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REVELATION DIRECTIVE

REVELATION DIRECTIVE[札幌記念週:2020/08/22-23号]

■開催競馬場:新潟/小倉/札幌 ■開催重賞:北九州記念/札幌記念 ■執筆担当:吉田晋哉 ------------------------------------- <REVELATION RACE LIST> ■日曜 札幌11R 札幌記念 ------------------------------------- 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 JTTC種牡馬部門担当の吉田晋哉です。 8月19日(水) 場所:英国 ヨーク競馬場 英インターナショナルS ガイヤースが優勝。 8月20日(木) 場所:英国 ヨーク競馬場 ヨークシャーオークス ラヴが優勝。 日本の夏にはGI格のレースはないとはいえ、「GI格と同等に扱っていただきたい」、いえ近い将来、「GI格に昇格させるため」に私どもも尽力している『札幌記念』の開催週となりました。 英インターナショナルS 1着ガイヤース 2着マジカル   [着差 3馬身] 3着ロードノース [着差 1・1/4馬身] 4着カメコ    [着差 3/4馬身] ゴドルフィンが所有するガイヤースが、昨年の凱旋門賞5着馬でGIレース3連勝中であったマジカルを相手に3馬身差の勝利を飾ったインターナショナルS。 ヨークシャーオークス 1着ラヴ 2着アルピニスタ [着差 5馬身] 3着ワンボイス  [着差 2馬身] 4着マヌエラデベガ[着差 2・1/4馬身] そして、エプソム競馬場で行われた英オークスで9馬身差の圧勝を遂げて、凱旋門賞でもエネイブルのライバルとして注目が集まるラヴが5馬身差をつけて完勝したヨークシャーオークス。 凱旋門賞の前哨戦のような形で世界が注目していた2つのGIが行われたばかり。 さすがに国際GIと同格と言うわけにはいかないかもしれませんが、「注目度合い」という観点では、札幌記念は勝るとも劣りません。 今週の競馬開催をまとめるキーワードを絞るとするならば、 『レーティングコントロール』 そして、 『馬券売り上げの向上』 この2つです。 7月25日に行われたキングジョージ6世&クイーンエリザベスSは、エネイブルが優勝。 「キングジョージ6世&クイーンエリザベスS」 2017年、2019年、2020年、優勝3回。 「凱旋門賞」 2017年、2018年、優勝2回。 「ヨークシャーオークス」 2017年、2019年、優勝2回。 これほどの実績を誇るエネイブルですが、今年は凱旋門賞の前哨戦として「ヨークシャーオークス」を使わずに、9月に行われるGIII格のセプテンバーSに向かいます。 表向きには、「2018年にセプテンバーSから凱旋門賞に出走して上手くいったから」とは言っているものの、狙いは、凱旋門賞本番まで3歳牝馬ラヴとの直接対決を避けるため。 その方が、凱旋門賞本番も盛り上がり、より多くの【馬券売り上げ】が見込めることは言うまでもないでしょう。 ただし、日本国内で「海外馬券」発売する上で肝心なことは、日本馬が凱旋門賞に出走するかどうか。 コロナ問題の影響により、今年は海外遠征の自粛を各陣営が余儀なくされているわけですが、すでに海を渡って欧州に滞在している馬ならば話はまったく別です。 7月30日にグッドウッド競馬場で行われたナッソーSに出走しエネイブルと対決した日本の調教馬であるディアドラ(父ハービンジャー)は、そのまま滞在しており、凱旋門賞出走に向けて調整が進められております。 ディアドラの欧州遠征および凱旋門賞出走の目的は、巷では下記のように言われています。 ・欧州で活躍した父ハービンジャーの血をお披露目すること。 ・日本で凱旋門賞の馬券発売を行うこと。 たしかに、言われてみると、もっともらしい目的には見えてきてしまいます。 しかしながら、勝ち負けできるだけの臨戦過程を踏んでいるならまだしも、勝ち負けが狙えるわけではないハービンジャー産駒を凱旋門賞に1頭送り込んだところで、お披露目と言うに及びません。 すなわち、ここでの真の目的は、ただ1つ。 ハービンジャーの血云々ではなく、 『凱旋門賞の海外馬券を日本で発売すること』 これに尽きるのです。 「検疫の関係で、日本に帰国しても年内にはレースに出ることは難しい。6歳馬なので、今後は繁殖のことを考えている」ということで、ラストランの時期を視野に入れながらの調整になるわけですが、「無事に出走する」という大切なミッションが、ディアドラと陣営には託されているのです。 欧州で、凱旋門賞の前哨戦となるGIが続けて行われていた中、8月20日(木)には、異例ともいえる『オフィシャルサイト開設』という新たな動きがございました。 「武豊騎手で凱旋門賞を勝つことが夢」と公言しているキーファーズの松島氏のことは皆様もご存知だと思いますが、その松島氏率いるキーファーズが、「キーファーズサロン」を立ち上げることに一役買ってくれたのです。 クラブ法人であれば、出資者を募る営業も兼ねた会員向けのオフィシャルサイトを用意しているのは当然ですが、出資してもらうための営業活動を行うことはない「個人馬主」が、オフィシャルサイトを立ち上げた理由は明確です。 ドイツの自動車メーカーであるメルセデツベンツの代理店という立場でもあり、国内だけでなく海外の重鎮関係者とも、競馬だけでなくビジネスでも深い繋がりがある松島氏。 日本国内では、昨年秋にマイラプソディが獲得したGIII(京都2歳S)のタイトルこそありますが、GI勝利はなし。 そのキーファーズが共同所有という形で、欧州で実力のある競走馬に出資できているのは、予算を注ぎ込める資本力があるかどうかということよりも、もっと深いところに縁があります。 もちろん社台グループの吉田照哉氏、吉田勝己氏の存在も不可欠ですが、日本競馬と海外競馬を繋ぐ上で、キーファーズは特別な役割を担っていることを知っておいていただきたいのです。 キーファーズが欧州で所有している主な競走馬一覧をご覧ください。 <Aidan Patrick O'Brien(エイダン・オブライエン)厩舎所属> (アイルランド) Japan(ジャパン)牡4 Broome(ブルーム)牡4 <André Fabre(アンドレ・ファーブル)厩舎所属> (フランス) Savarin(サヴァラン)牝3 <Pascal Bary(パスカル・バリー)厩舎所属> (フランス) Amarena(アマレナ)牝4 エイダン・オブライエン厩舎は、2016年にファウンドで凱旋門賞を制覇しただけでなく、いまや世界ナンバーワンの呼び声も高い名門厩舎。 アンドレ・ファーブル厩舎は、昨年の凱旋門賞をヴァルトガイストで優勝。 パスカル・バリー厩舎は2018年にフランスダービーを優勝したディープインパクト産駒スタディオブマンの管理厩舎として有名です。 これだけ実績のある厩舎が、日本の馬主=キーファーズの所有馬を管理していることに加え、凱旋門賞出走を目指している馬が含まれているという事実。 そして「キーファーズサロン」をリリースするタイミングが、8月20日(木)でなければならなかった意味。 中東のカタール資本が主催する「凱旋門賞」というビッグレースの裏にある利権。 日本調教馬ディアドラの出走だけでなく、日本の関連馬が凱旋門賞に出走することは、「注目レベル」を引き上げることになり、『馬券売り上げ向上』に繋がるように糸が引かれていることは明言するまでもないでしょう。 凱旋門賞で、武豊騎手が渡仏するかどうか。 この件については、日本も秋のGIシーズン真っ只中となるため、異例の関係者も交えて協議が行われております。 さて、ここまでお付き合いいただきましたが、『札幌記念』のポイントをまとめしょう。 8月12日に公開された「馬産地北海道にGI競走を、「札幌記念」GI昇格への道程」というタイトルの近況レポートで、札幌記念というレースに託されているミッションの本質については、すでにお伝えしている通りです。 【レーティングコントロール】については、「馬産地北海道にGI競走を、「札幌記念」GI昇格への道程」を見返しておいてください。 その上で、札幌記念を紐解く材料は今から申し上げる『二点』に集約されることを覚えておいてください。 マカヒキの出走回避によって、ディープインパクト産駒、そして金子真人ホールディングスの所有馬が姿を消すことになった今年の札幌記念。 まず一点目にフォーカスすべきは「種牡馬群」です。 札幌記念の翌日24日にはセレクションセール、25日からはサマーセールが控えていることもあり、少なからず札幌記念での決着によって、種牡馬のニーズに影響を及ぼすことになります。 とはいえ、札幌記念の結果を受けて、変動するというわけではなく、どのような相場になるのかは、すでに準備されているのです。 “準備されている” つまりは、「調整(コントロール)」という言葉が頭に浮かんだ方は、札幌記念はほぼ見えたと言っても同然ではないでしょうか。 <ハービンジャー産駒> ・ノームコア ・ペルシアンナイト ・ドレッドノータス <ステイゴールド系> ・ラッキーライラック(父オルフェーヴル) ・ブラックホール(父ゴールドシップ) <ハーツクライ系> ・ポンデザール(父ハーツクライ) ・アドマイヤジャスタ(父ジャスタウェイ) <Kingmanbo系> ・カウディーリョ(父キングカメハメハ) ・トーラスジェミニ(父キングズベスト) <その他> ・トーセンスーリヤ(父ローエングリン) ・ルミナスウォリアー(父メイショウサムソン) ・イェッツト(父カンパニー) その他として分類したとはいえ、出走することに意図がありますので、上記3頭についても触れないわけにはいきません。 まずはローエングリンを父に持つトーセンスーリヤ。 ローエングリンの代表産駒といえば、朝日杯FS、皐月賞、安田記念を制したGI3勝馬のロゴタイプがいますが、ローエングリン自身はGIタイトル無冠。 なぜ種牡馬入りしたのかといえば、その父Singspiel(シングスピール)の血に価値があるからです。 シングスピールはモハメド殿下の所有馬として1996年にジャパンカップを制覇。 シングスピール産駒としてローエングリンはGIタイトルには届きませんでしたが、ヴィクトワールピサの半兄にあたるアサクサデンエンが2004年に安田記念を優勝しています。 ルミナスウォリアーの父は皐月賞、ダービー、天皇賞春・秋のGI4勝馬メイショウサムソン。そしてイェッツトの父カンパニーは、8歳にして2009年天皇賞秋を優勝という実績があります。 そして、二点目にあげるのが『馬主群』。 『個人馬主』 ノームコア(池谷誠一氏) トーセンスーリヤ(島川隆哉氏) ルミナスウォリアー(中西功氏) ブラックホール(芹澤精一氏) イェッツト(近藤英子氏) アドマイヤジャスタ(近藤旬子氏) トーラスジェミニ(柴原榮) 「クラブ馬主」 ラッキーライラック(サンデーレーシング) ポンデザール(サンデーレーシング) ドレッドノータス(キャロットファーム) カウディーリョ(キャロットファーム) ペルシアンナイト(G1レーシング) 個人馬主7頭、クラブ法人馬5頭という出走馬の構成。 一見、バラバラに見えるかもしれませんが、足並みは揃っており、裏には「チーム」が見え隠れしていることはお伝えしておきます。 また、これまでの臨戦過程からすれば、2走前まで地方競馬で走っていたルミナスウォリアーが、札幌記念に出走するということに違和感が残るかもしれませんが、この馬はもともとサンデーレーシングが所有していた馬で、ノーザンファームの生産馬です。 今年の札幌記念出走馬として選ばれた12頭の役割は、レーティングのコントロール、そして種牡馬ビジネスのコントロール。 誰の思惑が優先されるレースであるのかは、すぐにおわかりいただけるのではないでしょうか。 JTTC日本競走馬育成評議会 種牡馬部門 吉田晋哉