【結果総括】REVELATION REPORT[金杯週:2021/0105号]
掲載日:2021年1月6日
皆様、お世話になっております。
JTTC競走部門の執行役員を務めております工藤修平です。
先週まで担当していた宇野さんに代わりまして、私、工藤がバトンを受ける形で「REVELATION REPORT」を執筆致しますので、どうぞ宜しくお願い致します。
世間の話題はコロナウイルスに集まるばかりで、どこに憤りをぶつけていいのかわからない悔しい日々を過ごすばかりではありますが、競馬を通じて少しでも皆様と明るい話題を共有しながら、この時代を生きていくことができればと考えています。
競馬という興行が世間のために貢献できること。
見通しが立たなかった昨春においても、競馬関係者、競馬ファンの皆様のお陰で中央競馬は開催を中断することなく遂行することができていたわけですが、「コロナに屈しない産業」としての競馬事業は、私にとっても誇りそのものです。
宇野さんが掲げた「楽しむことファースト」の精神を胸に刻みながら、この「REVELATION REPORT」を毎週楽しみにしていただけるように、腕を奮っていきたいと思います。
複数のメンバー様より、「このような時代に海外事業部に行くことになった宇野さんが心配です。どうか気をつけてください」という温かいメッセージを年末年始に沢山頂戴しておりました。
もちろん全てのメッセージは本人にも伝わっており、
「ご心配ありがとうございます。世間の情勢を見ながら活動しますのでご安心ください」
と申しておりますので、この場を借りて元気であることをお伝えさせて頂きます。
海外事業の拡大によって、競馬のレースに関連するような内部情報もこれまで以上にもたらされることが期待できますので、そのような情報が2021年は皆様の馬券収益に還元される機会が増えるでしょうから、皆様には引き続き宇野さんの活躍を応援いただけましたら幸いです。
さて、昨日1月5日の競馬開催において、種牡馬部門の吉田が「Revelation Directive」で記していたジュニアカップと京都金杯の2鞍。
【3歳オープンのマイル戦】「ジュニアカップ」
【中京芝1600mが舞台】「京都金杯」
この2戦は、今週末日曜日に中京競馬場で行われる3歳重賞『シンザン記念』に向けての伏線であったことに皆様もきっとお気づきだったことでしょう。
----Revelation Directive より引用----
まずは「ジュニアカップ」に触れますが、明け3歳馬によるリステッド競走、オープンクラスの一戦です。
「阪神JF」「朝日杯FS」「ホープフルS」という2歳GIを終えた直後に施行されることになるわけですが、
1月5日「ジュニアカップ」
1月10日「シンザン記念」
この2レースでは「使い分け」、もっと突っ込んだ表現を使えば「譲り合い」が水面下で行われているのです。
皆様にはもうお馴染みの「貸し借り」という言葉。
出走登録の段階で、裏でガッチリと握手していると言えばわかりやすいでしょうか。
「ここには出さないでくれ。その代わりこのレースは控える・・・」
この2戦に限ることなく、1月2月には芝1800m、芝2000mという距離で続々と3歳限定戦が繰り広げられていくことになります。
・京成杯(2021年1月17日)
・若駒S(2021年1月23日)
・セントポーリア賞(2021年1月31日)
・きさらぎ賞(2021年2月7日)
・共同通信杯(2021年2月14日)
俗に世間で「使い分け」と言われるような舞台裏では、もっと強制力のある「貸し借り」と言い換えることができるような出走を巡る忖度が働いているのです。
犠牲になれば、今度回ってくるのは恩恵。
恩恵を受ければ、今度は犠牲を払う。
ものごとには「順番」というものがあるのです。
中略
多頭出しという観点でいえば、小桧山厩舎が厩舎3頭出し。
冠名トーセンの島川氏が所有馬2頭出し。
ノーザンファームが4頭、社台ファームが1頭で、社台系生産馬が5頭。
ノーザンファームの生産馬が複数いれば、たいていはC.ルメール騎手の姿があるはずですが、5日の競馬にはそもそも不在。
・ヴィルヘルム
戸崎→松山→戸崎→【今回/松山】。
・ヴェイルネビュラ
福永→ルメール→【今回/戸崎】。
・ヒストリアノワール
横山武→ルメール→【今回/横山武】。
・ジャンカズマ
川田→ルメール→ルメール→戸崎→ルメール→【今回/横山典】。
ノーザンファームの生産馬4頭の鞍上は、上記のような「乗り替わり」で配置されたわけですが、昨年リーディング2位と奮闘していた“川田将雅騎手”が中山で騎乗しているにも関わらず、その川田騎手には騎乗馬を回さなかったというあたりに、着目してみてください。
昨年の暮れは朝日杯FSでグレナディアガーズ、ホープフルSではダノンザキッドで2歳GI連勝中。
ジャンカズマの初戦で騎乗経験があるにも関わらず、ここで突然【横山典弘騎手】を起用する意図は、なぜか。
さらに着目すべきは、【戸崎圭太騎手】です。
2度指名を受けているヴィルヘルムではなく、今回はテン乗りとなるヴェイルネビュラで起用されているということ。
【横山典弘騎手】ジャンカズマ
【戸崎圭太騎手】ヴェイルネビュラ
この2頭がどのように立ち回りながらレースを終えるのかは、最後まで目を離すことなく注目し続けてみてください。
-----------引用終了-----------
競馬に絶対ということはありませんが、事前に「スムーズならばほぼ間違いない」という決着の行方を事前に知っていたからこそ、ここまで踏み込んだ内容を書き記していた吉田の覚悟。
レースを終えた翌日とはいえ、よくもまぁここまで書いていたなぁと吉田の策士的な頭脳には、同僚ながらも驚かされるばかりですが、【ここにしか辿り着かない】という結論スレスレの内容だったのではないでしょうか。
さすがに「答えそのもの」を書くことはないわけですが、それでも新年初日から、決定打を文章にして組み込んでいたあたりは、吉田の計らいだったと思います。
C.ルメール騎手が不在だった1日。
皆様も記憶に新しいと思いますが、Cルメール騎手が不在の正月競馬において、その重役を代わりに担う場面が珍しくない戸崎圭太騎手。
あのアーモンドアイに、唯一、C.ルメール騎手以外の騎手が跨った経験があったのは、シンザン記念でアーモンドアイを勝利に導いた戸崎圭太騎手でした。
2度騎乗経験があるヴィルヘルムではなく、ルメール騎手からの乗り替わりとなった◎ヴェイルネビュラの鞍上を託された【戸崎圭太騎手】による好騎乗によって見事な勝利。
その◎ヴェイルネビュラの動きを見た後に仕掛けて、順当に2着を確保した○ジャンカズマを託されていたのは【横山典弘騎手】。
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[火]中山10R ジュニアカップ
プライベートランク:☆☆☆☆☆
<評価順>
◎5 ヴェイルネビュラ
○8 ジャンカズマ
<結果>
1着◎5 ヴェイルネビュラ
2着○8 ジャンカズマ
馬単:1210円的中[1点]
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◎ヴェイルネビュラ→○ジャンカズマという大本線決着とともに1点提供で馬単的中を仕留めるに至ったジュニアカップだったのですが、無料メンバー様からも「馬連1点でとれました」といったような報告を複数お寄せ頂いているあたりは、吉田が執筆する「Revelation Directive」の癖をよく分析されているのでしょう。
さすがの観察力は、お見事です。
また中京芝1600mで行われた「京都金杯」については、【多頭出し】というポイントを明確に打ち出していた通り。
安田隆行厩舎が、
◎レッドガラン
○ケイデンスコール
ロードカナロア産駒の2頭出しを敢行しており、「どちらかを勝たせる」という思惑が働いていた一戦でした。
----Revelation Directive より引用----
最後に「京都金杯」について。
一言で端的に申し上げるならば、「矛盾だらけ」の一戦です。
中略
<池江泰寿厩舎 3頭出し>
・スマートオーディン
・シュリ
・サトノアーサー
<安田隆行厩舎 2頭出し>
・ケイデンスコール
・レッドガラン
≪ノースヒルズ 2頭出し≫
・シュリ
・エントシャイデン
≪東京ホースレーシング 2頭出し≫
・レッドアネモス
・レッドガラン
同着にならない限り、「勝ち馬は1頭だけ」という競馬のレースにおいて、多頭出しがこれほどまでに散見されるのが、今年の京都金杯なのです。
『複数のチーム戦』が共存することにより、牽制し合う瞬間が複数回訪れることが想定できますが、このレースのポイントは多頭出しのチーム戦で臨むが故に、「動きたい時に動けなくなる」ということ。
その上で、レース全体に目を向けていただき、大外枠に入ったトリプルエース(ゴドルフィン)が動き出した時に、どの馬がまず反応し始めるのか。
仕掛けの連動性に着目ください。
-----------引用終了-----------
1番人気に支持されていたのはノースヒルズのシュリ(池江厩舎)。
序盤から『チーム戦』を仕掛けるために、同じくノースヒルズのエントシャイデンがハナを奪いレースを引っ張る展開で進められました。
前から5頭目あたりに陣取ったシュリに対し、その内で経済コースを確保していたのが、○ケイデンスコール。
またシュリを見るようにして後ろにつけていたのが東京ホースレーシングのレッドアネモスであり、そのレッドアネモスを前に見ながら◎レッドガランが脚を溜めるという隊列でした。
トリプルエースが3コーナーあたりから前に進出しようとしたところで◎レッドガランは抜け出すところがなく動けなかったのは痛恨でしたが、最後まで動くに動けなかったのはシュリ。
そのシュリの前にいた○ケイデンスコールが先に抜け出す形で掴んだ勝利は、安田隆行厩舎の【作戦勝ち】だったのです。
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[火]中京11R 京都金杯
プライベートランク:☆☆☆☆
<評価順>
◎8 レッドガラン
○2 ケイデンスコール
▲10 シュリ
☆15 サトノアーサー
注16 トリプルエース
△4 ピースワンパラディ
△13 エントシャイデン
△14 タイセイビジョン
△1 ケイアイノーテック
<結果>
1着○2 ケイデンスコール
2着△4 ピースワンパラディ
馬単F:2万4740円的中[16点]
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◎レッドガランは上がり最速33秒6の末脚を使いながらも6着に敗れてしまったために、大本線での的中こそお届けすることはできなかったのですが、馬単フォーメーション提供で、本命と同列評価に抜擢されていた○ケイデンスコールの勝利とともにもたらされたのは馬単2万4740円の的中馬券。
2歳時には新潟2歳S(左回り)を制しており、3歳の春にマイルGIのNHKマイルC(左回り)で2着という好走実績がある実力馬○ケイデンスコール。
2000m戦に使っていた際にはリズムを崩していたこともありましたが、昨秋から復調していたのは成績の通りで、「左回りのマイル戦」を得意とする○ケイデンスコールにとって中京で行われた京都金杯は、歓迎の舞台だったのです。
このあたりが盲点となっていたことで、今回は12番人気という二桁人気になっていたことは僥倖ではございましたが、16点提供での2万4740円の配当ですので、回収率にして約1546%。
3万円の軍資金であれば、払戻金は45万円ほどですので、「馬単フォーメーション」の妙味もご堪能いただける一戦になったのではないかと思います。
変則的な競馬開催を終えたばかりですが、週末は早速3日間競馬がやってまいります。
1月10日(日)
中京11R シンザン記念
1月11日(月)
中山11R フェアリーS
2つの3歳マイル重賞が行われるわけですが、「ジュニアカップ」との使い分けはもちろんのこと、この3つのレースを通じてどのように連動するのか注目してみてください。
JTTC-日本競走馬育成評議会
競走部門
工藤修平