■開催競馬場:東京/京都/新潟
■開催重賞:NHKマイルC/京都新聞杯/新潟大賞典
■執筆担当:松井彰二
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<REVELATION RACE LIST>
■プリンシパルS
■NHKマイルC/京都新聞杯
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先週のアヴニールセルタン産駒のデゼル、そして、リュヌドール産駒のフィエールマンの勝利が、今週発表された「フランス競馬の再開」に無関係であると考えるメンバー様はいらっしゃらないと思います。
共に、フランス産の名牝から生まれた2頭。
全てが想定どおりとは行かなかった先週ではありますが、このような「日本と世界競馬の相関性」がより強まっていることをニュースなどで目にするにつけ、まさに今、世界競馬はパラダイムシフトの真っ只中に居るのだということを実感させられるのではないでしょうか。
また、
「“コロナ禍”初めて意識-日本競馬は堅固な産業」
このような小さなニュースも、意図的に流されている今、如何に世界競馬が日本競馬に注目しているか、ご理解いただけるのではないでしょうか。
さて、本日は、6月から開催予定の北海道シリーズについても少々お話しておかねばなりません。
洋芝、滞在競馬、涼しい気候。
暑さに弱い競走馬や、輸送な苦手な競走馬、更には軽い芝が苦手な競走馬などにとって見れば、一つのセーフティネットでもあった北海道開催。
また、同時に2歳馬も馬産地からの船旅を経ずに、直接競馬場に入厩でき、更にはそこで能力を確かめて更に涼しい北海道の牧場にて放牧されて秋に栗東美浦へ入厩させるなど、戦略の幅をも広げている北海道シリーズ。
今年は、開催が危ぶまれております。
近日中には決定が下されると思われますが、この件についてだけはかなり厳しく箝口令が敷かれておりますが、おおよその方向性としては別の競馬場にて代替開催を行うことで水面下で調整を続けております。
北海道シリーズの中止の際の準備は既に先月より進めておりますゆえ、当会にとっては直接の影響はないものの、
吉澤ステーブルで研鑽をつまれている黒鹿毛の牡馬。
下河辺牧場の坂路でいい動きをしていた青鹿毛の牝馬。
坂東牧場で唸るようなパワーを見せつけていた、鹿毛の牡馬。
まさに、北海道シリーズでのデビューを心待ちにしていた我々としては、その点については少々残念な思いもありますが、裏を返せば、
栗東近郊の育成牧場で一頓挫あった芦毛の4歳馬の陣営などは「もし、代替が京都や阪神も含めた持ち回りになるなら、本当に有り難い。丁度良いところでザ石で仕上げに時間がかかってしまっていたので、ありがたい。6月なら十分仕上げられるし、出たとこ勝負でイケるよ、松井さん」
と、逆の立場も存在するわけです。
代替開催に限らず、自然と共存して進めていく競馬には様々な陰と陽、表と裏、明と暗がございますので、その意味ではこれも競馬ですし、その状況を受け入れその最中でベストをつくすのがホースマンシップでございますから、今後も、前向きにメンバーの皆様にも最高品質の情報をお届けしてまいりたいと存じます。
そのような状況下で迎える今週の競馬。
なぜ、冒頭にこのような話を毎週しているかは、ご理解いただけるでしょう。
救済や助成、補填、といったキーワードが今後もより強く一つ一つのレースに影響を及ぼすケースが増えるという事実をお伝えしております。
そして、先週のスイートピーSに引き続き、パラダイムシフトの象徴である絶対領域の存在を指し示すキーワード。
そうです、プリンシパルSには再度恩赦のキーワードが発令されているわけです。
競馬に存在する唯一無二の絶対領域。
数十年単位のパラダイムシフトの渦中にしか発生しないキーワード。
お忘れの方もおおいと存じますので、プリンシパルSの本題に入る前に、JTTC監修BOOKS「パラダイムシフトの渦中にある世界競馬」から、絶対に知っておいて頂きたい大前提をいくつか再確認しておいて頂きたいと思います。
━━━━━以下引用━━━━━
“作られた”コース・馬場で最大の適性を発揮する種牡馬
それが、世界から見た「サンデーサイレンスという種牡馬の真実」である。
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「サンデーサイレンス時代の幕開け前夜」のこの地点で、日本競馬は凋落の兆しが見え隠れしていたが、その歯止めのためにどのようなことを行わなければならなかったのか?
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ここに、種牡馬の優秀さの指標の一つである「AEI(アーニングインデックス)」を表記する。
サンデーサイレンス
■1992年度産駒:7.20
■1993年度産駒:7.14
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この数字をご覧いただき、どのような感想を持つだろうか?
もし「やはり、サンデーサイレンスは偉大だ」というだけの感想しか出てこない方は、危険である。
何が危険かと申し上げれば「真実を見抜く眼」を曇らせている可能性がある。
先程も申し上げたが「ロマン」や「ドラマ」といった夢想に帰着したいのであれば、この先を読み進めていただいても意味はない。
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そこに全ての必要性が隠されており、その行動を行うことこそ「JTTCの設立経緯」とは切っても切り離せず、その結果がサンデーサイレンスの初年度産駒の「7.20」という異常値とも言えるAEIの数値であったわけだ。
しかしながら、サンデーサイレンスの「7.20」は明らかにやりすぎであり、これが、後に「ディープ4.0」と言われる「某施策」に繋がるわけだが、それはまた別の機会にお披露目させていただく。
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多くの生産者が今もなお「1993年のパラダイムシフトが無ければ競馬界はどうなっていたか・・・」と、口を揃えるが、その時起こった「パラダイムシフト」とはどのようなことなのか?そして、その裏側で何が起こっていたのか?
更に一歩、深い話を展開させていただくが、そのキーワードが「JTTC設立経緯」にある。
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突然だが、ここで一つ質問を投げかけたい。
なぜ、日本の馬場がここまで高速化に傾倒したとお思いか?
━━━━━引用終了━━━━━
要所要所を掻い摘む形でピックアップさせていただいたが、思い出して頂けましたでしょうか?
基本的に、JTTC監修BOOKSの中でもこの「パラダイムシフトの渦中にある世界競馬」に関しては、当会の設立経緯や当会の扱う情報の背景に関してお話させていただいていますが、まさに全ての大前提とも言える記述をふんだんに取り入れているわけです。まさか「未だに読んでいない」というメンバー様はいらっしゃらないと思いますが、もしいらっしゃるとすれば残念ながら、本日これからするお話は、全く理解できない可能性がございますので、改めて目を通しておいて頂くべきであると、助言いたします。
平成のパラダイムシフト真っ只中の1996年に新設されたプリンシパルS。
時代の変遷期に大きく絡むこととなった運命のレースプリンシパルS。
重賞でもなんでも無い一介のリステッド競走にどのような意味があるのか。
そもそもこの時期に行われていたNHK杯がNHKマイルカップとなり、ダービートライアルとして設立され、ある意味では「NHKマイルCと陰と陽の関係」にあると行っても過言ではない。
そのプリンシパルSの初代勝ち馬がダンスインザダーク。
その後のダービーで1人気に支持されながらも、フサイチコンコルドの強襲に破れ2着となったあのダービーの年である。
その2着を最高に、プリンシパルSからダービー馬は出ていない。
そのプリンシパルSにどのような意味があるのか?
これらの背景、そして、先程引用した箇所を踏まえ読み進めて頂きましょう。
まず、特別登録時点で17頭居た登録馬は最終的に11頭となった事実について。
出走してこなかった6頭は、
アンセッドヴァウ(京都新聞杯)
キングオブドラゴン(京都新聞杯)
サペラヴィ(京都新聞杯)
ヒシタイザン(自己条件)
ヒルノエドワード(自己条件抽選漏れ)
ホウオウエクレール(京都新聞杯)
この様な選択を行ったわけですが、相沢厩舎はプリンシパルSにビターエンダー、京都新聞杯にサペラヴィと使い分け。
残りは、元々それぞれの路線に進めるはずだったにもかかわらず、なぜ、W登録を行ったのか?
そこに様々な、経緯と背景があるわけです。
一見すれば、なんでもない事象に、実は裏があるとわかれば、そこからある程度の距離まで真実に近づくことは出来るわけですが、どこに鍵があるか分からなければ、それはまるで雲をつかむような話で、なかなか難しいわけです。
その上で、まさに、本題と言える部分に踏み込んでゆきますが、このレースの肝となるのは
「ディープ4.0」
先週のスイートピーSでは「ディープインパクト×母輸入馬」のデゼルが勝利したわけですが、果たして「ディープ4.0」というのはどのような施策なのか。
ダービー最後の一枠の争いという意味では、ダービー出走優先順を記載しなければなりません。
優先 コントレイル
優先 サリオス
優先 ガロアクリーク
優先 ウインカーネリアン
優先 サトノフラッグ
優先 オーソリティ
優先 ヴァルコス
8 ヴェルトライゼンデ
9 マイラプソディ
10 コルテジア
10 ダーリントンホール
10 クリスタルブラック
10 ワーケア
14 レクセランス
15 ブラックホール
16 キメラヴェリテ「1650」
17 アドマイヤビルゴ「1600」
18 ビターエンダー「1150」
19 サトノフウジン「900」
ボーダー近辺の順位だけ持ち賞金を書かせて頂きましたが、プリンシパルSに出走する「ビターエンダー」「サトノフウジン」、京都新聞杯に出走するアドマイヤビルゴあたりは、プリンシパルS並びに京都新聞杯の結果次第では出走権を失う可能性もある位置なわけです。
そこに、1勝馬陣営が絡まる非常に混沌とした出走枠争いに見えるわけですが、ここでもハッキリ申し上げておきます。
プリンシパルSにて最後の優先枠を取得する馬は、既に決まっております。
「ディープ4.0」。
先週のスイートピーSが相談の上ではあったものの、露骨に勝ち馬を示唆しすぎてしまった内容でありましたので、今週は流石にそこまでストレートに触れるわけにはゆきませんが、上記「ディープ4.0」に通じるいくつかのグルーピングをしておきたいと思います。
■ディープインパクト産駒
・ポタジェ
・サトノフウジン
・スマートクラージュ
■非社台生産馬
・ビターエンダー
・ディアセオリー
・マイネルブラシウス
・ウシュバテソーロ
・メイショウサンガ
・アメリカンフェイス
・スマートクラージュ
■関西馬
・ポタジェ
・メイショウサンガ
・アリストテレス
・スマートクラージュ
「ディープ4.0」に関しての基本概念、基本理念は上述した「パラダイムシフトの渦中にある世界競馬」の中でふんだんにヒントが書かれております。
その上で、いくつかの前提を申し上げながら記述してまいりましたが、最後に一言加えるとすれば、どのような調和の絵図が書かれているか?が鍵。
■ダービー優先出走権
・コントレイル【非社台】
・サリオス【社台G】
・ガロアクリーク【非社台】
・ウインカーネリアン【非社台】
・サトノフラッグ【社台G】
・オーソリティ【社台G】
・ヴァルコス【社台G】
■オークス優先出走権
・デアリングタクト【非社台】
・スマイルカナ【非社台】
・クラヴァシュドール【非社台】
・ミヤマザクラ【社台G】
・ウインマリリン【非社台】
・ホウオウピースフル【社台G】
・デゼル【社台G】
この様に、クラシック第一弾桜花賞・皐月賞は「非社台生産馬」が共に圧勝。
「ディープ4.0」とは?
ちなみに、先週のスイートピーSは「ディープ4.0」ではありません。
では、プリンシパルSとどこが違うのか?
「ディープ4.0」は始まったばかりでございます。
じっくりと、見極めていただければ幸いです。
さて、プリンシパルSの話は以上。
続いては、世間的には「大混戦」と目されているNHKマイルC。
今週、JTTC監修BOOKSにて「東京マイル大全」がリリースされております。
もちろん、お読みいただいていると思いますが、
NHKマイルC大全ではなく、「東京マイル大全」としてリリースしている点が本質を表していると言えるわけです。
東京競馬場のマイルコースは、世界屈指であり世界随一のコースと言われております。
まずは、以下のデータを御覧ください。
種牡馬別集計
集計期間:2000. 5. 7 ~ 2019. 6. 2
着別度数順
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種牡馬
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ディープインパクト
---↑7勝----
フジキセキ
---↑5勝----
タニノギムレット
ダイワメジャー
クロフネ
---↑3勝----
ステイゴールド
サンデーサイレンス
キングカメハメハ
アグネスタキオン
---↑2勝----
ローエングリン
マンハッタンカフェ
フレンチデピュティ
ハービンジャー
ハーツクライ
トニービン
ダンスインザダーク
タイキシャトル
スペシャルウィーク
スズカフェニックス
スクリーンヒーロー
シンボリクリスエス
サクラバクシンオー
エンドスウィープ
エアジハード
Singspiel
Royal Academy
Nureyev
Kingmambo
Gulch
French Deputy
Frankel
Danehill
Crafty Prospector
Cozzene
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この種牡馬成績が何を物語っているか?
東京ミッション「BLOOD-M」。
東京マイル戦=MILEの頭文字から取られた【M】を使った、ミッションコード「BLOOD-M」。
驚くべきは「サンデーサイレンス産駒」が2勝しかしていない点。
しかしながら、「母父サンデーサイレンス」となると4勝している点。
この意味の違いが一発でおわかり頂けたら、正直当会の主任クラスまではストレートに上がれるレベルの御方。
例えば、東京マイルGIを6頭で7勝しているディープインパクト産駒6頭の母父は、
Machiavellian
Smarty Jones
Storm Cat
エリシオ
Rock of Gibraltar
Meadowlake
となるわけです。
これらの前提を踏まえ、東京マイル大全のNHKマイルCの章から一箇所重要な記述を引用させていただく。
-----以下引用-----
<プロローグ>
いまディープインパクトの後継種牡馬として真っ先に名前が上がる存在はキズナだが、そのキズナを管理していた佐々木調教師が凱旋門賞挑戦時には「キズナのベスト舞台は、東京マイルだと思う」という言葉を残している。
東京芝1600m戦どころか、一度たりともマイル戦に出走させたことがないにも関わらず、である。
<NHKマイルCの章>
先程も述べた通り、ジャングルポケットがJC優勝を果たす2001年頃までは、外国産馬のためのような形で行われていたNHKマイルCは外国産馬がタイトルを席巻し続けていた。
しかしながら、2002年からは突然外国産馬がその存在感すら消したかのように一切勝てなくなった。
-----引用終了-----
出走メンバー中11頭を占める「社台G」の思惑がどこにあるのか。
スピード重視化されてきている種牡馬事情のなかに、レシステンシア、シャインガーネットといった牝馬の参戦がどういった意図を孕んでいるのか?
牝馬勢はレシステンシアにルメールが配され、シャインガーネットに田辺。
全勝組は、サトノインプレッサに武豊、そして、ルフトシュトロームにはレーン。
アーリントンC勝利のタイセイビジョンに石橋脩、スプリングS3着サクセッションに横山典。
またまた露骨な采配を振るってきたものです。
上記6頭はもちろん全て社台G生産馬。
正直人気先行となっている馬が2頭ほどいます。
この2頭に関しては、明確な理由があって買い目から切れる馬。
当日の見解を楽しみにしてください。
最後に、京都新聞杯について少々。
このレースのカギを握るのは「シルヴェリオ」の動くタイミングでございます。
ブリンカーを装着しての出走の意図は、自身の好走だけでなく別の意図も含まれるのです。
幻のダービー馬とまで言われたシルバーステートの弟が、このレースでどのような鍵を握っているのか?
その上で、アドマイヤビルゴ、ファルコニア、マンオブスピリットがそれぞれ「どの位置からレースを進めるのか」に注目いただきたいと思います。
GIに乗らずに、京都に残った騎手の面々の腹の中と、ダービーへの最終選考とも言えるこのレース。
京都新聞杯の「2着」の賞金加算を最大限活用するためには、どのような1着、2着がベストか?という視点で考えて頂くと、より答えに近づけるのではないかということだけ進言しておきましょう。
ちなみに、アドマイヤビルゴ自身の状態はすこぶるいいと言えます。
ただし、それがつまり1着確定という意味では無いわけです。
アドマイヤビルゴが勝つのであれば1つの条件がつくのですが、そこまではここでは申し上げられません。
最終選考という意味では、2着に来る馬も含め、見どころ満載の京都新聞杯。
今週もぜひ競馬を楽しんで頂きたいと思います。
それでは、今週もよろしくおねがいします。
JTTC-日本競走馬育成評議会
プライベートサロン統括本部長
松井彰二