【結果総括】REVELATION REPORT[チャンピオンズC週:2020/1205-06号]
掲載日:2020年12月7日
平素は格段のご厚情を賜り、厚くお礼申しあげます。
JTTC内部監査室長を務める宇野篤でございます。
ジャパンカップの雪辱を晴らすという意味合いでも、この先に控える2歳GIに臨む上でも目に見える形としてプライベートメンバーの皆様にその恩恵を還元すべく迎えた先週末のレースでしたが、プライベートランク4つ星以上の提供レースにおいてはチャンピオンズCを含めすべて『的中』という結果でもって締め括ることが出来ました。
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[日]中京11R チャンピオンズC
プライベートランク:☆☆☆☆☆
<評価順>
◎11 チュウワウィザード
○15 クリソベリル
▲2 ゴールドドリーム
☆7 カフェファラオ
注4 エアアルマス
△6 エアスピネル
△12 モズアスコット
△13 インティ
<結果>
1着◎11 チュウワウィザード
2着▲2 ゴールドドリーム
馬単:1万1170円的中[7点]
<総評>
絶対王者クリソベリルに一矢報いたいとする陣営サイドの意気込みもさることながら、逆転するとあれば昨年4着のこの舞台と明言していた◎チュウワウィザードを本命抜擢のうえ臨んだ一戦。2頭はともに前走のJBCクラシックで対峙し、1着クリソベリル、3着チュウワウィザードとここでは完敗といえるレース内容であったものの、兼ねてから本レースを大目標としていたチュウワウィザード陣営からすればコンディション込みで負けて強しの競馬。事実、これまでの末脚を引き出す戦法ではなく、2番手から早め先頭を伺う積極先に転じた背景も、今走に向けての布石であり、中間に一頓挫あったクリソベリルに対し、理想通りの調整メニューで策を練ってきた陣営サイドの手腕を讃えて然るべきレース内容。2着にはそのチュウワウィザード目掛けて外から強襲してきたゴールドドリームが食い込み馬単万馬券を演出するに至った。
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週末を前にした「Revelation Directive」では、実際にチャンピオンズCのクリソベリルについて昨年とは中間の追い切り過程に「違和感」を抱えたなかでの出走態勢であった模様を吉田本人が描写していたわけですが、何よりもJBCクラシック2着の実績を持つオメガパフュームが今年は東京大賞典直行ローテという形で身を引き、同レース3着のチュウワウィザードがここで一矢報いるとする見解通りの決着シーンをご提示することとなりました。
昨年ゴールドアリュール産駒の2頭で決着し、3連単的中を無事お届けした際とは似て非なるレース背景にあったわけですが、奇しくもここでGI連勝記録が途絶えたルメール騎手の起用法ひとつとってみても、走らせる側の事情を知る立場にあることがどれだけ情報優位性を持つこととなるのか、その価値を配当という明確なリターンで体現できたことは大きな意味があったと思います。
また、前日に行われたチャレンジCについては、これまで懇意にしてきたプライベートメンバー様に、個人的にも強くお奨めしていたレースでありまして、人気サイドの決着とはいえ、1着◎レイパパレ(栗東・高野厩舎)、2着○ブラヴァス(栗東・友道厩舎)、3着▲ヒンドゥタイムズ(栗東・斉藤崇厩舎)と馬券対象馬とした3頭が評価順通りに決着し、70%の購入指示による3連単的中をモノにできたこともまた嬉しい限りの決着シーンでございました。
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[土]阪神11R チャレンジC
プライベートランク:☆☆☆☆☆
<評価順>
◎7 レイパパレ
○11 ブラヴァス
▲1 ヒンドゥタイムズ
<結果>
1着◎7 レイパパレ
2着○11 ブラヴァス
3着▲1 ヒンドゥタイムズ
3連単:620円的中[2点]※投資配分70%指示
<総評>
今年の牝馬クラシック戦線はいずれも非社台生産馬にあたるデアリグタクトに敗れたノーザン勢として、唯一逆転の余地ありとみていた◎レイパパレを本命抜擢のうえ臨んだ一戦。見解内で示していたように、松田国英厩舎で経験を積んだ高野師、友道師の管理馬2頭を上位評価とし、鞍上の川田、福永ともにそれぞれの騎乗馬の持ち味を存分に引き出すエスコートでもって当初の想定通りこの2頭によるワンツー決着。また、3着のヒンドゥタイムズにしても武豊の追い出すタイミングが今回のレース背景を体現しており、完全にレイパパレが抜け出したなかでの2・3着争いを前提とした騎乗内容。コース形態ゆえ、紛れが生じやすい阪神芝2000mでありながら、3連単2点提供とする最終結論を示していた根拠に、レイパパレの祖母にあたるオイスターチケットならびに管理調教師である松田国英氏に通じる利権が絡んでいたことはここに明言しておく。
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さすがにレース後は、川田騎手も肩で息をするほど体力を消耗しきっていましたが、初のコーナー4つの競馬で古馬重賞馬を相手に勝ち切ったあたり、無敗という切り札を継続したまま◎レイパパレが来年のレースに参戦することは、ノーザンファーム関係者にとっても値千金の価値といえ、無論、今年のクラシック戦線では鳴かず飛ばすの競馬に終わったキャロットファームにしても、広告効果を大幅に押し上げるであろうレイパパレの存在は胸を撫で下ろすにふさわしい結果であったと思います。
そして、新種牡馬の査定という観点からも、重要な位置を持つ「マイル戦」の中から、先週末は中京で行われた「こうやまき賞」を取り上げていたわけですが、父同様“武豊騎手”を背にした◎ダディーズビビット(父、キズナ)が1着で入線し、2着には同じく【非社台系生産馬】の○シティレインボー(父、エピファネイア)が入線と、吉田が暗にキズナ産駒、エピファネイア産駒の種付料改定の一件に触れていた布石をきっちり回収する大仕事をやってのけました。
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[日]中京9R こうやまき賞
プライベートランク:☆☆☆☆☆
<評価順>
◎8 ダディーズビビッド
○5 ストゥーティ
▲2 シティレインボー
<結果>
1着◎8 ダディーズビビッド
2着▲2 シティレインボー
3着○5 ストゥーティ
3連単:2万1390円的中[2点]※投資配分30%指示
<総評>
これまでも新種牡馬の価値向上といった観点からハービンジャーを父に持つペルシアンナイト、カフジバンガードが2年連続勝利するなど、談合色の強い一戦ではあったが、今年
その中心として抜擢していたのがキズナを父に持つ◎ダディーズビビッド。2021年を迎える上で、『社台スタリオンステーション』(=種牡馬の利権)が理想とする決着はマイル戦におけるキズナ産駒の実績増と見解内に記したように、チューリップ賞勝ちのマルタ―ズディオサなど期待値が極めて高い状態で勝ち切ったことに大きな意義がある。事実、2走前にはデイリー杯2歳Sの2着馬ホウオウアマゾンに詰め寄った実績を持ち合わせていながら、距離延長+道悪馬場の悪条件が重なった前走で着順を落とし、最終的には3人気の支持に甘んじていたことが3連単万馬券決着に繋がる大きな布石となった。
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北は北海道から、西は鹿児島まで、育成従事者とのリレーションシップという意味では、我々以上に多岐に渡る調教エビデンスを取集する企業は他にないと自負していますが、先週はそうした中にあって「京都2歳S」を取りこぼしていただけに、福永騎手が騎乗した○ストゥーティ(父、モーリス)を含む上位3頭がきっちり馬券圏内を確保し3連単2万1390円と回収率を押し上げたことも阪神JFを前に大きな追い風となったはずです。
実際、この「こうやまき賞」はチャンピオンズC以上の扱いでもって、Revelation Directiveに取り上げていた一戦ですから、無料メンバーの皆様におかれましても、日曜日の注目レースとしてご覧いただけたと思いますが、当時吉田が記していた下記の内容でもって、少なくともキズナ、エピファネイアをともに繋養する社台スタリオンステーションの事情に精通する情報を得ていたことは察知いただけたのではないでしょうか。
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まずは2歳の芝マイル戦、中京9Rの【こうやまき賞】について。
これまで、何度も焦点としてきましたが、ここでもお決まりのアノ背景です。
【ディープインパクト産駒が追いやられた2歳戦】
2020年12月4日現在
2歳馬リーディングサイヤー(種牡馬)ランキング
1位 ディープインパクト
2位 ドゥラメンテ
3位 モーリス
4位 キズナ
5位 エピファネイア
ディープインパクト産駒に加え、2位に浮上中のドゥラメンテ産駒も不在。
こうやまき賞は「1勝クラス」という条件で重賞ではありませんが、レースの重みという観点でいえば、ある意味、「重賞と変わらない」という視点でご覧いただきたい一戦なのです。
今年の2歳重賞において、ディープインパクト産駒の出走ならびに、勝利前提で行われた唯一の一戦が、デイリー杯2歳Sでした。
2020年11月14日
阪神11R デイリー杯2歳S
1着◎レッドベルオーブ(父ディープインパクト)
2着○ホウオウアマゾン(父キングカメハメハ)
3着▲スーパーホープ(父キズナ)
3連単890円的中
◎ディープインパクト産駒→○キングカメハメハ産駒の大本線で決着した一戦で、上位2頭は賞金を加算し、朝日杯FSへ。
先ほどこうやまき賞については、【ディープインパクト産駒が追いやられた2歳戦】と言いましたが、それだけでなく、“スーパーホープ”も追いやられたという事実だけは皆様に知っておいて頂きたいです。
スーパーホープは、複数の存在を牽制するために、暫定的にこうやまき賞に特別登録だけは行っていました。
表向きには、こうやまき賞への出走ではなく、朝日杯FSに向かう方向で落ち着いたスーパーホープですが、
「スーパーホープが出るなら・・・」と出走を諦めさせるような戦略により、出走馬のコントロールが図られた上で、結果的には“8頭立て”という少頭数の一戦に仕向けられた経緯があります。
こうやまき賞は、2013年に開設された中京芝1600mを舞台とする2歳1勝クラスの条件戦。
2013年には後のオークス優勝馬ヌーヴォレコルトが勝利。
2016年には、3歳でマイルCSを制したペルシアンナイト。
2017年には香港ヴァーズ優勝馬グローリーヴェイズが2着。
ローカルの地で行われる1勝クラスとはいえ、過去7年の歴史で3頭のGI馬が好走しているように、ただのローカルで行われる2歳戦とは思わないで頂きたいのです。
<中略>
牡馬4頭、牝馬4頭。
8頭中、4頭がノーザンファーム、1頭が社台ファームの生産馬。
社台系生産馬以外で、出走に踏み切ることができた存在は、
シティレインボー【エピファネイア】
ダディーズビビット【キズナ】
社台スタリオンステーションで繋養され、種付け料1000万円に設定されたエピファネイア産駒とキズナ産駒がそれぞれ1頭ずつ。
そしてキズナを輩出し、引退後はディープインパクトの後継種牡馬としての未来が拓けているコントレイルも輩出したノースヒルズのロングトレーン。
この3頭だけしか、こうやまき賞には出走できないのです。
また「こうやまき賞」が、チャンピオンズカップ開催日当日に施行されることが初めてです。
つまりは、「レースコントロール」に長けているC.ルメール騎手、福永祐一騎手、武豊騎手といった【政治】的な騎手を揃えることができたのです。
この3名が揃うことでのメリットは、【レースが崩れる可能性を極限までおさえることができる】ということ。
新馬戦でレッドベルオーブにアタマ差で勝ったストゥーティを、福永祐一騎手を配して出走させる意味。
そこに極めて重要なメッセージが込められていることだけはお伝えしておきましょう。
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本レースの布石としましては、以下3点に要約することが出来ます。
1)キズナ産駒【スーパーホープ】の出走取消
2)社台系生産馬以外で、出走に踏み切ることができた存在は、シティレインボー【エピファネイア】、ダディーズビビット【キズナ】の2頭のみ
3) 新馬戦でレッドベルオーブにアタマ差で勝ったストゥーティを、福永祐一騎手を配して出走させる意味
今後のマイル戦にもいくらか影響を及ぼす可能性があることから、こうやまき賞の提供見解をそのまま披露することは自重するほかありませんが、わざわざ本レースに出走しない【スーパーホープ】に言及した上で、非社台系生産馬の2頭であり、福永祐一騎手をクローズアップしていたあたりは、阪神JFであり、朝日杯FSの布石として今回の「こうやまき賞」を位置付けていたことの何よりの証です。
裏を返せば、阪神JFを前に【非社台系生産馬】に優位な状況を作っていたわけですから、「貸し借り」という観点からご覧いただければ、今週末に控える「阪神JF」の大枠はあらかたご想像いただけるのではないでしょうか。
無論、先週末の提供結果に甘んじることなく、師走競馬最大の見せ場ともいえる2歳GIを我々は全力で勝ちに行きます。
本命サイドの陣営からも既に、『攻めこそ最大の防御』とする臨戦態勢が敷かれた一戦ですので、気後れすることなく、また必要以上に気負うこともなく、育成の奥深さを一人でも多くのメンバー様と分かち合えるようベストを尽くします。
乞うご期待ください。
JTTC-日本競走馬育成評議会
内部監査室長
宇野篤