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REVELATION DIRECTIVE[新潟2歳S週:2020/08/29-30号]

■開催競馬場:新潟/小倉/札幌 ■開催重賞:新潟2歳S/キーンランドC ■執筆担当:吉田晋哉 ------------------------------------- <REVELATION RACE LIST> ■日曜 札幌11R キーンランドC ■日曜 新潟11R 新潟2歳S ------------------------------------- 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 JTTC種牡馬部門担当の吉田晋哉です。 あからさまなメディア戦略を駆使しながら、大人の駆け引きの末に、第98代内閣総理大臣・安倍晋三氏が辞任を表明。 コロナ禍にあり、様々な利害関係を調整し、世論もコントロールしなければならない立場の重責は計り知れないものがありますが、個人であって個人ではない公人という立場で、組織として動かなければならない以上、今回の経緯に関する真相はさておき、「建て前」としての発表内容については、俯瞰的に見るべきでしょう。 様々な利害関係を踏まえた上で、本日8月28日金曜日に、その発表の日が定められたわけですが、政財界だけでなく、競馬界にも配慮いただいたことは言及しておきたいと思います。 『サマーセールの最終日』を終えてから・・という競馬産業界の意向を汲んでいただくこともできました。 「ポスト安倍」の議論は、さすがにこの場ではしませんが、安倍内閣においては防衛大臣という要職を務めており、ポスト安倍候補の一角にも名を連ねている河野太郎氏という存在については、本日は少しだけ触れておきましょう。 父は、自民党総裁や衆議院議長などを歴任した河野洋平氏。 政治家はすでに引退しておりますが、「日本軽種馬協会」の会長理事を務めています。 そしてセレクトセールを主催している「一般社団法人日本競走馬協会」の会長代行は社台グループの吉田照哉氏ですが、会長は河野太郎氏。 この「一般社団法人日本競走馬協会」の所在地は、東京タワーのふもと、東京都港区麻布台2丁目にある「麻布台ビル」ですが、競馬産業の話をする上では、隅に置けない場所であることは、皆様はご存知でしょうか。 競走馬のトレーニングが行われるのは、トレセンや外厩施設や牧場。 競走馬がレースに臨むのは、各地の競馬場。 しかしながら、競馬という産業を発展させるための重要な決議が行われているのは、トレセンや外厩施設、競馬場でもなく、重鎮が集う「会議」です。 プライベートサロンのメンバーガイドでも紹介している[20%の真実]にも通ずるレースは、「会議」で決まるのです。 「レースは、会議室で行われているわけではない」 ドラマや映画で有名な「踊る大捜査線」の青島刑事みたいなセリフを言うような関係者はおらず、競馬産業においても、政治同様に「会議」が重要視されているわけです。 「麻布台ビル」には、 河野太郎氏の祖父にあたる河野一郎氏が創業に尽力し、競馬中継で有名な「ラジオ日本」の東京支社が入っているほか、「地方競馬全国協会」の事務所もここにあります。 また社台ファームと提携している一口クラブ法人グリーンファームの「グリーンファーム愛馬会」もまたこのビルに拠点があるわけですが、代表を務めるのは河野太郎氏の実弟である河野二郎氏。 政界、そして競馬界にとっても「河野家」は特別な一家であり、政府の動向と競馬界は、切っても切れない関係にあることは、改めて皆様にもご理解いただきたいのです。 競馬界だけを忖度してくれて決定したわけではありませんが、安倍首相が辞任発表を行うタイミングの決議には、このような事情もあったということを知っておくことは、改めて競馬の本質を考える良い機会になるのではないでしょうか。 日本競馬という市場には、UAEの副大統領でドバイの首長を務めるシェイク・モハメド氏が中心となって出資しているゴドルフィン(ダーレージャパン)も本格参入していることは今更言うまでもありません。 日本の競馬は、競馬界だけの市場ではなく、国際政治とも繋がっている巨大な市場なわけです。 競走馬の輸入、輸出には、「関税」なども影響してくるわけですので、河野太郎氏が防衛大臣を務める前に、2017年8月から2019年9月までの約2年間、外務大臣の職に就いていたことは、競馬界にとっても特別な意義があったのです。 すべては紹介しきれませんので具体的な話は割愛しますが、この2年の間に、海外から積極的に繁殖牝馬を購入していた牧場は、どの牧場なのか。 これを知るだけで、少なくともこれからの数年における生産牧場の利害関係や勢力図、表には出ることのない裏の相関図が見えてくるはずです。 ノーザンファームや社台ファーム、ノースヒルズグループが海外から繁殖牝馬を積極的に購入していることについては皆様もご存知だと思います。 今回は、ほんの一例ですが、ロードカナロアの生産牧場である「ケイアイファーム」の動向について、ご紹介しておきましょう。 現在の日本競馬界における最高峰種牡馬として君臨しているロードカナロアを輩出したことで、いまや拡大路線へと向かうことができているケイアイファーム。 2018年11月に米国のケンタッキー州で行われたセールにて、GI馬ラコロネルを1億7500万円で落札した他、カナダの年度代表馬など、若い牝馬の購入を積極的に進めております。 ケイアイファームの代表は中村伊三美氏。 ご夫人である中村祐子氏が、クラブ法人ロードホースクラブの代表を務めており、クラブ法人を持っているだけに、生産馬の供給先を確保している戦略は、規模こそ違えど、社台グループと同様です。 供給先があるからこそ、拡大戦略へと舵を切ることができるわけですが、ロードホースクラブだけでなく、個人馬主として資本が豊富なダノックスの野田氏もまた牧場の経営戦略においては特別な存在であることは言うまでもありません。 2017年に朝日杯FSを制したダノンプレミアムは、全兄の3頭はすべてロードホースクラブで募集を行っていたのに対し、ダノンプレミアムは野田氏に手渡したのです。 ・ケイアイファーム ・ロードホースクラブ ・ダノックス 新ひだか町に拠点を構えているケイアイファームは、ロードカナロアは飛躍のきっかけであり、この三者間で生産馬をどう割り振っていくのか。 このあたりも注目していくと、面白い事実を発見できるようになると思います。 なおケイアイファームは今年のサマーセールには生産馬を上場させておらず販売者としては参加しておりませんが、5頭の牡馬を落札していたことは特筆すべきでしょう。 牝馬は落とさず、牡馬を落札。 ケイアイファームで生産した有力馬は、「個人馬主」のもとに回し、クラブで募集する馬で足りない分は、セリで落札して補う。 抱える繁殖牝馬のレベルを上げるために海外のセリに参加し、生産馬の質の向上を図りながら、クラブ法人を運営し供給先は確保した上で、個人馬主に馬を販売する。 1頭の種牡馬を引き当てることで、勢力を増すことができるという成長戦略を、こうして見ることができるのです。 ケイアイファームの株が出回るのならば、間違いなく有望なはずです。 今週は月曜日にセレクションセール、火曜日から本日金曜日までの4日間にわたりサマーセールが開催されましたが、コロナ禍におけるセリだったことを思えば、盛況だったと言えるのではないでしょうか。 セレクトセールとは違い、億単位での高額落札はありませんでしたが、高く売れる種牡馬が偏ることはなく、サトノアラジンやミッキーアイルといったディープインパクトの後継種牡馬のニーズも高まっていることを確認できる機会となりました。 また「北海道静内農業高等学校」が生産したマドリガルスコアの2019を、テイエムの冠名でお馴染みの竹園正継氏が2750万円で落札したことも話題になりました。 マドリガルスコアの2019はマクフィ産駒です。 マクフィは、2010年に行われた英国の2000ギニー(クラシック一冠目)の優勝馬。 この時は日本に移籍する前のC.ルメール騎手が勝利に導いていたわけですが、欧州で種牡馬入りしたのち、先述の「日本軽種馬協会」が購入し、2017年より日本で供用されています。 「日本軽種馬協会」で抱えている種牡馬には、 アニマルキングダム(ドバイワールドカップ優勝馬) バゴ(宝塚記念を制したクロノジェネシスの父) このような種牡馬もいるわけですが、「日本軽種馬協会」が購入したマクフィという存在。 竹園氏は1050万円で落札し、18億円を稼ぎ出したテイエムオペラオーを所有していた方。 「マクフィ」に纏わる「利権の真相」を知っていたのでしょう。 でなければ、高校生が生産した馬に対して2750万円を投じることはないはずです。 競馬界に長きにわたって貢献し続けることで知ることのできる範囲は増えていくわけです。 【継続は力なり】 競馬界においては、いくら資本を持っていたとしても、「一見さん」には厳しい世界です。 酸いも甘いも知りながら、長く貢献し続けてくれた方にこそ、本当の意味での恩恵が巡ってくるのです。 当会のプライベートサロンも同様です。 長くご利用いただいている方は、間違いなく「見えてくる範囲」が変わってくるはずです。 それでは、最後に今週のレースについての話に移りましょう。 ■日曜 札幌11R キーンランドC ■日曜 新潟11R 新潟2歳S 今週は、この2つの重賞のポイントをお伝えします。 まずは、サマースプリントシリーズのキーンランドC。 今年のサマースプリントシリーズは、これまで4戦が行われてきたわけですが、 第1戦 函館スプリントS 1着◎6 ダイアトニック 2着注16 ダイメイフジ 馬単8290円的中 第2戦 CBC賞 1着無3 ラブカンプー 2着無6 アンヴァル 馬単29万4520円不的中 第3戦 アイビスサマーダッシュ 1着◎9 ジョーカナチャン 2着○13 ライオンボス 3着☆12 ビリーバー 3連単2万7030円的中 第4戦 北九州記念 1着◎4 レッドアンシェル 2着☆10 モズスーパーフレア 馬単6910円的中 CBC賞は悔やまれるものの、それ以外は的中という結果を残し、ここまで4戦3勝。 残すところは、第5戦キーンランドC、第6戦セントウルSの2戦で、その後には秋のGI第1弾であるスプリンターズSに臨むことになります。 今年のキーンランドCのポイントは、 ------------------- 昨年の覇者ダノンスマッシュが出走しないということ。 ------------------- 2019年キーンランドC優勝馬 ダノンスマッシュ 馬主:ダノックス 生産:ケイアイファーム 父:ロードカナロア 厩舎:安田隆行 同じく安田隆行厩舎が管理するロードカナロア産駒のダイアトニックとの使い分けという側面もありますが、そう単純な話でもありません。 (ダノックスの)「ダノンスマッシュを出走させない」というのは、露骨な忖度なのです。 またゴドルフィンが送り込むライトオンキューは、本命ではありません。 2020年の競馬界においては、「誰」が、「どの組織」が気を使われているのか。 2020年10月4日(日) 第54回・スプリンターズS(GI) この一戦に向けての『貸し借り』は、すでに夏競馬序盤から繰り返されていたのです。 答えは申し上げません。 レースを紐解くヒントは、記したつもりです。 そのあたりを是非とも想像してみてください。 続いて、新潟2歳Sについて。 昨年の勝ち馬は覚えておりますでしょうか。 この一戦については、過去10年の勝ち馬を思い出していただくところから触れていきたいと思います。 新潟2歳S 過去10年の勝ち馬一覧 ------------------- 2019年 ウーマンズハート 馬主:ゴドルフィン 父:ハーツクライ 母父:Shamardal 2018年 ケイデンスコール 馬主:サンデーレーシング 父:ロードカナロア 母父:ハーツクライ 2017年 フロンティア 馬主:サンデーレーシング 父:ダイワメジャー 母父:トニービン 2016年 ヴゼットジョリー 馬主:社台レースホース 父:ローエングリン 母父:サンデーサイレンス 2015年 ロードクエスト 馬主:ロードホースクラブ 父:マツリダゴッホ 母父:チーフベアハート 2014年 ミュゼスルタン 馬主:菊地祐司 父:キングカメハメハ 母父:フレンチデピュティ 2013年 ハープスター 馬主:キャロットファーム 父:ディープインパクト 母父:ファルブラヴ 2012年 ザラストロ 馬主:高橋貴士 父:ホワイトマズル 母父:ダンスインザーダーク 2011年 モンストール 馬主:前田幸治(ノースヒルズ) 父:アドマイヤマックス 母父:デヒア 2010年 マイネイサベル 馬主:サラブレッドクラブ・ラフィアン 父:テレグノシス 母父:サンデーサイレンス ------------------- 昨年の勝ち馬は、ゴドルフィンのウーマンズハート。 今年ゴドルフィンは、 ・ブルーシンフォニー ・ショックアクション この2頭出しで新潟2歳Sに臨むわけですが、どちらも本命馬ではありません。 また2017年2018年とサンデーレーシングの所有馬が連覇しておりましたが、今年サンデーレーシングの出走馬はゼロ。 いえ、今年だけではなく、昨年もサンデーレーシングは所有馬を送り込んでいませんでした。 2016年は、社台レースホースのローエングリン産駒ヴゼットジョリーが優勝。 その後、2017年2018年2019年、そして2020年の今年、社台レースホースの所有馬は新潟2歳Sに顔を出していません。 フォティノース(新潟芝1600mで勝ち上がり) タウゼントシェーン(福島芝1800mで新馬勝ち) 少なくとも社台レースホースは、この2頭は擁立しようと思えば、できたわけです。 なおサンデーレーシングの現2歳馬は5頭が勝ちあがっているわけですが、サンデーレーシングも出走させないのです。 社台系のクラブ法人としては、キャロットファームだけがシュヴァリエローズを擁立しておりますが、シルクレーシングの勝負服も不在です。 また2010年から2019年に行われた新潟2歳Sは、勝ち馬の種牡馬が毎年異なっておりました。 パラダイムシフトの渦中にある今、2020年に行われる新潟2歳Sに仕込まれている変化。 新潟2歳Sの出走馬を「種牡馬群」でわけると、このようになります。 <ディープインパクト系> フラーズダルム(キズナ) ジュラメント(キズナ) タイガーリリー(キズナ) シュヴァリエローズ(ディープインパクト) ロードマックス(ディープインパクト) <キングカメハメハ系> ファルヴォーレ(ドゥラメンテ) ハヴァス(ルーラーシップ) <その他> セイウンダイモス(ローエングリン) ブルーシンフォニー(スクリーンヒーロー) ブルーバード(リーチザクラウン) ショックアクション(Gleneagles) キズナ産駒が最多の3頭。 昨年キズナと同じタイミングで初年度産駒がデビューしたエピファネイア産駒は排除されています。 主役に担ぎ上げるべき馬は、どのような背景にある馬か。 そして出走馬11頭のうち、3頭は前走で福永祐一騎手が跨っていた馬です。 ・ファルヴォーレ ・フラーズダルム ・ショックアクション この3頭のうち、先週の北九州記念でレッドアンシェルを勝利に導いた福永祐一騎手が配されたのは、フラーズダルム。 社台レースホース、サンデーレーシングは所有馬を送り込んでいませんが、吉田勝己氏名義のキズナ産駒フラーズダルムだけは送り込まれています。 新潟2歳Sにおいて、特別な役割を全うできるのは、彼が最適な存在であり、他に適任者はおりません。 最後にまとめますと、 キーンランドCは、ゴドルフィンの「ライトオンキュー」は本命ではありません。 新潟2歳Sも、ゴドルフィンの「ブルーシンフォニー」と「ショックアクション」は本命ではありません。 過去の「REVELATION DIRECTIVE」でも、同じようなことを明言しておりました。 今回触れられる内容はここまでとなります。 JTTC日本競走馬育成評議会 種牡馬部門 吉田晋哉