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REVELATION DIRECTIVE[レパードS週:2020/08/08-09号]

■開催競馬場:新潟/札幌 ■開催重賞:レパードS/エルムS ■執筆担当:吉田晋哉 ------------------------------------- <REVELATION RACE LIST> ■土曜 新潟9R ダリア賞 ■日曜 札幌11R エルムS ------------------------------------- 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 JTTC種牡馬部門担当の吉田晋哉です。 「日本の市場は、いま世界で一番のビジネスチャンスがある」 「8月23日が待ち遠しい」 これは、先日電話で会談したアイルランドの牧場関係者ハリー氏が発した言葉を訳したものになります。 「日本市場が世界で一番」という言葉は残念ながら経済界では耳にすることができない時代ではございますが、競馬という市場においては、海外の業界関係者からこのような言葉を聞くことができることを誇らしく思います。 本来であれば、東京オリンピックの開会式参加のために来日し、そのまま8月下旬に行われるセレクションセール、サマーセールまでの約1ヶ月間を日本に滞在する予定であったハリー氏一行。 今年は7月21日と8月2日が「土用の丑の日」で、ハリー氏一行に、日本の誇りである鰻を召し上がっていただくために老舗をおさえていたため、非常に楽しみにしていたのですが、来日が叶わず残念です。 さて、暑い日が続いておりますので、メンバーの皆様におかれましても、鰻を食べて精力をつけながら、夏を元気にお過ごしいただきたく思います。 そのハリー氏が現地観戦を熱望していたのが、8月23日に行われる『札幌記念』です。 「GII」というグレードとはいえ、日本の夏競馬における『札幌記念』に対する世界の注目度は、年々高まっております。 「札幌記念のGI昇格」 札幌の重鎮関係者にとっての悲願が数年以内に成就できるかどうか。 この件に関しては当会にとっても、近年の活動における重要なミッションの1つに位置づけております。 2014年札幌記念 1着ハープスター 2着ゴールドシップ 2019年札幌記念 1着ブラストワンピース 3着フィエールマン 近年では上記4頭が札幌記念を凱旋門賞の前哨戦として出走していたこともあり、欧州では「札幌記念」というレース名を認識している方も多いのです。 凱旋門賞の前哨戦としては、 3歳馬であれば、キズナやマカヒキが優勝した「ニエユ賞」。 古馬であれば、オルフェーヴルが制した「フォア賞」。 この2つを使うのが理想であることは誰もが認識しているわけですが、凱旋門賞挑戦馬という宣伝価値のある対象を上手く利用し、「札幌記念の世界的な価値」を高めるように仕向けられていたのです。 ディープインパクト、キングカメハメハ時代から、今はロードカナロアが日本の種牡馬としてトップに君臨しています。 ロードカナロアの種牡馬価値は認めつつも2000万円という種付け料と比較すれば、シビアな海外関係者がコストパフォーマンスの観点から密かに目をつけている存在が、「ドゥラメンテ」「キズナ」「オルフェーヴル」といった種牡馬であったりするのです。 同じキングカメハメハという父を持つロードカナロアとドゥラメンテは、いま種牡馬として活躍を期待されていることは皆様もご存知でしょう。 それだけでなく、キングカメハメハの血を受け継ぐ存在として宝塚記念と天皇賞のタイトルを獲得したGI2冠馬ラブリーデイあたりも、「相場以上の価値がある」という声も聞こえてきます。 セレクトセールでは、ディープインパクト産駒の億超えでの取引が注目されていた一方で、「今ならお得に買える産駒」が沢山いるからこそ、ハリー氏の口から「日本の市場は、いま世界で一番のビジネスチャンスがある」という言葉が出てきたのです。 札幌記念は2週間先の話にはなりますので、今回はここまでにしますが、各陣営が着々と準備を進めております。 今年の札幌記念の発走を楽しみにしながら、今週と来週の競馬開催に臨んでいただきましょう。 キングカメハメハの仔ドゥラメンテはサンデーレーシング、ラブリーデイは金子真人HDの所有馬でした。 ロサグラウカ(サンデーR) ブラックスピネル(サンデーR) ポンデザール(サンデーR) ボスジラ(金子真人HD) ヒュッゲ(金子真人HD) 土曜日に札幌競馬場の芝2600mで行われる札幌日経オープンが、サンデーRと金子真人HDの複数頭出しの攻勢となっているところも目が離せませんが、今週は土曜日の「ダリア賞」と、日曜日の「エルムS」の2レースにご注目ください。 先週のクイーンSに関しては、「ヴィクトワールピサ産駒」の話に偏り過ぎていたこともあり、「言い過ぎ」という冗談抜きの突っ込みも飛んで来てしまったのですが、今週は突っ込みが入らないように、表現に気をつけながらも、臆することなく迫ります。 まずは土曜日に新潟芝1400mで行われる2歳オープンの「ダリア賞」。 1着賞金は1600万円。 2歳馬にとっては、暮れの阪神JFや朝日杯FS、ホープフルSというGI出走を目指すにあたって、この時期に賞金を稼ぐことができれば、ローテーションの選択肢を増やすことができます。 8月30日(日)新潟2歳S 9月5日(土)札幌2歳S 9月6日(日)小倉2歳S 夏競馬の終盤には3つの2歳重賞が控えている中でダリア賞は行われますので、この一戦のポイントが、「使い分け」にあることは、皆様もすぐに合点がいったのではないでしょうか。 ダリア賞→新潟2歳S コスモス賞→札幌2歳S フェニックス賞→小倉2歳S 各地での2歳重賞に向けて、このようなレースが組まれているわけですが、今年のダリア賞は例年とは少し違う位置づけの一戦であることをご留意ください。 オリンピック開催予定だったこともあり、今週までの3週間は新潟と札幌の2場開催で行われてまいりました。また京都競馬場の改修工事に伴い、今年の中京開催は夏には行わず9月に移行という変則的な日程が組まれています。 これにより、7月下旬に組まれていたはずの「中京2歳S」が今年は消えたのです。 2019年中京2歳S 勝ち馬ラインベック(ノーザンF) 2018年中京2歳S 勝ち馬アドマイヤマーズ(ノーザンF) 近2年の中京2歳Sの勝ち馬は上記の通りですが、「中京2歳Sが消えた世代」にあたる今年の2歳世代早期デビュー組にとって、ダリア賞が例年とは異なる意味。 2歳GI出走を意識する馬が経由していた「中京2歳S」という選択肢がなくなったため、「ダリア賞」は新潟2歳Sの前哨戦としてではなく、2歳GI出走を目指す上でのレースとして、選択肢に加わったのです。 今年の「ダリア賞」出走馬11頭をご覧ください。 ---------------- 1枠1番 ブルーバード 父:リーチザクラウン 2枠2番 キモンブラウン 父:ゲイルプリムラ 3枠3番 ニューフィー 父:マクフィ 4枠4番 アスコルターレ 父:ドゥラメンテ 5枠5番 エコロテッチャン 父:メイショウボーラー 6枠6番 ショウナンラスボス 父:ダイワメジャー 6枠7番 マルス 父:リオンディーズ 7枠8番 ジャカランダレーン 父:ラブリーデイ 7枠9番 プルスウルトラ 父:ディスクリートキャット 8枠10番 ユイノチャッキー 父:ディープスカイ 8枠11番 ビゾンテノブファロ 父:プリサイスエンド ---------------- 父の名だけを見ればわかる通り、ここにはディープインパクト産駒は不在。 そしてキズナなど、ディープインパクト直仔の種牡馬による産駒も出走自粛という形で「調整」が入っていることは一目瞭然です。 なぜ、「使い分け」を行うのか。 特にダリア賞では、「使い分け」を行う真意、その本質を想像してみてください。 続いて、日曜日に札幌競馬場で行われる古馬ダート重賞の「エルムS」。 ---------------- 1枠1番 ヒラボクラターシュ 父:キンシャサノキセキ 母:ヒラボクウィン 母の父:ワイルドラッシュ 生産:辻牧場 馬主:平田牧場 2枠2番 エアスピネル 父:キングカメハメハ 母:エアメサイア 母の父:サンデーサイレンス 生産:社台ファーム 馬主:ラッキーフィールド 3枠3番 サトノティターン 父:シンボリクリスエス 母:マチカネチコウヨレ 母の父:Deputy Minister 生産:ノーザンファーム 馬主:里見治紀 3枠4番 ワンダーリーデル 父:スタチューオブリバティ 母:アストレアピース 母の父:マヤノトップガン 生産:大島牧場 馬主:山本能成 4枠5番 アディラート 父:ルーラーシップ 母:ナリタブルースター 母の父:マンハッタンカフェ 生産:タガミファーム 馬主:安原浩司 4枠6番 リアンヴェリテ 父:ゴールドアリュール 母:ルミエールヴェリテ 母の父:コジーン 生産:ノースヒルズ 馬主:加藤誠 5枠7番 ワイルドカード 父:ストリートセンス 母:パーフェクトチャンス 母の父:Unbridled's Song 生産:ダーレージャパンファーム 馬主:ゴドルフィン 5枠8番 ウェスタールンド 父:ネオユニヴァース 母:ユーアンミー 母の父:マーケトリー 生産:ノーザンファーム 馬主:サンデーレーシング 6枠9番 ロードゴラッソ 父:ハーツクライ 母:サッカーマム 母の父:キングマンボ 生産:ケイアイファーム 馬主:ロードホースクラブ 6枠10番 アナザートゥルース 父:アイルハヴアナザー 母:キョウエイトルース 母の父:シンボリクリスエス 生産:岡田スタッド 馬主:ノルマンディーサラブレッドレーシング 7枠11番 アルクトス 父:アドマイヤオーラ 母:ホシニイノリヲ 母の父:シンボリクリスエス 生産:須崎牧場 馬主:山口功一郎 7枠12番 ハイランドピーク 父:トーセンブライト 母:ハイランドダンス 母の父:ゼンノロブロイ 生産:エスティファーム 馬主:島川隆哉 8枠13番 タイムフライヤー 父:ハーツクライ 母:タイムトラベリング 母の父:ブライアンズタイム 生産:白老ファーム 馬主:サンデーレーシング 8枠14番 バスカヴィル 父:バーナディーニ 母:Divalarious 母の父:Distorted Humor 生産:Tenth Street Stables, LLC & Darley(米国) 馬主:ゴドルフィン ---------------- 出走馬14頭をまずは並べてみましたが、皆様はどのあたりに目が留まりましたでしょうか。 「複数頭出し」の話をこれまで何度もしてまいりましたので、サンデーレーシングとゴドルフィンの4頭が気になっている方もいらっしゃることでしょう。 「同一馬主」という視点でいえば、 サンデーレーシング2頭 ・ウェスタールンド ・タイムフライヤー ゴドルフィン2頭 ・ワイルドカード ・バスカヴィル 偶然か必然か。 世の中、不思議なことが起きるものです・・。 すみません。正直なことを申し上げると、不思議なこととは思っておりません。 ---------------- 【5枠】 7番 ワイルドカード(ゴドルフィン) 8番 ウェスタールンド(サンデーレーシング) ---------------- 【8枠】 13番 タイムフライヤー(サンデーレーシング) 14番 バスカヴィル(ゴドルフィン) ---------------- 2頭出しを行うサンデーレーシングとゴドルフィンの所有馬が、同じ枠に1頭ずつペアで組まれています。 有馬記念のように枠順を公開抽選会で行っているわけではなく、枠順の決定経緯はブラックボックス。 とはいえ、枠順よりも注目すべきこと。 レースを作るのは、基本的に逃げ馬や先行馬であることは事実です。 ラップをコントールできるのは前で主導権を握る馬であるのは当たり前。 ただし今回に関しては、逃げ・先行脚質の馬を気にし過ぎると、レースの主導権、レースがどう作られていくのかの本質を見失うことになります。 先に申し上げておきます。 今年のエルムSにおいて、レースの主導権を握る存在は、 「タイムフライヤー」 「ウェスタールンド」 サンデーレーシングの勝負服2頭です。 主導権を握るのは、逃げ馬ではないということ。 そして、もう1つだけ突っ込んだ話をしましょう。 武豊騎手が騎乗するエアスピネルは、本命ではありません。 1年以上の休み明けで復帰した前走のプロキオンSで2着と予定外の激走をしてしまったことで、生じた誤算。 「プロキオンS」叩き→「エルムS」状態面上昇 このように計画していたはずが、 「プロキオンS」想定外の激走→「エルムS」脚元不安 となってしまったのです。 鮫島克駿騎手から武豊騎手への乗り替わりが、「鞍上強化」ということで今回は人気も集まることが想定されますが、脚元の不安で先週の1週前追い切りはまともに行えずに日曜追いに変更。 出走回避の可能性も考えられていたわけですが、最終追い切りに武豊騎手が跨って感触を確かめて、結局はそのまま出走する方向となりました。 一応走れる状態にあるということになるものの、パドックでの歩き方には、注意してご覧ください。 今週お伝えできることは以上となりますが、それぞれに役割を託されている「サンデーレーシングの勝負服」を身に纏った馬が、レースの鍵を握っていく場面を多く目の当たりにするでしょうから、注意深く観察してみてください。 JTTC日本競走馬育成評議会 種牡馬部門 吉田晋哉