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REVELATION DIRECTIVE[有馬記念週:2020/1226-27号]

■開催競馬場:中山/阪神 ■開催重賞:ホープフルS/阪神C/有馬記念 ■執筆担当:吉田晋哉 ------------------------------------- <REVELATION RACE LIST> ■土曜 阪神4R 2歳新馬 ■土曜 中山11R ホープフルS ------------------------------------- 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 JTTC種牡馬部門担当の吉田晋哉です。 リスグラシューがラストランVを飾った有馬記念から早1年が経過。 一般競馬ファンの皆様にも、「プライベートサロン」を公開してから、2度目の有馬記念を迎えようとしております。 昨年は、有馬記念を終えた6日後にホープフルSが施行され、コントレイルが1冠目のGIタイトルを獲得。 年明け頃には、1月20日に横浜港を出港したダイヤモンドプリンセス号が話題となり、世界的にコロナの時代を迎えることになりました。 ドバイワールドカップの中止、欧州や米国での競馬開催中止など、紆余曲折がありました。 一方、日本競馬界は無観客開催を実施しながらも無事に1年間の競馬開催の遂行を成し遂げることができそうです。 これもひとえに、日本の競馬ファン、競馬関係者の協力があってこその実現であり、皆様のおかげです。 競馬産業を本業とする当会にとっても、競馬開催が滞りなく行われてきたことに、心より感謝を申し上げたいと思います。 泣いても笑っても、2020年の中央競馬は、今週末で締め括り。 内部監査室長を務める宇野さんの口癖であり、宇野語録の1つでもある「楽しむことファースト」の精神で、有馬記念開催週をともに楽しみましょう。 牡牝揃って、無敗の三冠馬が誕生した2020年。 アーモンドアイが芝GI勝利数の記録を塗り替え、阪神JFでは白毛馬による中央GI初制覇。 そのような歴史的快挙に隠れるようにはなってしまいますが、大阪杯とエリザベス女王杯で2つのGIタイトルを獲得したラッキーライラックの活躍も抜きにはできません。 そして宝塚記念では大阪杯でラッキーライラックの2着であったクロノジェネシスが牡馬を退けてのグランプリGI優勝。 さらには、ラッキーライラックを相手にノームコアが札幌記念を制した上に、先日の香港カップで海外GIタイトルを獲得。 日本のGI4勝馬ラッキーライラックを札幌記念で倒した馬が、香港カップを制した偉業により、【現代日本競馬の牝馬勢】に対する世界の眼が明らかに一変しました。 牡馬では無敗の三冠馬となったコントレイルがいるわけですが、スポットライトが当たり続けていたのは、ほとんどが牝馬であったことは皆様もご存知の通りでしょう。 そのようなパラダイムシフトの渦中にあった2020年競馬を締め括る『有馬記念』は、出走馬16頭中5頭が牝馬という構成となるわけですが、ここに揃えられた「5頭の牝馬」は、海外関係者から見ても、[血統背景]に一定以上の価値が認められている馬ばかりなのです。 2枠4番  ラヴズオンリーユー 父:ディープインパクト 母:ラヴズオンリーユー 母父:Storm Cat 厩舎:矢作芳人 全兄リアルスティールはドバイターフGI優勝馬。 4枠7番  ラッキーライラック 父:オルフェーヴル 母:ライラックスアンドレース 母父:Flower Alley 厩舎:松永幹夫 父オルフェーヴルは凱旋門賞2着馬。 5枠9番  クロノジェネシス 父:バゴ 母:クロノロジスト 母父:クロフネ 厩舎:斉藤崇史 父バゴは凱旋門賞優勝馬。 半姉ノームコアは香港カップ優勝馬。 5枠10番 カレンブーケドール 父:ディープインパクト 母:ソラリア 母父:Scat Daddy 厩舎:国枝栄 母父Scat Daddyは、2018年に米国三冠馬Justifyを輩出。 7枠14番 サラキア 父:ディープインパクト 母:サロミナ 母父:Lomitas 厩舎:池添学 母サロミナはドイツオークス優勝馬。 矢作芳人厩舎は、リアルスティールでドバイターフ(ドバイGI)優勝経験あり。 松永幹夫厩舎は、ラニでベルモントS(米国GI)3着好走経験あり。 国枝栄厩舎は、アーモンドアイでドバイターフ(ドバイGI)優勝経験あり。 馬だけでなく、[厩舎]も世界の競馬関係者に知れ渡っているネームバリューがあるのです。 競馬ファンの間では、有馬記念は「世相を表す」ということで、サイン馬券のようなところに注目が集まりがちなわけですが、[競馬界のトレンドが反映される一戦]として見るべきではないでしょうか。 【日本には優秀な牝馬が多い】という印象付けが出来れば、海外トップクラスの種牡馬を配合相手に迎えやすくなるのです。 その最たる例が、今年の凱旋門賞に参戦していたディアドラの配合相手に決まったのが、世界のGalileo(ガリレオ)であるということ。 「世界一の馬券売り上げ」を誇り、1着賞金3億円のレースとして、日本の国民的行事という位置付けだけでなく、世界が注目する日本のグランプリが有馬記念。 外国から積極的に繁殖牝馬を輸入してきた日本競馬界において進められてきた【牝馬改革】。 日本にいる「繁殖牝馬のレベルが高い」という認識から、「日本の牝馬は強い」という印象に塗り替えられてきたのです。 ともすれば、次のフェーズは? 皆様ももうおわかりでしょう。 「海外の優秀な種牡馬」を日本に導入するミッションに重きが置かれていくのです。 当会においても、「海外とのトレード」に多大な影響を与えられる組織に進化すべく、『海外部門』の強化に本格的に着手していくのが2021年ということになります。 ここの一件については、「サプライズ選出」もございました。 本日は長くなってしまいますので、このあたりの件については、次回の「REVELATION REPORT」を執筆する宇野さんにバトンタッチすることにします。 それでは、今週の「REVELATION DIRECTIVE」の本題に移りたいと思います。 「REVELATION DIRECTIVE」とは指示書。 つまりは、今後の道標を提示する場でもあります。 2021年5月30日。 約5ヶ月先にはなりますが、「何の日」にあたるか、わからないというメンバー様はいらっしゃらないでしょう。 「第88回 東京優駿」【日本ダービー】の開催日です。 三冠馬が誕生した翌年のクラシック世代とは、いったい、どういう世代なのか。 「谷間の世代」=レベルが落ちる世代というようなことを申し上げるつもりはありませんが、 種牡馬の勢力図が移行する狭間の世代であり、種牡馬戦略については、【ダブルスタンダード】が敷かれている世代です。 ▼「ディープインパクト」「キングカメハメハ」を失った時代を迎え、次の爆発的な種牡馬を擁立されるまでを繋ぐための中堅種牡馬の成績調整を図る戦略。 ▼「ディープインパクト」「キングカメハメハ」の後継種牡馬になりうる事実上のラスト後継馬を発掘し、さらに層を厚くするための戦略。 一見、相反する戦略となりますが、このダブルスタンダードが敷かれているだけに、沢山の矛盾が生じることは、種牡馬部門として、今から提言しておく必要があります。 その戦略の号砲ともいえる第1弾にあたるのが、今年の『ホープフルS』なのです。 そして、ホープフルS開催日当日に、阪神芝1800mで行われる『2歳新馬』も注目していただきたい一戦。 昨年のM-1を優勝したミルクボーイの漫才と同じように、「行ったり来たり」揺さぶられることが多い世代ともいえますので、どうか戸惑うことのないように。 計画を見る限り、現時点でお伝えできることは、一方を際立たせた後は、全く正反対の方向に振り切るような場面が昨年の世代よりも断然多くなります。 ただし慣れてくると、一定のリズムがわかるようになると思います。 今は、お伝えできることはそう多くはありませんが、 ・ホープフルS(2020年12月26日) ・京成杯(2021年1月17日) ・若駒S(2021年1月23日) ・セントポーリア賞(2021年1月31日) ・きさらぎ賞(2021年2月7日) ・共同通信杯(2021年2月14日) 少なくとも、この6レースには、戦略が計画的に組まれているということだけ頭に入れておいてください。 このような計画が存在していることを知らぬまま、今週は「有馬記念」だけに目が向いてしまうのは、大きな機会損失となりますため、 今週の<REVELATION RACE LIST>では、 ■土曜 阪神4R 2歳新馬 ■土曜 中山11R ホープフルS この2歳世代の2レースをピックアップします。 まずは「阪神4R 2歳新馬」の出走登録馬にご注目ください。 -------------------------------- 1枠1番 タガノキャンディ 父:ケープブランコ 生産牧場:新冠タガノ 1枠2番 サトノラムセス 父:キングカメハメハ 生産牧場:下河辺牧場 2枠3番 スイートフェンネル 父:マツリダゴッホ 生産牧場:岡田スタッド 2枠4番 エイカイステラ 父:オルフェーヴル 生産牧場:ノーザンファーム 3枠5番 ヴァリアメンテ 父:ドゥラメンテ 生産牧場:白老ファーム 3枠6番 リオンドール 父:オルフェーヴル 生産牧場:社台ファーム 4枠7番 リエンカウンター 父:Pivotal 生産牧場:Godolphin(英国) 4枠8番 セルディアーナ 父:ハーツクライ 生産牧場:ノーザンファーム 5枠9番 ナムラロクロー 父:グランデッツァ 生産牧場:ナカノファーム 5枠10番 デスティノアーラ 父:ディープインパクト 生産牧場:ノーザンファーム 6枠11番 テリオスマナ 父:エピファネイア 生産牧場:村下清志 6枠12番 フランチャコルタ 父:ハービンジャー 生産牧場:エムエム、ヤマダファーム 7枠13番 サツキハピネス 父:エピファネイア 生産牧場:タガミファーム 7枠14番 アメイジングタイム 父:モーリス 生産牧場:ノーザンファーム 7枠15番 メイショウコチカゼ 父:オルフェーヴル 生産牧場:三嶋牧場 8枠16番 サンライズヘリオス 父:ダイワメジャー 生産牧場:富田牧場 8枠17番 トーホウミトラ 父:キズナ 生産牧場:折手牧場 8枠18番 クイーンネモシン 父:ゼンノロブロイ 生産牧場:富田恭司 <非当選馬> パネットーネ 父:エピファネイア 生産牧場:社台ファーム ラムダ 父:ルーラーシップ 生産牧場:社台ファーム -------------------------------- 出走馬18頭+非当選馬2頭を加えた20頭が、この新馬戦に登録していたわけですが、今回あえて非当選馬を載せたのには、意味がないわけではありません。 出走馬18頭中、社台系生産馬は6頭で、全体の「3分の1」に独占率は留まるわけですが、各競走馬の種牡馬に注目いただくと、[13頭]が『社台スタリオンステーション』に関連する種牡馬であることにお気づきいただけるはずです。 18分の13。 非当選馬も含めると、「20頭のうちの15頭」、すなわち「4分の3」を占めることになるのです。 その中にも「バランスの偏り」が明らかに出ているレースと言えます。 中山競馬場でホープフルSが行われるため、土曜日の阪神はGIの裏開催になり、トップジョッキーは阪神には不在になるのですが、「福永祐一騎手」は阪神に残る1日。 とすれば、多くの方が「福永祐一騎手」の騎乗馬をまずチェックするのではないかと思います。 先週の朝日杯FSでは仕掛けの判断ミスを自ら認めておりましたが、コンビを組んでいた藤原英昭厩舎のエイカイステラが出走する一戦となりますが、福永騎手は渡辺薫彦厩舎のセルディアーナに今回は騎乗。 エイカイステラには、若手の岩田望来騎手を起用。 この図式から想像すると、「エイカイステラは微妙?」という方向に頭が引っ張られる方もいらっしゃるかもしれませんが、軽視しない方が良いとだけお伝えしておきたいと思います。 阪神4Rの2歳新馬については、ここまで。 最後に「中山11R ホープフルS」について。 こちらも出走馬にまずはご注目ください。 -------------------------------- 1枠1番 オーソクレース 父:エピファネイア 生産牧場:ノーザンファーム 2枠2番 ヨーホーレイク 父:ディープインパクト 生産牧場:ノーザンファーム 2枠3番 ランドオブリバティ 父:ディープインパクト 生産牧場:社台ファーム 3枠4番 ヴィゴーレ 父:キズナ 生産牧場:ノースヒルズ 3枠5番 テンカハル 父:キングカメハメハ 生産牧場:ノーザンファーム 4枠6番 ホールシバン 父:パイロ 生産牧場:ダーレー・ジャパン・ファーム 4枠7番 マカオンドール 父:ゴールドシップ 生産牧場:ノーザンファーム 5枠8番 バニシングポイント 父:Tapit 生産牧場:Whisper Hill Farm, LLC(米国) 5枠9番 アオイショー 父:ロードカナロア 生産牧場:新谷幸義 6枠10番 ダノンザキッド 父:ジャスタウェイ 生産牧場:ノーザンファーム 6枠11番 タイトルホルダー 父:ドゥラメンテ 生産牧場:岡田スタッド 7枠12番 アドマイヤザーゲ 父:ドゥラメンテ 生産牧場:ノーザンファーム 7枠13番 シュヴァリエローズ 父:ディープインパクト 生産牧場:ノーザンファーム 8枠14番 モリデンアロー 父:エスポワールシチー 生産牧場:森田芳男 8枠15番 セイハロートゥユー 父:キングカメハメハ 生産牧場:社台ファーム -------------------------------- ホープフルSは出走馬15頭中9頭が社台系生産馬。 社台スタリオンステーション関連の種牡馬は「15頭のうちの11頭」で、こちらも約4分の3を占めます。 主要な種牡馬に関しては、「2021年度の種付け料がどのように変遷しているのか」をご覧いただくことで、どのような調整を図ろうとしているのかが見えてくるはずです。 1500万円 ロードカナロア(前年比↓) 1000万円 キズナ(前年比↑)      エピファネイア(前年比↑)      ドゥラメンテ(前年比↑) 800万円  モーリス(前年比↑) 400万円  ルーラーシップ(前年比↓)      ハービンジャー(前年比↓) 350万円  オルフェーヴル(前年比↑) 300万円  ジャスタウェイ(前年比↓) ・種付け料を下げなければならなかったのは、なぜか。 ・種付け料を上げるにはどういう状態になることが理想か。 ・そして、どうすれば種付け料をあげることができるのか。 このあたりに目を向けることで想像に容易いレースとなるはずです。 競馬産業における勢力図に関しては、「牧場」や「馬主」という領域は、そうそう変わることはないのですが、これから[種牡馬の勢力図]が行ったり来たりする時代を迎えるのです。 2021年を見据えながら、有馬記念週の競馬を楽しみましょう。 JTTC日本競走馬育成評議会 種牡馬部門 吉田晋哉