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REVELATION DIRECTIVE

【結果総括】REVELATION REPORT「ユニコーンS週レポート」

皆様、お世話になっております。 JTTC種牡馬部門の執行役員を務めております吉田晋哉です。 思わず溜息が出るほどの美しさ、いえ、ここでは「強さ」という言葉が適切でしょうか。 ユニコーンSの優勝馬、カフェファラオのレースシーンは我々JTTCの役職員に限らず、一夜明けた今、世界のホースマンに大きな衝撃を与えるものとなりました。 詳細は改めて、本レースの提供結果とともにじっくり回顧したいと思いますが、米国市場最大のトレーニングセール「OBSマーチセール」で目の当たりにした、あのアメリカンファラオ産駒が、ここ日本でアメリカンファラオの種牡馬価値向上に一役買っているわけですから、競馬というのは本当に不思議なものです。 さて、私が触れるまでもなく、カフェファラオのパフォーマンスによって、株価急騰中のアメリカンファラオですが、種牡馬部門の長としては、土曜函館5Rでレコード勝ちを収めたモンファボリについても触れないわけには参りません。 同馬の父はFrankel。 ソウルスターリングやモズアスコットなど一度落ち込むと復活は望めない血統と思われていたところ、2頭とも今年の重賞で久々の馬券圏内。モズアスコットに関しては「ダート」という新たな可能性をホースマンに与えました。 「良いスピードを持っています。馬は小さいですが、フットワークやバランスがとてもいいです。距離は短いところがよさそうです」 武騎手のレース後コメントは、競走馬のその後の馬生に少なからず影響を及ぼします。 412キロという馬体重からもご想像いただけるとおり、同じFrankel産駒の牝馬ソウルスターリングとは違い、モンファボリは姿形だけならディープインパクト産駒の牝馬を彷彿とさせるシャープで素軽さを兼ね備えた馬体フォルム。 その後の関係者サイドに向けた談話は他の騎手へのけん制も兼ねたものと思われますが、これで函館2歳Sの騎乗馬は確定したと言っても過言ではないでしょう。 後述しますが、武騎手が訪れた週の函館開催は「何かが起きる」ケースが極めて多い。次の参戦も楽しみになってきました。 それでは、先週のレース総括に参りましょう。 パラダイムシフトの渦中に行われた今年の「ユニコーンS」。週中の【REVELATION DIRECTIVE】において「昨年までとは決定的に異なることがいくつかある」と書き記していました。 -----ユニコーンS見解を引用----- パラダイムシフトの渦中に行われる今年の「ユニコーンS」は、昨年までとは決定的に異なることがいくつかあります。 そのうちの1つが種牡馬構成。 そして、米国のケンタッキーダービーとの関連性です。 まずは種牡馬構成についてですが、1頭の種牡馬に対して、許された産駒の出走は「1頭のみ」に限られているということに着目ください。 率直に申し上げれば、出走馬選定の時点から「統制されている」ということが一目瞭然といえます。 ==中略== 出走馬16頭の馬名、父(種牡馬)を枠順に沿って並べたわけですが、[米国出身の種牡馬]が占める割合が多いというところは1つのポイントです。 名を連ねる種牡馬16頭のうち、11頭が米国産。 また出走馬選定という観点からは、「消えた2頭」の存在について触れないわけにはいきません。 最終的に非当選で出走が叶わなかったスリーグランド(父シニスターミニスター:米国産)のことではありません。 デュードヴァンが勝った青竜Sにも出走していた2頭。 青竜S 2着ダノンファスト(父キングカメハメハ:日本産) 7着フォーテ(父ロードカナロア:日本産) この2頭が、ユニコーンS出走候補馬から、消えたのです。 正確には、「消された」、「追いやられた」と言うべきかもしれません。 ==中略== またケンタッキーダービーとの関連の件についても触れておきましょう。 今年はコロナウイルスの影響によって、例年であれば5月上旬に行われている米国のケンタッキーダービーの開催が9月5日(土)に延期。 それに伴い、今年に限りユニコーンSとジャパンダートダービーの2レースが「JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY」の対象レースに加わりました。 カトレア賞 1着10pt 2着4pt 3着2pt 4着1pt (1着デュードヴァン) 全日本2歳優駿 1着20pt 2着8pt 3着4pt 4着2pt (1着ヴァケーション) ヒヤシンスS 1着30pt 2着12pt 3着6pt 4着3pt (1着カフェファラオ) 伏竜S 1着40pt 2着16pt 3着8pt 4着4pt (1着ヘルシャフト) ユニコーンS 1着40pt 2着16pt 3着8pt 4着4pt (6月21日開催) ジャパンダートダービー 1着40pt 2着16pt 3着8pt 4着4pt (7月8日開催) 「JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY」とは、対象レースにおける着順でポイントを争い、累積のポイント上位の馬がケンタッキーダービーに出走できるという制度。 世界との交流の場面には、「レーティング」というものがつきものです。 ダービー週に松井執筆によるREVELATION DIRECTIVEの中で、 「レーティングコントロール」 というコードネームの話も出ておりましたが、今年のユニコーンSもまた「レーティング」を意識すべきレースということです。 ==中略== 武豊騎手の手綱で5着だったフルフラットは、2月末のサンバサウジダービー優勝以来の帰国初戦が今回。 しかしながら、今回手綱をとるのは武豊騎手ではなく田中勝春騎手。 他にも、 デュードヴァンが、川田将雅騎手→M.デムーロ騎手。 カフェファラオは、M.デムーロ騎手→D.レーン騎手。 このようなあからさまといえる乗り替わりが敢行されています。 ==中略== このような4頭の外国産馬が名を連ねる今年のユニコーンSとなるわけですが、世界のダート競馬と日本のダート競馬を融合させていく上で、パラダイムシフトの渦中にある今、どのような決着となることが理想なのか。 今回触れたことを踏まえて、ユニコーンSの決着をぜひ想像してみてください。 -----以上ユニコーンSの見解を引用----- レース前であればいざ知らず、レースを終えた今、すべての答えが【REVELATION DIRECTIVE】のなかにあったことは自明といえるのではないでしょうか。 ゴールドドリームやルヴァンスレーヴ、レッドアルヴィスなど社台・ノーザングループの父サンデーサイレンス系に該当する勝ち馬を多く輩出してきたユニコーンS。 しかし、今年の出走馬に際立った出走馬は皆無といえ、中心に君臨したのはカフェファラオ、レッチェバロック、デュードヴァンら米国出身の種牡馬を持つ出走馬でした。 “率直に申し上げれば、出走馬選定の時点から「統制されている」ということが一目瞭然といえます。” 1つ目のポイントとして、[米国出身の種牡馬]というキーワードを明記したうえで、「統制されている」とまで断言しておりましたから、米国競馬の知見を抜きに、私が何を言わんとしているのか推察いただけたメンバー様がほとんどだったと思います。 世界を席巻する日本競馬。 アーモンドアイの活躍を筆頭に、すでにターフ(芝)では世界一といって差し支えないレベルにあります。サンデーサイレンスが礎となり、ディープインパクト、ハーツクライがその血を強固なものに発展。 欧州ではSaxon WarriorやStudy of Manなど、その血を求めるホースマンは数知れず。とりわけ欧州での評価は極めて高いものとなっています。 ところが、ダートでは事情が異なります。 こちらは完全に米国馬の天下。前述のゴールドドリームが出走したサウジカップはMaximum Securityに完膚なきまでに叩きのめされました。 日本のエース級を投入してもなお、勝てない現実。世界制覇の壁は厚く、関係者にとっては屈辱以外の何物でもなかったことでしょう。 しかし、そうした情勢にあったなか、新型コロナウイルスの影響によって、米国のケンタッキーダービーの開催が9月5日(土)に延期されることになります。 今年に限りユニコーンSとジャパンダートダービーの2レースが「JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY」の対象レースに。 このチャンスを逃してはならない。 言い方を変えれば「世界が注目するチャンスを」逃してはならない。出走、そして勝利ともなれば「種牡馬価値」は莫大なものに跳ね上がります。 すでに、世界からもアメリカンファラオの後継種牡馬筆頭格としてその名が知れ渡ったカフェファラオ。 “M.デムーロ騎手→D.レーン騎手へのあからさまな乗り替わり”という言葉通り、あからさまな勝利をもって、無事3連単的中馬券を得るに至ったこと、改めてご報告申し上げます。 変革の日本ダート界。 余談ではありますが、今年のユニコーンSから「消された」、「追いやられた」存在と記した2頭のうち、フォーテは日曜阪神12Rを勝利。 ダノンファストは次走・ジャパンダートダービーに向けて調整中である旨、補足させていただきます。 さて、ユニコーンSの背景を読み解けたメンバー様であれば、函館スプリントSの結論も難なく導き出せたことでしょう。 函館参戦を早々に“決め打ち”していた武豊騎手騎乗の◎ダイアトニックの快勝劇。 【REVELATION DIRECTIVE】を通じて高松宮記念のレース直後、すでに武豊騎手とのコンビで函館スプリントSに参戦することが確定していたという事の経緯をお伝えしておりましたが、まったく危なげのないレースぶり。スタート、コース取り、陣営の仕上げ。 「三拍子揃った」この馬に付け入る隙などなかったことは、見る人から見れば、一目瞭然といえる結果でした。 レース翌日となる本日には、武騎手を筆頭にジョッキー30人が函館の海岸で「感謝」のゴミ拾いボランティアを行ったとのニュースがありました。 「ゴミ拾いボランティアに参加しないで東京に戻ることだけが心残り」とは、内部監査室長の宇野の言葉ですが、武騎手が函館入りした際には必ず、ご先祖様の墓参りを欠かすことなく行っていることは、宇野とお付き合いのあるメンバー様であればご存知のことと思います。 リーディングから遠ざかる今もなお、競馬界の「顔」は武豊騎手以外に存在しません。 函館開催の最初の重賞競走を武騎手が飾ることは用意周到に練られたシナリオ。 すべての点と点が線につながった。武豊参戦ウィークの函館にはこのような一幕があったわけです。 なお、このレースで先手を奪ったのは菱田騎手騎乗のダイメイフジ。 少々話は脱線しますが、私からみてもこのチョイスは絶妙でした。 菱田騎手と武騎手の因縁は2015年4月18日まで遡ります。 阪神12R、安田隆厩舎所属馬アイムユアドリームに騎乗した菱田騎手は、直線逃げ込みを図るところ、追ってきたカネトシビバーチェの武騎手にあろうこうとか、エルボーをかましてみせたのです。 若手騎手同士や同年代の騎手同士ならあり得ない話ではないでしょうが、その相手はレジェンド武豊。 この蛮行が彼の評価を失墜させるに足る事態に発展したことは容易に推察いただけると思いますが、実際、前年64勝を挙げていた勝利数は年々下降。 「競馬の怖さ」を味わったことでしょう。 その菱田騎手が函館スプリントSのレースを主導し、安田隆厩舎のダイアトニックに騎乗した武騎手が優勝。 レースにご参加いただいた皆様には、配当はもちろんのこと「競馬の面白さ」を十二分にご堪能いただけたのではないでしょうか。 当日の見解欄にも明記しておりましたが、皆がインを狙う函館芝はひとつ間違えればドン詰まりのリスクを孕んでいます。 それを確実に避けるための策として【共同戦線】が張られているわけです。 もちろん函館スプリントSに限ったことではなく、日曜函館10Rの奥尻特別もマイネル軍団のあからさまな連携プレーが垣間見えた一戦。 セレクトセール間近の函館開催を中心に、そうした結束事項を戦前の段階で知り得ることが馬券投資のリスクを軽減するための最大の予防線といえます。 もちろん、今週末は私の夢、そして皆様の夢を乗せて走る「宝塚記念」が控えています。 夢を乗せて資金を投じるにふさわしい最高の舞台をご用意しておりますので、是非ともご期待ください。 今週のレポートは以上でございます。 JTTC日本競走馬育成評議会 執行役員 種牡馬部門 吉田晋哉