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REVELATION DIRECTIVE[天皇賞秋週:2020/10/31-11/01号]

■開催競馬場:東京/京都/福島 ■開催重賞:アルテミスS/スワンS/天皇賞秋 ■執筆担当:吉田晋哉 ------------------------------------- <REVELATION RACE LIST> ■土曜 東京11R アルテミスS ■日曜 東京11R 天皇賞秋 ------------------------------------- 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 JTTC種牡馬部門担当の吉田晋哉です。 10月28日(火) ノーザンF繁殖牝馬セール 10月29日(水) JS秋季繁殖馬セール 今週は2つの繁殖馬のセールが行われましたが、ご参加されたメンバー様お疲れ様でした。 また当会のセリ部門担当スタッフを信頼いただき、落札を決断されたメンバー様、誠にありがとうございました。 競走馬を購入するだけでなく、繁殖牝馬をご自身で保有することで、より充実した馬主ライフをお楽しみいただけると思います。益々のご発展をお祈りしております。 また、この2つの繁殖馬セールの特徴を頭に入れておくことで、今後行われる主要なレースに組まれるテーマも見えてくるはずです。 セリに参加されなかったメンバー様におかれましても、トレンドを逃さないようにしておけば、獲れる馬券も増えると思いますので、この場を借りて共有させていただきます。 まずはそれぞれのセールで高額で取引された4頭をご覧ください。 <ノーザンF繁殖牝馬セール> 最高落札:取引価格7200万円 落札者:鬼塚義臣氏 販売者:ノーザンファーム 繁殖馬名:ダーヌビウス(3歳) 父キングカメハメハ 母ドナウブルー 母の父ディープインパクト 母の母ドナブリーニ 2番目の高額落札:取引価格5600万円 落札者:鬼塚義臣氏 販売者:ノーザンファーム 繁殖馬名:アストライア(4歳) 父キングカメハメハ 母ハープスター 母の父ディープインパクト 母の母ヒストリックスター <JS秋季繁殖馬セール> 最高落札:取引価格3630万円 落札者:サンデーヒルズ 販売者:社台ファーム 繁殖馬名:マルルー(3歳) 父キングカメハメハ 母スティンガー 母の父サンデーサイレンス 母の母レガシーオブストレングス 2番目の高額落札:取引価格2640万円 落札者:テクノファーム 販売者:社台コーポレーション白老ファーム 繁殖馬名:ラルシュドール(11歳) 父シンボリクリスエス 母レクレドール 母の父サンデーサイレンス 母の母ゴールデンサッシュ ノーザンF繁殖牝馬セールは、文字通りノーザンファームが主体。そのためJS秋季繁殖馬セールとは上場されていた繁殖の質は確かに異なるわけですが、ご覧のとおり、最もニーズがあったのは父にキングカメハメハを持つ配合の繁殖馬です。 クラブ法人「東京サラブレッドクラブ」のアドバイザーとしてご存知の方も多いと思いますが、鬼塚義臣氏名義で購入された馬がノーザンF繁殖牝馬セールにおける高額落札上位2頭となりました。 最高落札価格5600万円で取引されたダーヌビウスは、ドナウブルーの仔にあたりますので、近親に三冠牝馬ジェンティルドンナがいる血統。 2番目の高額取引となったアストライアは桜花賞馬ハープスターの初仔です。 ともに、近親にディープインパクト産駒のGI馬がいる良血馬ということになるのですが、高額落札の上位はキングカメハメハ産駒の繁殖ばかり。 「ディープインパクト産駒の繁殖牝馬が、全く上場されていなかったのか?」というと、そうではありません。 <ディープインパクト産駒> ノーザンF繁殖牝馬セール 10頭 JS秋季繁殖馬セール    9頭 合計19頭 <キングカメハメハ産駒> ノーザンF繁殖牝馬セール 6頭 JS秋季繁殖馬セール   10頭 合計16頭 ディープインパクト産駒の繁殖から生まれる仔=[母父ディープインパクト] となるわけですが、キングカメハメハ産駒の繁殖の方が高く取引された理由は、ディープインパクト産駒の質の高い繁殖馬は「売り出さなかった」からです。 繁殖馬のセールとは、各牧場による繁殖の入れ替えの場。 馬房には限りがあるわけで、来春に新たな繁殖馬を受け入れるために、馬房を確保するために売りに出されたわけです。 ディープインパクト産駒の良質な繁殖牝馬は極力売りには出さず、一方でキングカメハメハ産駒の繁殖牝馬は他の牧場に譲っても構わない。 極論を言えば、このような優先順位のもとで配合戦略が組まれている傾向が露骨にもなるわけですが、[キングカメハメハ産駒の良質な繁殖牝馬の放出]の最たる例が、2014年のJS秋季繁殖馬セールで取引された1頭です。 社台ブラッドメア(社台ファーム)が販売し、長谷川牧場が360万円で購入。 取引価格:360万円 落札者:長谷川牧場 販売者:社台ブラッドメア 繁殖馬名:デアリングバード(当時3歳) 父キングカメハメハ 母デアリングハート 母の父サンデーサイレンス 母の母デアリングダンジグ 説明するまでもなく、三冠牝馬デアリングタクトの母なのです。 社台グループから流出する[キングカメハメハ産駒の良質な繁殖牝馬]には宝といえるような馬も少なくないだけに、繁殖牝馬のセリではこのような血統の馬が人気になるのは当然といえます。 逆の視点でお話するならば、 ----------------------- 父:キングカメハメハ系 母:ディープインパクト系 ----------------------- このような配合の馬に対して、社台グループが力を入れている傾向を、豆知識として知っておいて損はないはずです。 広義でいえば、 キングカメハメハ系種牡馬 ・キングカメハメハ ・ロードカナロア ・ルーラーシップ ・ドゥラメンテ 母:サンデーサイレンス系まで視野を広げてみてください。 今週月曜日にはプロ野球のドラフト会議が行われました。 プロ野球は1軍、2軍の支配下登録選手は70名という制限があります。 ドラフトで指名するためには、支配下枠を空けておかなければならないわけで、「戦力外通告」や「引退」といった動きで枠が確保されるわけですが、制限のある馬房の空きを確保するという意味では、競馬界にも共通する話なのです。 「血の入れ替え」 「新しい血の導入」 「トレードオフ」という言葉もありますが、発展していくためには放出という難しい決断が迫られるのは、どの業界にも共通することではないでしょうか。 素質あるキングカメハメハ系の繁殖馬が続々と流出しているという事実を知っておくことで、沢山のお宝にありつける機会がきっと増えるはずです。 それでは、ここから今週の競馬に話を移します。 秋の東京開催が始まり今週で4週目。 10月11日(日) 東京11R 毎日王冠(GII) 1着◎9 サリオス 2着▲5 ダイワキャグニー 3着△7 サンレイポケット 3連単:3430円的中[16点] 10月17日(土) 東京11R 府中牝馬S(GII) 1着◎4サラキア 2着☆6シャドウディーバ 馬単:2万340円的中[8点]※馬単マルチ 10月24日(土) 東京11R 富士S(GII) 1着▲5ヴァンドギャルド 2着◎11ラウダシオン 3着△9ケイアイノーテック 3連複F:7710円的中[14点] ここまでは1度もGIはなく3週連続でGII重賞が行われてまいりましたが、「上記3つの重賞はセットで考えるべき」とお伝えしておりましたとおり、すべてで本命馬として擁立されていたのはシルクレーシングの馬。その結果、3重賞連続の的中をお届けすることができました。 東京重賞連勝の流れを踏襲するというわけではありませんが、今週も<REVELATION RACE LIST>として、東京の重賞2つをピックアップします。 まずは土曜日に行われるアルテミスS。 12月に行われる2歳GIの「阪神JF」を見据えて、東京芝1600mで行われる2歳牝馬限定重賞です。 前提として、阪神JFに繋がるアルテミスSの1枠分は、すでに他のレースで補われていたことを言及しておく必要があります。 この世代に特化したお話にはなりますが、もし仮にアルテミスSに出走していたとすれば、賞金加算できる2着内の1枠を埋めていた存在。 10月10日(土) 東京11R サウジアラビアRC(GIII) 1着○9 ステラヴェローチェ 2着◎5 インフィナイト 馬単1880円的中[4点]※馬単マルチ その存在とは、同舞台(東京芝1600m)で行われた2歳限定の牡馬牝馬混合重賞「サウジアラビアRC」で2着と好走したインフィナイトです。 サウジアラビアRCの出走馬で、唯一、牝馬として出走していたのはサンデーレーシングの所有馬でモーリスの初年度産駒にあたるインフィナイト。 次走は、12月13日に行われる阪神JFに出走する方向で調整が進められています。 この世代では、ノーザンファームがモーリスの配合相手には優秀な繁殖牝馬を集中してあてがっていたことは皆様もご存知でしょう。 まずは阪神JFにモーリス産駒を出走させるというテーマを掲げて、育成メニューが組まれており、最初の1頭としてインフィナイトを擁立できたことで、このアルテミスSでは2つ目のテーマに取り掛かることができるようになったのです。 アルテミスS出走馬をご覧ください。 ----------------------- 1枠1番 タウゼントシェーン(父ディープインパクト) 1枠2番 ストゥーティ(父モーリス) 2枠3番 ミルウ(父ハービンジャー) 2枠4番 クールキャット(父スクリーンヒーロー) 3枠5番 ユーバーレーベン(父ゴールドシップ) 3枠6番 ククナ(父キングカメハメハ) 4枠7番 ウインアグライア(父マツリダゴッホ) 4枠8番 シャドウファックス(父スウェプトオーヴァーボード) 5枠9番 オレンジフィズ(父エピファネイア) 5枠10番 ペイシャフェスタ(父マクフィ) 6枠11番 ニシノリース(父ロードアルティマ) 6枠12番 ハイプリーステス(父ネオユニヴァース) 7枠13番 テンハッピーローズ(父エピファネイア) 7枠14番 ソダシ(父クロフネ) 8枠15番 モリノカンナチャン(父ハービンジャー) 8枠16番 ヴァーチャリティ(父マクフィ) ----------------------- 出走馬16頭のうち、同じ産駒で複数の馬が擁立されているのは、ハービンジャー、エピファネイア、マクフィ産駒のそれぞれ2頭。 エピファネイア産駒 ・オレンジフィズ(ノーザンファーム) ・テンハッピーローズ(社台ファーム) ハービンジャー産駒 ・ミルウ(ノーザンファーム) ・モリノカンナチャン(青藍牧場) マクフィ産駒 ・ペイシャフェスタ(梅田牧場) ・ヴァーチャリティ(桑田牧場) その上で10月30日時点でのリーディングサイヤーを一度ご確認いただき整理しておくのが望ましいかもしれません。 <2歳馬> 1位モーリス 2位エピファネイア 3位ドゥラメンテ 4位ディープインパクト 5位キズナ 6位ロードカナロア 7位リオンディーズ 8位ハービンジャー 9位マクフィ 10位ダイワメジャー <全馬> 1位ディープインパクト 2位ロードカナロア 3位ハーツクライ 4位ルーラーシップ 5位オルフェーヴル 6位キングカメハメハ 7位ダイワメジャー 8位キズナ 9位エピファネイア 10位キンシャサノキセキ 現時点では上記のような順位となっておりますが、ドゥラメンテ産駒(2歳3位)、キズナ産駒(2歳5位)、ロードカナロア産駒(2歳6位)は1頭も擁立されていないのです。 率直に申し上げれば、[調整]するためのレースとなるのです。 競馬は種牡馬という血脈という利権を中心に繰り広げられている産業です。 その上で、JRAが事業計画のテーマとして、「魅力あるレースの提供」を掲げながら、各レースが行われています。 主催者であるJRAと共存しながら、生産界も事業計画に沿った戦略を遂行しているわけですが、現2歳世代に思い描いていた[理想]の計画と、[現実]のズレを是正する場面が毎年どこかで設定されているのです。 今年のアルテミスSは、阪神JFに向けて、まさに【計画是正】の典型例とも言うべき一戦なのです。 アルテミスSは阪神JFのトライアルという名目ではありませんが、賞金加算ができるために事実上の阪神JF出走馬選定レースと言いかえることができます。 長くなりましたので、もう一度繰り返しておきます。 インフィナイトが、半月前にサウジアラビアRCで最低限の2着を確保したことによって、アルテミスSから阪神JFに向かうための1枠が空けられました。 ここで「貸し借り」が生まれているわけですが、アルテミスSは【共存】というキーワードを意識しながら想像してみてください。 最後に、日曜日に行われる天皇賞秋について。 1着馬に天皇賞の優先出走権が与えられた毎日王冠の勝ち馬サリオスと、京都大賞典の勝ち馬グローリーヴェイズはともに天皇賞に駒を進めませんでした。 もし仮に出走していれば、両馬を所有するシルクレーシングはアーモンドアイとブラストワンピースを含む4頭出しで圧倒的な主導権を握ることもできたはずですが、そのチーム戦はあえて組まないという選択。 アーモンドアイにとっては、史上初の中央GI8冠目達成がかかる一戦。 種牡馬事情に目を向けていただくアルテミスSとは一転し、天皇賞秋は、馬主リーディングに着目いただきましょう。 10月30日時点の<馬主リーディングランキング> 1位 サンデーレーシング 2位 シルクレーシング 3位 キャロットファーム 4位 社台レースホース 5位 ゴドルフィン 6位 松本好雄 7位 金子真人ホールディングス 8位 ノルマンディーサラブレッドクラブ 9位 サトミホースカンパニー 10位 ウイン 11位 サラブレッドクラブ・ラフィアン 12位 ダノックス 13位 前田晋二(ノースヒルズ) 14位 吉田勝己 15位 東京ホースレーシング 上記は収得賞金順。 1位 サンデーレーシング【90勝】 2位 シルクレーシング【95勝】 3位 キャロットファーム【97勝】 4位 社台レースホース【71勝】 5位 ゴドルフィン【86勝】 勝利数では上記のようになっております。 所有する複数の馬を同じレースにまとめて使うことは、賞金を増やすチャンス、勝ち星を伸ばすチャンスを減らすことになるため、多頭出しでの「チーム戦」を組むよりは、「使い分け」を行って分散させた方が成績向上に繋がるわけです。 とはいえ、1つでも上の着順を狙うために、「チーム戦」を組むメリットがあることは、今更説明するまでもないでしょう。 最低限のコストでいかに結果を出すか。 少し寂しく映ってしまうものの12頭立てに落ち着いた今年の天皇賞秋は、そういうレースなのです。 <シルクレーシング> アーモンドアイ ブラストワンピース <サンデーレーシング> クロノジェネシス フィエールマン <前田幸治(ノースヒルズ)> カデナ スカーレットカラー <ダノックス> ダノンキングリー ダノンプレミアム ダイワキャグニー(大城正一) ウインブライト(ウイン) キセキ(石川達絵) ジナンボー(金子真人ホールディングス) フルゲートは18頭。 あと6頭は出走させることができるにも関わらず、12頭しか出ないのです。 天皇賞に出走させることができる馬を所有しているオーナーの方々は、「記念出走」よりも「実」を結ぶ戦略を組んでいるため。 出走頭数が落ち着いたのには、落ち着いたなりの明確な理由が存在します。 明言することでもありません。 11月1日日曜日。 15時40分の発走をお待ちください。 JTTC日本競走馬育成評議会 種牡馬部門 吉田晋哉