9R メラーキ 日曜日 新潟5R レイオブウォーター 新潟8R ラヴィンフォール 札幌5R ミルウ この4頭は、いずれも大塚亮一氏が所有する馬なのです。 唯一、札幌でミルウを出走させるわけですが、鞍上はC.ルメール騎手。 【ここ】で2つ目のポイント。 騎手の起用の変化に注目してみてください。 大塚亮一氏と友道厩舎といえば、昨年の菊花賞馬ワールドプレミアがいるわけですが、主戦は武豊騎手。 武豊騎手も札幌で騎乗しているわけですが、ミルウはC.ルメール騎手が跨るのです。 武豊騎手とC.ルメール騎手を担当しているエージェントは同じ豊沢氏であることは周知の事実。 そうした深い繋がりあいを有するなかで、当の武豊騎手はといえば、国枝厩舎のプラチナトレジャーへの騎乗を予定しています。 国枝栄厩舎は、アーモンドアイを筆頭にC.ルメール騎手を重宝していることから、これまでの経緯を辿れば、 ミルウ→武豊騎手 プラチナトレジャー→C.ルメール騎手 という配置に落ち着いてよさそうなものですが、今回はあえてそうはならなかったのです。 -----日曜札幌5R見解を引用----- こちらも金曜日の【REVELATION DIRECTICVE】で示した要点を抜粋しましょう。 (1) 全国リーディング1位矢作芳人厩舎、2位友道康夫厩舎の管理馬が出走 (2) 大塚亮一氏×友道厩舎の馬に武豊騎手が乗らなかったこと ここでご紹介したい一幕が、同レースの実況内容であり、スタートシーンです。 「スタートしました。1番バスラットレオン、ポンと良いスタートを切りました。対照的に6番のミルウは後方からです」 この間、わずか5秒。 我々は早々に◎バスラットレオン(矢作厩舎)の勝ちを確信し、チーム内で固い握手を交わしたほど。 発馬を含め綿密な陣営の準備がもたらした会心の勝利。 「JTTC株主優待競走月間」の初週にして、上々のスタートを切れたのではないでしょうか。 [日]札幌5R 2歳新馬 プライベートランク:☆☆☆☆ 1着◎1 バスラットレオン(矢作厩舎) 2着▲4 モリノカンナチャン(大江原厩舎) 馬単:7180円的中 なお、勝利の裏に当会のプライベートメンバー様はご存知の「矢作厩舎」×「広尾レース」のラインがあったことに触れないわけにはいきません。 遡ること3週間前、セレクトセールを控えた状況下で行われたラジオNIKKEI賞。 [日]福島11R ラジオNIKKEI賞 プライベートランク:☆☆☆☆ <評価順> ◎11 パンサラッサ(矢作厩舎×広尾レース) ○9 パラスアテナ ▲12 ルリアン ☆2 ディープキング(藤原英厩舎×戸崎騎手) 注1 バビット △5 サクラトゥジュール △8 グレイトオーサー △3 アルサトワ <結果> 1着 注1 バビット 2着 ◎11 パンサラッサ 3着 ☆2 ディープキング 3連複F:2万2480円的中 このレースでは惜しくも2着に敗れ、先週の函館2歳Sは自厩舎所属の坂井瑠星騎手を乗せた矢作厩舎×広尾レースのカイザーノヴァが2人気5着。 満足のいく結果を得られなかった以上、その「見返り」となる舞台は必ず訪れます。 「貸し借り」のスパンはこれまでも明言してきたとおり、陣営によって異なります。 矢作厩舎のように短期間で回収する厩舎もあれば、年単位の長いスパンで利子をつけて返すパターンもある。ただ、両者に共通して言えるのは、競馬村において貸し借りを反故にすること・・・、これはご法度です。 年間単位で番組スケジュールが組まれているということは、各レースの賞金総額であり、予算上限はあらかじめ明示されていることを意味します。 パイが決まっている以上、それを上回る賞金を得ることは出来ませんから、あとは何パーセントのシェアを奪えるかという所で、時に「貸し借り」を行う必要性に迫られるわけです。 騎手の貸し借りなどは極めて分かりやすい好例といえますが、それをレース単位、開催週単位、開催期間単位と見ていただければ、大きな偏りが生じていることもまた予見可能な領域だと思っておりますし、誰が誰に貸しを作っているのかといった相関図をイメージしつつ、今週以降の【REVELATION DIRECTIVE】を参照いただくと、本日お伝えした各レースの『要点』を戦前の段階でより鮮明にイメージできるはずです。 さて、ここまで先週の提供結果を中心に振り返って参りましたが、冒頭にも記載したとおり、今週末は夏の女王決定戦とも評される「クイーンS」が札幌芝1800mを舞台に行われます。 昨年はミッキーチャームが1人気1着、一昨年はディアドラ(1人気、1着)、ソウルスターリング(2人気、3着)の上位人気馬2頭が馬券に絡んでいますが、2017年には同年ヴィクトリアマイルを制したアドマイヤリード(1人気、6着)が当時3歳のアエロリットの逃走劇に屈したように平坦小回りコース故、ジョッキー間の駆け引きが物を言うレースとしてもお馴染みです。 ただし、今年の出走登録馬はといえば、 3歳→0頭 4歳→7頭 5歳→8頭 6歳→3頭 なんと3歳馬の登録はゼロ。 これは北海道で施行されるようになった2000年以降、2度目となる「レアケース」です。 3歳馬が未出走だった2009年のクイーンSは13頭立て11人気のピエナビーナスが勝利。 上位を独占した5歳馬は「ウオッカ・ダイワスカーレット」世代の馬たちでした。ともすれば、今日の競馬界でそれに該当するのは一体どの世代でしょうか?  ここで、ヴィクトリアマイル週の【Revelation Directive】がピンときたメンバー様は、非常に記憶力が良い方なのか、3歳馬登録ゼロの背景をすでに知り得る立場にある方でしょう。 今週のレポートは以上でございます。 最後にこの場をお借りして、アイビスサマーダッシュはじめ激励のメッセージをお寄せくださったメンバーの皆様に御礼申し上げます。 次回、7月31日(金)にお会いしましょう。 JTTC日本競走馬育成評議会 執行役員 種牡馬部門 吉田晋哉