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REVELATION DIRECTIVE

REVELATION DIRECTIVE[金鯱賞週:2020/0314-15号]

■開催競馬場:中山/阪神/中京 ■開催重賞:金鯱賞/フィリーズレビュー/ファルコンS/中山牝馬S ■執筆担当:宇野篤 ------------------------------------- <REVELATION RACE LIST> ■ファルコンS ■金鯱賞/フィリーズレビュー ------------------------------------- 先週末行われたチューリップ賞、そして弥生賞の結果を受けて、また一段と競馬熱の高まりを感じる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。 冒頭にも記したとおり、今回の「Revelation Directive」を通じては、これまたバラエティーに富んだ4重賞について言及していきたいと思います。 二週間ほど前に、掲載した「Revelation Directive」では初回の記事ということもあり、皆様を前に、お手並み拝見といった尺度でご覧くださいと記したわけですが、今回は二回目の登板ということもありますので、皆様の知識量と読解力を再認識させていただく場として、皆様のお手並みを拝見させていただく所存です。 その大前提をお伝えした中で、まずご覧いただきたいのが、先週時点の馬主リーディング。 ●2020年馬主リーディング(収得賞金順) 1位 シルクレーシング  2位 社台レースホース 3位 サンデーレーシング 4位 ゴドルフィン 5位 キャロットファーム 比較材料として前年の馬主リーディングも併せてご覧ください。 ●2019年馬主リーディング(収得賞金順) 1位 サンデーレーシング 2位 キャロットファーム 3位 シルクレーシング 4位 社台レースホース 5位 ゴドルフィン 両者を見比べるなかで、大多数のメンバー様はシルクレーシングと社台レースホースの奮闘ぶりが目に付いたのではないでしょうか。 いずれも、前年の立ち位置を踏まえれば、ランクアップしておりますから、当然といえば当然かもしれません。 一方で、前年2位のキャロットファームが今年は5位というポジションに留まっているわけですが、この点はどう捉えられておりますでしょうか。 シルクレーシングと社台レースホースが例年以上に奮闘している兼ね合いから、相対的に5位とポジションを下げたのか、それともキャロットファームの内部事情としてこういう立ち位置に留まっているに過ぎないのか。 色々と経緯を知る立ち場にある者として、そう易々と答えを申し上げるつもりはありませんが、今週末に限れば、同クラブ法人の看板馬であるサートゥルナーリアが満を持して金鯱賞に登場するシチュエーションであることは皆様ご承知のとおり。 そのサートゥルナーリアですが、今秋の大目標と見据えるレースを、天皇賞秋でもジャパンカップでも昨年2着の有馬記念でもなく、米国のブリーダーズターフ(11月7日、キーンランド、GI、芝2400m)に設定している事はご存じでしたでしょうか。 キャロットファームの代表を務める秋田氏本人から「種牡馬としての価値を高めたい」という強い意向が示されており、馬場適性の観点から凱旋門賞への遠征には否定的な見解も同時に示されています。 国内の競馬関係者にとっては、悲願ともいえる凱旋門賞を差し置いて、母シーザリオが制したことでも知られるアメリカンオークスの舞台、米国競馬への挑戦です。 これを、ブラッドスポーツである競馬にありがちな、ドラマチックなシナリオと受け取ってしまっては、競馬産業の根幹を成す種牡馬ビジネスの構造を紐解くことは至難の業といえます。 ここでもう一つお題を提示します。 昨年の凱旋門賞の国内における馬券売上はご存じでしょうか。 答えは41.5憶円です。 キセキ、フィエールマン、ブラストワンピースと国内きっての人気馬3頭を送り込み成し遂げた数字と解釈していますが、海外馬券発売解禁の狼煙をあげたマカヒキ1頭が国内から挑戦した凱旋門賞で約42億円の馬券売上ですから、昨年度の売上については決して褒められたものではないということがお分かりいただけると思います。 質問を変えます。 今年の凱旋門賞にサートゥルナーリアが挑戦したとなれば、どれほどの馬券売上が期待できるでしょうか。 昨年同様か、以下か、それとも昨年以上の売上が見込めるのか、答えは三者三様あると思いますが、主催者サイドの目標は「昨年の41.5億円以上」であることは確かです。 そして、断定的には書き表せないものの、その主催者サイドと某国内大手生産牧場の首脳陣が裏ではしっかり握手の関係にある中で、渦中のサートゥルナーリアを凱旋門賞に使わないという布石を打ってきたことこそが、種牡馬ビジネスの醍醐味といえるのではないでしょうか。 彼らもしたたかな大人です。 フィエールマンやブラストワンピースはさも当然のごとく凱旋門賞に向かわせた一方で、サートゥルナーリアは「No」と返答しているわけです。 凱旋門賞の馬券売上や、凱旋門賞が国内のテレビ番組で放送されることによるプロパガンダ効果、より具体的に申し上げれば地上波を駆使した広告効果よりも、サートゥルナーリアにとってはずっと重要なミッションがあるということです。 そんな、彼の今季緒戦、いかほどのパフォーマンスを披露する状況にあるのか、陣営サイドのお手並み拝見といこうじゃありませんか。 また、奇しくもこのレースに居合わせるラストドラフト、ギベオンといえば、現在馬主リーディング2位につける社台レースホースの所有馬になりますが、わざわざサートゥルナーリアが出てくる金鯱賞に出走させるあたりがミソといえましょう。 これは同様に、ケイデンスコールを擁立するサンデーレーシングとて同様のことがいえます。 言わずもがな、同着決着を除き、優勝馬となるのは、どのレースであろうと1頭のみ。 そこにきて、現在馬主リーディング1位のシルクレーシングが敢えて1頭も使ってこなかったととるか、使う馬がいなかったととるか、どう解釈するかは、皆様のお考えに委ねたいと思います。 続きまして、桜花賞トライアル「フィリーズレビュー」。 こちらも二、三、面白い話をご用意していますのでお付き合い願います。 まず、思い返していただきたいのは、先週のチューリップ賞で3着に敗退したレシステンシアについて。 何を隠そう、こちらもキャロットファームの所有馬であり、某国内大手生産牧場首脳陣の息がかかった期待馬ですから、例え3着とはいえ無碍に扱うことはできません。 なぜ、自ら持ち味を削ぐようなレース運びをしたのか、この点は今週9日(月)の松井執筆による「Revelation Report」にて明示していますので、詳細は割愛しますが、仮にもノーザンファームの運動会と揶揄されている桜花賞の前哨戦です。 そこにきて、馬主リーディング1位のシルクレーシング、2位の社台レースホース、3位のサンデーレーシングは軒並み出走馬を送り込むことすらなく、蓋をあければキャロットファームのレシステンシア号ただ1頭という構図。 これを偶然の産物と捉えるメンバー様はお一人もいらっしゃらないと確信していますが、だとすれば、今週のフィリーズレビューはいかがでしょう。 事実、ここでキャロットファームが擁立してきたのは関東馬のアヌラーダプラ1頭のみとなりますが、サンデーレーシングからはミッキーアイルの全妹フェアレストアイルが、社台レースホースからはエヴァジョーネが出走を予定しています。 この事実ひとつとっても、チューリップ賞とフィリーズレビューの置かれている状況が異なるということをご理解いただけるのではないでしょうか。 敢えて、この場で各出走馬の種牡馬名を並べるようなことは致しませんが、冒頭より「クラブ法人」と「種牡馬ビジネス」の二点に集約している事実から、今回のフィリーズレビューを迎える上で、決して意味のない話をしているわけではないというスタンスだけ、明確に表明しておきたいと思います。 一方、土曜競馬のファルコンSについて言及していきますと、こちらは、レイデオロの半弟アブソルティスモ、ヴェスターヴァルトの2頭が出走を予定してます。 そうです、この2頭はいずれもキャロットファームの所有馬です。 そこにきて、馬主リーディング1位のシルクレーレーシングの所有馬ラウダシオンが居合わせる構図。 冒頭より、「馬主リーディング」および「種牡馬ビジネス」の話を差し上げた意味は、そういうことです。 中山牝馬Sを含め明確に路線が異なる4重賞にも関わらず、きっちり手駒を使い分けてくるあたり、キャロットファーム首脳陣のしたたかさといったところでしょうか。 最後に、今回の話を受けて、個々のレースの使い分けという観点だけでなく、開催週単位の使い分け、一年間を見据えての使い分けといったように、時間軸に幅を持たせることで、より高い視点でレースの本質、競馬の本質を突き詰めることが可能となります。 それはこの先の未来の話に限らず、これまでの歴史も含めてのお話です。 シーザリオがなぜ国内のオークスには見向きもせず、アメリカンオークスに臨んだのか、当時ラインクラフトというお手馬を抱えていた福永騎手はこんな話をしていました。 「僕が乗った中での最強牝馬。それも群を抜いていた。」 当のシーザリオといえば、繁殖牝馬としての価値が飛び抜けて高くなっていたことと、脚部不安というボトルネックを抱えていたため、苦渋の決断ではありましたが、6戦5勝の通算成績が示すとおり、早期引退の決断が下されたわけですが、その決断が正しかったことは、彼女の子ども達の活躍をみれば明らかです。 そんな話も含めて、お楽しみいただけるのがJTTCの良さであり、実際に無料でご覧いただける有馬記念大全を通じては、今回私がスポットライトを当てたキャロットファームの内部事情も含まれています。 既にご覧いただいたメンバー様が大多数でしょうが、この機会に読み返していただくことを強くお勧めします。 と、最後にそんな宣伝をさせていただきつつ、今回の「Revelation Directive」を締めたいと思います。 今週も「楽しむことファースト」の姿勢でお付き合いください。 JTTC-日本競走馬育成評議会 内部監査室長 宇野篤