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【結果総括】REVELATION REPORT[秋華賞週:2020/10/17-18号]

皆様、お世話になっております。 JTTC種牡馬部門の執行役員を務めております吉田晋哉です。 「エネイブルはやっぱりすごい馬ですね。ああいう牝馬は日本にいないですよ。ゴツゴツとした迫力のある馬でした」 エネイブルと対面した某調教師によるエネイブル談を耳にして約一年が経過した先週末。 その瞬間は訪れました。 土曜新潟5Rを制したアメリカンファラオ産駒◎ムーンビードのバックボーンをご覧ください。 【ムーンビード】 父:American Pharoah 母:イブニングジュエル 母父:Northern Afleet 馬主:社台レースホース 生産者:社台ファーム 調教師:友道康夫 ジャパンC5頭出しを敢行するなど、芝中長距離路線を最終終着点とする「友道師」。 そんな師が芝中長距離路線とは無縁に映る【アメリカンファラオ産駒】の牝馬を預かるに至ったのか? 種牡馬部門の長としてその走りに注目しつつ、アメリカ血統と友道厩舎の化学反応をテストする貴重なレースとの位置付けをしておりました。 =============== [土]新潟5R:2歳新馬 プライベートランク:☆☆☆☆ <結果> 1着◎18ムーンビート 2着○3メイショウツツジ 3着☆8ジャストザビアンカ 3連複F:3990円的中[14点] =============== シンプルに結果のみを記載いたしますが、レース後鞍上の吉田隼人騎手からは「今後の課題はテンションのみ」という言葉が。 フランケル系種牡馬と並び、『世界戦略』の鍵を握るアメリカンファラオ産駒。 その適正を図るうえで厩舎サイドの【手腕】が試されたレースだった点は気に留めておく必要があるでしょう。 いずれにしろ、総額5000万円の社台RHの期待馬を予定通り勝ち上がらせた友道師。厩舎の総合力とその手腕もさることながら、◎ムーンビートが今後どのような「路線」に駒を進めるのか注視するだけの価値は大いにあると思っております。 それでは、先週のレース統括に参りましょう。 3歳上オープン、牝馬限定戦芝1800mのGII・府中牝馬S。戦前、我々が【REVELATION DIRECTIVE】で示していた見解は下記のとおりでした。 -----府中牝馬S見解を引用----- まずは土曜日に行われる府中牝馬S。 東京芝1800m戦で行われる一戦ですが、 10月11日(日)毎日王冠(芝1800m) 10月17日(土)府中牝馬S(芝1800m) 10月24日(土)富士S(芝1600m) 少なくとも、この3戦をセットにしてご覧いただきたいのです。 ひと通りの出走馬を見れば、浮き彫りになるいくつかの違和感。 先週の毎日王冠には、1頭だけ牝馬が出走していました。 藤沢和雄厩舎が管理し、キャロットファームが所有するコントラチェックです。 同じ芝1800m戦ですので、毎日王冠ではなく府中牝馬Sに出走する方が、まだ上位に好走するチャンスがあるということは言うまでもありません。 府中牝馬Sには出走することが許されず、毎日王冠では積極的な仕掛けでレースを作る役割を全うしておりました。 府中牝馬Sは8頭立てですので、除外になる可能性もありません。 それでも、事情により出走することはできなかったのです。 一方で、ここまで徹底してマイル重賞路線を歩んでいるトロワゼトワルは、次週の富士Sではなく、1ハロン距離を延ばして府中牝馬Sに参戦。 ヴィクトリアマイル→関屋記念→京成杯AHというローテーションで、牡馬相手の重賞にも出ていたように、「牡馬との戦いを避けるために富士Sに出ない」といったことはなく、意図的に府中牝馬Sに送り込まれるのです。 「コントラチェックが追い出された」ということは、「キャロットファーム」が追い出されたという一戦でもあります。 ※※中略※※ 8頭中6頭がノーザンファームの生産馬。 1頭が社台ファーム。 さらにグリーンファームが、社台ファームが提携するクラブ法人です。 すなわち8頭中7頭が、社台グループとの関連がある馬なのです。 これほどまでに、出走登録の段階から露骨に忖度されているレースというのは、なかなか見受けられるものではありません。 独裁という言葉が相応しいでしょうか。 キャロットファームだけでなく、サンデーレーシングの所有馬も出走させていないというのもポイントです。 個人馬主が所有する馬は4頭、クラブ法人の馬も4頭という比率。 その中に隠されている明らかな偏り。 トロワゼトワルを送り込むことによって得られる恩恵という名の貸し借り。 それが生まれる一戦として、想像すると、明確なものが見えてくるはずです。 -----以上府中牝馬Sの見解を引用----- 「コントラチェックは毎日王冠で積極的な仕掛けでレースを作る役割を全う」 「社台レースホースのトロワゼトワルが富士Sではなく、府中牝馬Sへ出走」 これ以上ないキーワードを明示していたわけですから、ダノンファンタジーの凡走も含め、「すべて想定内」の結果としてご覧いただいた一戦だったことでしょう。 この秋にシルクレーシングが掲げる【最重要ミッション】遂行の伏線はすでに張り巡らされていたのです。 さかのぼること1週間前。 我々が【REVELATION REPORT】で記した一文を改めてご紹介いたします。 -----REVELATION REPORTの見解を引用----- ここでの注目ポイントは「馬主」です。 キャロットファームは昨年、GIレースの各部門を席巻。これは使い分けを常とする社台ノーザングループにはあまり見られないケースと思われることでしょう。 ・サートゥルナーリア(皐月賞) ・リスグラシュー(宝塚記念、コックスプレート、有馬記念) ・クリソベリル(チャンピオンズC、ジャパンダートダービー) ・レシステンシア(阪神JF) ※いずれもキャロットファームの所有馬 一方で、今年の上半期はラッキーライラック、グランアレグリア、クロノジェネシスら牝馬勢の活躍が際立った【サンデーレーシング】の独壇場。 「あなたの番です」と言わんばかりに、社台ノーザングループがレースごとではなく1年や半年、1か月といった短いスパンで主役の座を入れ替えていることがおわかりいただけるかと思います。 こうした流れを踏まえれば、皆様が今年の秋、最もその動向に注目の視線を注ぐのはアーモンドアイでありシルクレーシングの存在になるのではないでしょうか。 やや偶発的な要素が絡んだとはいえローズSはリアアメリアが勝利。インディチャンプのスプリンターズS出走回避を経て、クラブ会員への【返し】のタイミングは極めて迅速。 その使者に指名されたのは毎日王冠の◎サリオス、そして京都大賞典の◎グローリーヴェイズでした。 -----以上REVELATION REPORTの見解を引用----- 先週時点で申し上げておりましたシルクレーシングの【勝ち星調整】。 それを踏まえ、府中牝馬Sの出走馬を思い返していただければ、当該レースに「サンデーレーシング所属馬」「キャロットファーム所属馬」は存在せず、であるからこそ当日は東京開催を選択したC.ルメール騎手にして重賞競走にも関わらず騎乗馬が宛がわれていないレアケースに該当した一戦でもございました。 以上を踏まえ、今回、我々が提供した買い目は以下の通り。 =============== [土]東京11R :府中牝馬S プライベートランク:☆☆☆☆☆ <評価順> ◎4 サラキア ○7 トロワゼトワル ▲5 ラヴズオンリーユー ☆6 シャドウディーヴァ △8 サムシングジャスト <結果> 1着◎4サラキア 2着☆6シャドウディーヴァ 馬単:2万340円的中[8点]※馬単マルチ =============== 3着した最低人気馬△サムシングジャストの奮起もあり、3連複、3連単といったいわゆる保険馬券の的中報告も多数寄せられましたが、我々が下した最終結論は馬単マルチによる提供であり払戻金額にして2万3400円的中。 神戸新聞杯馬単2点的中のキーホースでもあったヴェルトライゼンデ、スプリンターズSの覇者グランアレグリア、そして毎日王冠を快勝してみせた◎サリオスに続き、ノーザンファーム生産馬2頭によるワンツー決着ですから、戦前の段階で【独裁】という言葉を用いた意図はご理解いただけたはずです。 しかし、その翌日に行われた秋華賞において、前記のとおり独裁たる結果を演出したノーザンファーム生産馬に思いがけないバイアスが生じることになります。 ================= [日]京都11R:秋華賞 プライベートランク:☆☆☆☆☆ <評価順> ◎13 デアリングタクト ○1 ミヤマザクラ ▲2 リアアメリア ☆9 サンクテュエール 注17 ウインマリリン 注5 ウインマイティー △10 クラヴァシュドール 穴12 マジックキャッスル <結果> 1着◎13 デアリングタクト 2着穴12 マジックキャッスル 3着無8 ソフトフルート 3連単F:4万4110円不的中[30点] ================= 競馬史上1度も現れていない[無敗の三冠牝馬]という歴史的瞬間に立ち会うべく桜花賞、オークスに続き◎デアリングタクトを本命抜擢のうえ臨んだ一戦。 オークス以来ぶっつけ本番という強気なローテーションで臨んだこともまた厩舎サイドにとってみれば最善策たる根拠を見出していたからであり、終わってみれば他馬との力量差に頷くほかない完璧な立ち回りを披露し晴れて競馬史に新たな一ページを刻んだデアリングタクト。 一方、3連単フォーメーションにおける2列目指定馬とした、 ○ミヤマザクラ ▲リアアメリア ☆サンクテュエール に関しては、◎デアリングタクトの存在を過剰に意識した鞍上サイドの判断から、想定ラップを上回るペースで1000m地点を通過。 4角手前から最終直線走路にかけてデアリングタクトがワープしたかのように先頭に並びかけるシーンがございましたが、厳密には先行勢が揃って脚を失くしたことにより、引力が働いたかのように早目先頭に押し出されてしまったわけです。 結果が出た今となっては、2着したマジックキャッスルはもとより、3着争いを演じたソフトフルートであり、パラスアテナはおさえて然るべきといった声はごもっともと言わざるを得ません。 しかし、レース後にマルターズディオサの田辺騎手が明かしていたように、「本質的に短い距離がいい」とするマルターズディオサがレースを牽引すると分かっていた中で、あれほどの消耗戦に自らを追い込む必要はあったのでしょうか? 実際、溜め逃げを得意とする田辺騎手の戦法はかつてモーリスを破ったロゴタイプの安田記念であり、それこそ前走の紫苑Sの騎乗内容でご存知の方も多いと思いますが、その田辺騎手が騎乗するマルターズディオサにホウオウピースフルが終始掛かり加減で絡んでいたことで、極端といえるほどの前傾ラップを刻んでしまった点は、我々が意図していたシナリオから逸脱する結果に転ずることを暗に示唆するものでした。 ■2018年秋華賞LAP ※優勝馬:アーモンドアイ 12.1 - 10.9 - 12.7 - 12.1 - 11.8 - 11.9 - 11.8 - 11.5 - 11.8 - 11.9 決着タイム:1:58.5 ■2020秋華賞LAP ※優勝馬:デアリングタクト 12.3 - 10.8 - 11.8 - 12.2 - 12.3 - 12.7 - 12.1 - 12.4 - 11.9 - 12.1 決着タイム:2:00.6 上記の決着タイムを比較いただければ一目瞭然といえますが、馬場コンディションの差もあり決着タイムはアーモンドアイが勝利した2018年が約2秒上回っております。 一方で、1000通過タイムはといえば、ミッキーチャームが牽引した2018年が【59.6】。 繰り返しになりますが、マルターズディオサが牽引した今年は【59.4】。 どれだけ異質なペースで前半1000mを通過していたかはお分かりいただけると思います。 では実際に、我々が意図していた前半1000m【60.7】の通過タイムでレースが流れていた場合、今回の結果と変わらずソフトフルートでありパラスアテナが3着争いに顔をだしていたでしょうか? 少なからず今回の3着争いに加わった2頭は最初の2ハロンは競馬に参加していません。 菊花賞などの長距離レースでは、終い勝負にかける騎手が選択する戦法の一つであり、前半はレースに参加させず、折り合い専念の競馬に徹することを意味しますが、この乗り方を小回りの2000m戦で行うということはギャンブル的要素に富んでおり、よくいえば腹を括った騎乗ともいえます。 無論、福永騎手、川田騎手、ルメール騎手に対して、そうした指示はでていなかったわけでして、彼らからすれば、前半で引くに引けないポジションにつけてしまったことからも、為す術なく敗れた一戦であったことは確かです。 そして、この乱ペースを生んだトリガーは池添騎手騎乗のホウオウピースフルであり、終始マルターズディオサを煽り気味に追走したことで、マルターズディオサ自身も抑えが効かない状態でのレース運び。 戦前の段階で「針の穴に糸を通す」ほどのシナリオであれば、それはシナリオがそもそも間違っていると一刀両断されて然るべきシチューエーションといえますが、当日の馬場コンディションでマルターズディオサが刻んだペースは明らかに異常値です。 その後、ホウオウピースフルはメンタル面での疾患が生じていることが判明し、複合的な理由から異常値が生じたともいえるわけですが、◎デアリングタクトが三冠を達成することと同様に、皆様に秋華賞の的中馬券をお届けし、ともに喜んでいただくことを励みとしていた我々にとっても本当に本当に残念な一戦となりました。 ご参加いただいた皆様方におかれましては、歴史的瞬間に立ち会っていただいたにも関わらず、心から祝福するには受け入れがたいレースとなってしまったことと思います。 ただし、これまでも敗戦を糧に、次なる勝利の道へと繋げてきましたように、闇雲にリベンジという言葉を用いるのではなく、それは今週末以降の戦果でもってお示しするべき事柄だと自負しております。 ゆえに、牡馬三冠ロード最終戦・菊花賞。 注目はなんといってもデアリングタクトに続く同世代同士の無敗の三冠がかかるコントレイル。3歳で凱旋門賞に挑んだキズナをはじめ、常に世界へと視野を向けるノースヒルズが早々に三冠を目指すと公言。前哨戦・神戸新聞杯をノーステッキで突破した内容から、父ディープインパクトと同じ無敗の三冠馬の偉業に一点の曇りもないとの評価が濃厚です。 「偉業の瞬間に立ち会いたい」と言わんばかりに、今年の菊花賞は29頭がエントリー。近年、これだけの頭数が出走登録馬に名を連ねるケースは極めて稀です。 現段階でその理由までは明かせませんが、エントリーした「厩舎」にご注目ください。 ・矢作調教師 ・国枝調教師 ・須貝調教師 ・友道調教師 ・池江調教師 春のGIシリーズでコントレイル、アーモンドアイを送り込んだ矢作師、国枝師。過去に菊花賞馬を輩出した友道師、池江師ら今日の競馬界を牽引するキーマンたちが一堂に会します。 複数頭出しの馬主はいるのか? 複数頭出しの調教師はいるのか? これまで【貸し】を行った馬主・調教師はいるのか? 世界が注目するディープインパクトの仔による三冠挑戦。然るべき結果でJTTCの“底力”をお示しいたします。 今週のレポートは以上でございます。 JTTC日本競走馬育成評議会 執行役員 種牡馬部門 吉田晋哉