REVERATION DIRECTIVE[日経新春杯週:2021/0116-17号]
掲載日:2021年1月16日
■開催競馬場:中山/中京/小倉
■開催重賞:愛知杯/京成杯/日経新春杯
■執筆担当:松井彰二
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<REVELATION RACE LIST>
■日曜 日経新春杯
■日曜 京成杯
■日曜 中山5R
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超法規的恩赦期間に突入した今、このREVERATION DIRECTIVEに至るまで「情報規制」の圧力は、内外から掛かってきている。2019年秋に始まった「令和の恩赦」。ご存じの通り、JTTC監修BOOKS「パラダイムシフトの渦中にある世界競馬」では昭和の恩赦について赤裸々に描かせて頂いている内容であり、その中心的事象であった「サンデーサイレンスがいかにしてサンデーサイレンスとなったか」を掘り下げながら、JTTCの設立意義、更には、恩赦特別競走が競馬界に必要とされる背景を書かせてもらった。
あの文章が「恩赦特別競走に深く関連しているものである」という事をご存じない方は、今一度隅々まで読み返していただくことをお薦めする。
その上で、先週から始まった「超法規的恩赦特別競走」にて、改めて恩赦特別競走が「異質なモノ」であることを伝えられたのではないかと思う。
先週のREVERATION DIRECTIVEにて「文脈的にネガティブな表現をしなかった2頭」が1着3着に入線。しかもその2頭が共に「シルクレーシング」の所有馬であったこと。
知る立場の側に居るものとしてあの程度の記述はごく当たり前のこと。
それよりも、情報公開規制が強化されている中で、「如何に分かりやすく、分かりにくく書くか」という、相反する目的を同時に達成させる文章をこの場で書く事に頭を悩ませている。
先週も記述したが、私は「無駄な事は書かない」と常に申し上げている。
一言一句、句読点に至るまで「いかに、皆まで言わず事前に気づいてもらえるか?」そしてレースが終わった後に読み返した時に「まさに松井が言っていた通りであった」と納得いただくためのギリギリのラインはどこなのか?という事を常に模索しながらこの文章を書いているというのが本音だ。
にもかかわらず、それらの意図すら想像しようとせず、熟読もせず、ただただ自分が理解しがたい内容であったからと、文句だけをいう残念なメンバー様が、数人いらっしゃった。
私は、メンバー様に対しても「その考え方では勝ち組に値しませんので、今すぐに考え方を改めてください」というようなことを、率直に申し上げてきた。
認知的不協和
以前にもこの言葉を何度となく口にしてきた。
人は自らの認知を超える事実に直面した時、心と頭に矛盾が生じ「その事実を即座に受け入れられない動物」である。
それが「普通」であるのだ。
だから上記のような方々同様「嘘だろ」「そんなの後付けだろ」と思っていただいても構わない。
そのまま、普通でいてくれればいい。
しかしながら、もしもそこまで軽薄ではなくとも、不安を持っている、まだ疑心暗鬼である、という方はむしろ正しく、さらに言えば、「重要なのはこのあと」どう考えを整理するかにある。
ストレートに申し上げれば、そこから一歩踏み出すことが出来なければ、いつまでたっても「矛盾の中に暮らして自分をごまかしている状態」から抜け出すことは出来ない。
投資という行為は競馬にとどまらず、共通して「そこから自らの意志で一歩踏み出せる人間」にしか成功を与えない。
私は、むしろここで多くの方が不安や疑念を抱き脱落してくれるのを望んでいるのかもしれない。さすれば、一歩踏み出した側の皆さんには、複数回のチャンスをご提示できるのではないか?とすら考えている。
私は判断材料を提示し続け、最良の判断をするための手助けをすることに労は厭わない覚悟でこのREVERATION DIRECTIVEの執筆にあたっている。
しかしながら、現実とは厳しいもので、価値の分からぬ人に、何を渡しても意味がないという意味のことわざは世界各国に複数あるように、人間社会では世界中共通している「不具合」であるにもかかわらず、そこから抜け出せるものはわずか一握りであるという事。
・豚に真珠
・猫に小判
この言葉には、人間の弱さや無知の悲哀が詰まっている。
事実に直面していても、その事実を受け入れられないという事は、2つの弊害を産む。
1,常に後手を踏む
2,常に踏み出せない
この2つの弊害は、「1」においては、「馬券を買う段になって不安やネガティブ思考に陥り、金額を下げてしまった」というような弊害を起こし、「2」においては、そもそも参加することにすら躊躇いを持つという弊害となって露呈する。
そもそも論として、この2点の弊害が頻繁に表れる方は「馬券投資」のみならず、「投資全般」に不向きである。
株式用語でいうところの「人の行く裏に道あり花の山」という言葉の本質を一生味わう事は無い。
もちろんそのような方々を否定するつもりはない。
コツコツ一歩一歩進むことをもそれを望むのであれば、それはそれで価値のある事である。
ただ、私が申しあげたいのは「儲けたい」「稼ぎたい」、しかも「馬券で簡単に」という思いを抱いているのであれば、目の前で起こっている事実を受け止められる聡明さと眼力を持ち合わせることは必要最低条件であるという事を申し上げたいだけである。
幸いにも、プライベートメンバー様の多くの方が「この考え方に共感頂いている」というのが救いである。
冒頭から口幅ったい物言いばかりではあるが、今一度、このあたりの事だけは確認しておく事こそが、双方のために非常に重要であると判断してのこと、ご容赦頂きたい。
来週以降本格的な「超法規恩赦期間」に突入する上で、必要な心構えを説かせてもらった。
さて、今週は円滑に「超法規恩赦期間」に突入する上でも非常に重要なレースがいくつかある。
まず触れておきたいのが「日曜中山5R」の「ディープインパクト産駒2頭」についての話。
その2頭は、
イズンシーラブリー
ビューティフルデイ
この2頭だが、一方は「社台F生産のディープ」であり、一方は「社台G以外の牧場生産のディープ」である。
この様に書かれるとその観点から思考が離れられなくなり、本来見えるものが見えなくなることも起こりうるだろうが、敢えてこの「生産者の違い」という視点を書かせて頂いた上で、申し上げたい視点がある。
なぜ今、日経新春杯も京成杯も差し置いて、たかが未勝利戦の牝馬限定戦の話を真っ先にしているのか?
同じディープインパクト産駒で有って、全くの別。
全くの別であるにもかかわらず、ある視点から見れば実は同じ。
頓智やクイズをしているのではないので、現時点で答えを知る必要はない。
レース終了後に、そういう事が言いたかったのか、と分かってくれれば「一歩踏み出す上での判断材料」となることは間違いないだろう。
ヒントを分かりやすく教え、こっそろ儲けてもらおうなどという下心は私にはない。
この場は答えを書く場ではないし、書くつもりはない。
しかしながら、答えが分かってしまうという事に関しては、致し方ないと考えている。
おそらく、ここまでの話で、私が何を申し上げたいのかだけでなく、中山5Rの意図、そして、本命までが分かる人にはわかってしまったのではないかと思うが、それはそれで構わない。
わかったと思った人にも、その背景までわかっていただけたのか、ただ単に答えが分かったのかでは、まるで意味が変わってくるという事だけは申し上げて今週の重要の話について、移らせて頂こうと思う。
本来なら、金曜の夜公開しているこのREVERATION DIRECTIVEの執筆を、土曜の午前に移行させていただいたのは、土曜の朝の時点でどうしても確認したい事項があったからに他ならない。
まず本年は中京2200mで行われる日経新春杯だが「出走馬16頭中12頭が社台G生産馬」であるが、「一つの意志で固まったレースではない」という事は申し上げなければならない。すでに答えにかなり近いところの話をさせて頂いているが、その意識で読み進めて欲しい。
まず1点目の視点として、なぜヴェロックスとアドマイヤビルゴがこのレースに出走してきているのか?
続いて2つ目の視点として、なぜ当初日経新春杯を予定していたアリストテレスはAJCCに向かったのか?
さらに3つ目の視点として、なぜ「サトノ勢」はここで2頭出しを決断したのか?
そして4つ目の視点として、そもそもレイホーロマンスはなぜ愛知杯に出走せず、同馬主である永井氏のサンレイポケット共に2頭出しが決行されたのか?
更に最後の視点として、大城氏、里見氏、永井氏、金子氏、近藤氏、ノースヒルズといった個人オーナーの大御所が集まった今回の日経新春杯だが、なぜ、メイショウ=松本氏の馬の出走は無いのか?
かなり答えに近い表記をさせてもらったが、これも今わかる必要はない。
レース結果をご覧いただいた際に「こういう事だったのか」と感じて頂けることの方が重要である。
そして、京成杯。
■キングカメハメハ系
・タイムトゥヘヴン
・ヴァイスメテオール
・プラチナトレジャー
・ディクテイター
■ディープインパクト系
・タケルジャック(ディープと兄弟種牡馬)
・エイカイファントム
・アクセル
・ラカン
■モーリス産駒
・タイソウ
・テンバガー
■他
・グラティアス
・ブラックロータス
上記を4分割させてもらったが、ルメールが騎乗するのは「他」の分類されたハーツクライ産駒のグラティアスである。先の日経新春杯の項目でも書かせてもらったが、アリストテレスが日経新春杯に出走していれば、ここでグラティアスにルメールが騎乗することは無かった。グラティアスのオーナー「スリーエイチレーシング」は「シャドウの冠」でもおなじみの飯塚オーナーが中心となっている法人馬主であり、現在社台Gとしても「手厚くかかわらなければならない上客」として位置付けているオーナーでもある。
・忖度的にルメールを乗せたのか?
・それとも勝つために乗せたのか?
それを踏まえ、このレースで社台Gが一番勝たせたい馬はどの馬なのか?という視点でそれぞれの種牡馬事情を鑑みれば、自ずと答えに近づくという事はこの場で伝えておく。
ちなみに、大塚騎手とのパワハラ問題に揺れる木村調教師の管理馬ヴァイスメテオールについて。それらの人間関係の軋轢はこのレースには一切関係ない事は申し上げておく。また、ご参加いただいている皆様に、一つだけご注意いただきたい点として、買い目の見解に記載されている「プラチナトレジャー」に関する事項は、特に極秘扱いとなっており、レース前は勿論のこと、レース終了後も一切の他言無用にご協力いただきたいという事を、この場であらかじめ付記させて頂く。
今週のREVERATION DIRECTIVEは以上。
最後に「超法規恩赦期間への意識」を高めていただくためとはいえ、いくつか失礼な物言いがあったやもしれません。すべては、この超法規恩赦期間を成功裏に導くためのことと、ご容赦頂きたい。
JTTC日本競走馬育成評議会
松井彰二