REVELATION REPORT
【結果総括】REVELATION REPORT「札幌記念週レポート」
掲載日:2020年8月24日
皆様、お世話になっております。
JTTC種牡馬部門の執行役員を務めております吉田晋哉です。
「クイーンSの友道丼、札幌記念のハービンジャー丼、ともに“美味しく”いただきました。来週は何丼が提供されるのか今から楽しみです。」
声の主は、某落語家・・・・ではなく、当会の在籍メンバー様からお寄せいただいたメッセージとなりますが、「友道丼」「ハービンジャー丼」という言葉がポンと出てくるほど、クイーンSにしても札幌記念に関しても印象深いレースになったのではないでしょうか。
昨年はハービンジャー産駒のブラストワンピースが制し、今年はノームコアとペルシアンナイトのワンツー決着。
ここ数週間は、ドゥラメンテ、モーリスといった新種牡馬に話題を独占され、それに加えて、セレクトセール2020で突き付けられたシビアな現実。
さらに付け加えれば、小倉記念のサマーセントが撃沈し、ハービンジャーにとっては肩身の狭い思いを耐え忍ぶ時期にあったわけですが、それが一転、この度の札幌記念の結果を受けて、手のひら返しのメッセージが某馬主協会のグループチャットで交わされていました。
レース前には、もうハービンジャーの時代は終わったとまで断言されていた方が、ここまで変わるのかと、それはそれは恐れ多く、見誤ってもこうしたオープンの場で心情を晒すわけには参りませんが、端的に申し上げれば、「鶏が先か、卵が先か?」という因果性に着目しない限り、目先の事象を受け、あっちにフラフラ、こっちにフラフラと最終的には思考の領域内で漂流しかねませんというお話です。
「鶏が先か、卵が先か?」というテーマについては、ビジネスやスポーツ、政治とったジャンルを超え、哲学として語り継がれるまでに根深い話となるわけですが、一般企業に当てはめれば
(1)儲かっていないから、良い給料は出せない
(2)良い給料が出ないから、良い人材が集まらない
この場合、どちらを解決することが最善なのか? 堂々巡りの議論はいまなお繰り返されています。
話はやや逸れますが、先週末、私は同じような光景をあるメディアで目にしました。
コロナ禍のなか行われた24時間テレビ。
シドニー五輪金メダリスト、高橋尚子さんが「募金ラン」なるものを実施したのです。
私有地内にある1周5キロのコースを周回するごとに、高橋尚子さん自身が10万円を募金するという企画。
「高橋さん発案の持ち込み企画」という話でしたが、先ほどの言葉が浮かんでしまいます。
高橋さんと日本テレビ、どちらが鶏でどちらが卵なのか・・・・テレビ業界に精通する方であれば、まず前者でないことを阿吽の呼吸で理解いただけるはずです。
そうした真実であり事の経緯を覆してまで、彼女の持ち込み企画である旨を強調したテレビ局。
ともすれば、高橋さんとテレビ局の間に入って交渉した人物がキーマンであることは間違いないでしょう。
また、至極当然の話ですが労働には対価が必要です。
ただし、対価には様々な選択肢があり、お金配りおじさんこと前澤友作氏が高橋さんの走りに感銘を受け、1周5キロごとに10万円を寄付しますと宣言すればビジネスは成立します。
本当にしたいことや欲しいもの。それを得るためには誠意と覚悟が求められます。
心理学の世界で「好意の返報性」という言葉がありますが、誰かに何かを与えずして、本当に欲しいものを得られることはありません。
欲しい物があるならば、それ相応の価値を提供したうえで取りに行かなければならない。これがビジネスの「掟」。
「If you want some, come get some」
世界に名の知れたアメリカのスーパースターが用いたこの言葉。
直訳すると「欲しい物があるなら、取りに来い」。
愚直なまでにそれを実行する日本のホースマンの名は?
そう、社台ノーザングループです。
「世界のSAPPORO」を舞台に行われるスーパーGIIは彼らが【夏の欲しいものリスト】最上位に位置付けるBIGレース。
「鶏が先か、卵が先か?」というここまでご紹介してきた因果性であり、「何かを得るためには、先に何かを与える必要がある」という法則を踏まえた上で、我々が札幌記念について示した見解をご覧ください。
-----札幌記念見解を引用-----
札幌記念を紐解く材料は今から申し上げる『二点』に集約されることを覚えておいてください。
マカヒキの出走回避によって、ディープインパクト産駒、そして金子真人ホールディングスの所有馬が姿を消すことになった今年の札幌記念。
まず一点目にフォーカスすべきは「種牡馬群」です。
札幌記念の翌日24日にはセレクションセール、25日からはサマーセールが控えていることもあり、少なからず札幌記念での決着によって、種牡馬のニーズに影響を及ぼすことになります。
とはいえ、札幌記念の結果を受けて、変動するというわけではなく、どのような相場になるのかは、すでに準備されているのです。
“準備されている”
つまりは、「調整(コントロール)」という言葉が頭に浮かんだ方は、札幌記念はほぼ見えたと言っても同然ではないでしょうか。
<ハービンジャー産駒>
・ノームコア
・ペルシアンナイト
・ドレッドノータス
<ステイゴールド系>
・ラッキーライラック(父オルフェーヴル)
・ブラックホール(父ゴールドシップ)
<ハーツクライ系>
・ポンデザール(父ハーツクライ)
・アドマイヤジャスタ(父ジャスタウェイ)
<Kingmanbo系>
・カウディーリョ(父キングカメハメハ)
・トーラスジェミニ(父キングズベスト)
<その他>
・トーセンスーリヤ(父ローエングリン)
・ルミナスウォリアー(父メイショウサムソン)
・イェッツト(父カンパニー)
その他として分類したとはいえ、出走することに意図がありますので、上記3頭についても触れないわけにはいきません。
まずはローエングリンを父に持つトーセンスーリヤ。
ローエングリンの代表産駒といえば、朝日杯FS、皐月賞、安田記念を制したGI3勝馬のロゴタイプがいますが、ローエングリン自身はGIタイトル無冠。
なぜ種牡馬入りしたのかといえば、その父Singspiel(シングスピール)の血に価値があるからです。
シングスピールはモハメド殿下の所有馬として1996年にジャパンカップを制覇。
シングスピール産駒としてローエングリンはGIタイトルには届きませんでしたが、ヴィクトワールピサの半兄にあたるアサクサデンエンが2004年に安田記念を優勝しています。
ルミナスウォリアーの父は皐月賞、ダービー、天皇賞春・秋のGI4勝馬メイショウサムソン。そしてイェッツトの父カンパニーは、8歳にして2009年天皇賞秋を優勝という実績があります。
そして、二点目にあげるのが『馬主群』。
『個人馬主』
ノームコア(池谷誠一氏)
トーセンスーリヤ(島川隆哉氏)
ルミナスウォリアー(中西功氏)
ブラックホール(芹澤精一氏)
イェッツト(近藤英子氏)
アドマイヤジャスタ(近藤旬子氏)
トーラスジェミニ(柴原榮)
「クラブ馬主」
ラッキーライラック(サンデーレーシング)
ポンデザール(サンデーレーシング)
ドレッドノータス(キャロットファーム)
カウディーリョ(キャロットファーム)
ペルシアンナイト(G1レーシング)
個人馬主7頭、クラブ法人馬5頭という出走馬の構成。
一見、バラバラに見えるかもしれませんが、足並みは揃っており、裏には「チーム」が見え隠れしていることはお伝えしておきます。
また、これまでの臨戦過程からすれば、2走前まで地方競馬で走っていたルミナスウォリアーが、札幌記念に出走するということに違和感が残るかもしれませんが、この馬はもともとサンデーレーシングが所有していた馬で、ノーザンファームの生産馬です。
今年の札幌記念出走馬として選ばれた12頭の役割は、レーティングのコントロール、そして種牡馬ビジネスのコントロール。
誰の思惑が優先されるレースであるのかは、すぐにおわかりいただけるのではないでしょうか。
-----以上札幌記念の見解を引用-----
事前に展開を読み解いたとき、トーラスジェミニがペースを握ることは想定内。
問題はどの馬が2番手を主張し、ペースを動かす【ブースター】の役割を果たすのか?
レースが終わった今となっては答えるまでもないでしょう。
不自然なまでに早め早めの競馬に打って出たラッキーライラックとM.デムーロ・・・サンデーレーシングの勝負服を身に纏ったあのコンビこそ、ブースターの役割に徹した出走馬だったのです。
差し馬有利の展開を生み出すべく2番手を主張したノーザン系クラブ馬・ラッキーライラック。
そのラッキーライラックに対し、外目から何ら遠慮なくプレッシャーを与えた堀厩舎のカウディーリョ。
ノームコアに跨る横山典弘に最善の進路を与えるべく、あえて位置取りを下げたトーセンスーリヤと横山和生。
この隊列が確定した時点で我々は◎-〇の本線的中を確信しました。
レース直後の横山典騎手の話にもありましたが、札幌記念は戦前描いていたシナリオ通りの競馬。裏を返せば必然の結果であったということです。
メンバー様はもちろんのこと、24時間テレビの高橋尚子さんばりに精力的に走り回り、情報精査に奔走した宇野さんも自分のことのように喜ばれていました。
我々のチームも「誰かのための結果」を事前情報として得たうえで情報を提供するに至ったわけです。
確実なミッション遂行。その実現には準備が必要です。
なぜマカヒキが回避したのか?
なぜGI3勝のラッキーライラックが「今後の路線を決める」という取って付けたような理由で参戦したのか?
なぜハービンジャー産駒の評価を高める理由があるのか?
今年の札幌記念を前に公開していた近況レポートでありRevelation Directiveの内容を踏まえれば、ハービンジャー産駒・ノームコアに◎を打つことが必然であったことは例え無料メンバー様であってもご理解いただけたのではないでしょうか。
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8月23日(日)札幌11R:札幌記念
プライベートランク:☆☆☆☆
<評価順>
◎1 ノームコア
○2 ペルシアンナイト
▲6 ラッキーライラック
△10 ポンデザール
△8 カウディーリョ
<買い目>
3連単F
1着 1
2着 2.6
3着 2.6.10.8
[6点]
<結果>
1着◎1 ノームコア(2人気)
2着○2 ペルシアンナイト(6人気)
3着▲6 ラッキーライラック(1人気)
3連単F:1万860円的中[6点]
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内部監査室の精査の甲斐あり、最終的には「6点」という厳選された提供点数により3連単:1万860円的中をお届けできた札幌記念。
ただし、メンバー様にはM.デムーロ騎手でありサンデーレーシング様、松永幹調教師がGI・3勝馬ラッキーライラックを代償にした【貸し】を提供した事実を絶対に忘れないでいただきたいのです。
矢作厩舎、堀厩舎、ノースヒルズをはじめ【REVELATION DIRECTIVE】では何度も貸し借りの存在について言及してまいりました。
テレビドラマの世界に限らず一度受けた借りは、「倍返し」が鉄則。
獲得した信頼をまた別の貸し借りへ・・・競馬村はその繰り返しであることをぜひ頭に入れておいてください。
さて、本日行われたHBAセレクションセールであり、明日以降のHBAサマーセールの模様は、改めて週末を前にご報告させていただきますが、そのHBAセレクションセールでは、寺田オーナーがキズナ×スマッシュハートを6000万でハンマープライスしたとも思えば、ドンキでお馴染みの廣崎氏がドゥラメンテ×キルシュワッサーを7200万円で競り落としてみせるなど、売却率もさることながら、これまでの同セールの取引レンジを優に上回る高額落札馬が続出。
夏セリとレースの因果性であり手がかりは改めて今週の【Revelation Directive】で触れる予定ですので、時間の許す限り、お付き合いいただければ幸いです。
今週のレポートは以上でございます。
JTTC日本競走馬育成評議会
執行役員 種牡馬部門
吉田晋哉