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REVELATION DIRECTIVE

REVELATION DIRECTIVE[新潟記念週:2020/09/05-06号]

■開催競馬場:新潟/小倉/札幌 ■開催重賞:新潟記念/小倉2歳S/札幌2歳S ■執筆担当:吉田晋哉 ------------------------------------- <REVELATION RACE LIST> ■土曜 札幌11R 札幌2歳S ■日曜 札幌11R 丹頂S ------------------------------------- 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 JTTC種牡馬部門担当の吉田晋哉です。 9月に入ったにも関わらず、木曜日には新潟県三条市で40度を越す猛暑日を史上初めて記録。 今朝方は福井県で震度5弱の地震が起こり、九州・沖縄方面では、勢力を増す台風10号が接近ということで、「自然」の威力を強烈に感じずにはいられない週末を迎えることになりますが、まずは命の安全を最優先にしながら、週末の競馬をお楽しみいただきたく思っております。 今週は自民党総裁選の行方に関する報道も多く、また経済界の話では、人材派遣の大手パソナグループが本社機能を淡路島に移転するというニュースも話題になりました。 コロナに関連する経済対策の中で、政府と「電通」、「パソナ」の関係性の不透明さが話題になった時期も今春はございましたが、『【淡路島】にある利権』は伏魔殿とも言えましょう。 JRA(農林水産省)が主催する中央競馬というエンターテインメントの発展における宣伝。 そこには「電通」など大手広告代理店が携わっていることは説明するまでもありません。 栗東から車で3時間ほど、神戸や四国へもすぐに行ける距離にある『淡路島』の利権は、リゾート業に携わっている方であれば、新たな利権が生まれ始めていたことは、以前からも知れ渡っていた話。 私も、様々な業種を本業としている馬主の方々とお話をさせていただいている中で、リゾート関連に携わっている馬主の方から「淡路島の件」は、何度も聞かせていただいておりました。 「競馬と淡路島に何の関係があるのか?」というお問い合わせが飛んで来てしまう前に、少しだけ解説しておきましょう。 3週間前、8月14日に公開していた関屋記念週の「REVELATION DIRECTIVE」では、滋賀県大津市に新たに開場するチャンピオンヒルズの話をしていたことを、皆様も覚えていらっしゃると思います。 『チャンピオンヒルズ』はチャンピオンズファームが仕掛ける新たな外厩施設ですが、それに先駆けて2015年には淡路島の南あわじ市内のawajiトレーニングセンターに「チャンピオンズファーム淡路」を開場しています。 また九州を拠点にアミューズメント事業を展開しているカナヤマホールディングス。 グリムやシヴァージ、カツジといった競走馬の馬主として、皆様もご存知だと思いますが、カナヤマホールディングスも2016年に南あわじ市内に育成牧場の「フォレストヒル」を開場しました。 2000年代から日本国内にカジノを誘致するという話題が出始めておりましたが、『淡路島』が、その本丸候補にあがっていたことは有名な話です。 関西の地方競馬としては、兵庫県の「園田競馬」がございますが、その園田競馬の前身にあたるのが、「淡路競馬」であったのです。 「淡路競馬場」を耳にしたことがある方はあまりいらっしゃらないかもしれませんが、「園田競馬場」や「姫路競馬場」の前身となった舞台は、「淡路」にあったのです。 戦後1947年に2度目の開場に踏み切られたものの、1949年には集客・収益の課題が大きく僅か2年足らずで閉場。 これが淡路競馬の歴史ということになりますが、コロナ禍のもと無観客開催により、競馬場や場外馬券発売での馬券販売が機能しなくとも、IT技術の発展により、馬券販売が成り立つことが証明された今年。 JRAという箱を使って、エンターテインメント事業の新たな実験ができたことは大きく、「淡路島」が伏魔殿となり、「ある動き」が再開し始めたことを、この機会に皆様にもお伝えしておきましょう。 カジノの誘致に関しては、「SAPPORO」を中心とする北海道も名乗りをあげていた時期もありましたが、昨秋に断念を表明しました。 東京オリンピックのマラソン会場として、世界からも「SAPPORO」に対する注目度も増しておりましたが、カジノを断念したとはいえ、「SAPPORO」には札幌競馬場があるわけでして、ここに新たな成長戦略も見出されているのです。 「札幌記念のGI昇格」 これが叶えば、起爆剤になるわけですが、今年の札幌記念では、ハービンジャー産駒のワンツー決着が実現されたことは記憶に新しいでしょう。 そして、ハービンジャー産駒のディアドラが凱旋門賞に出走登録を済ませたことに伴い、9月2日、JRAは「凱旋門賞の馬券発売」を行うことを正式に発表しました。 凱旋門賞の馬券発売で見込める売り上げ規模は、相当なプロジェクトです。 もし仮にディアドラが凱旋門賞のレース直前に回避するようなことが起きたとしても、凱旋門賞の馬券を発売できるということに意義があるのです。 「競馬」は、政治や経済の中枢に関わる国家産業であり、政府が変われば、競馬界にも新たな利権がもたらされ、動き始めます。 「政界の動き」と「競馬界の動き」をリンクさせながら、動向に注目してみてください。 ということで、今週のレースの話に移りたいと思いますが、今回この場で触れるレースは、2020年札幌競馬の開催最終週を締め括る土日のメインレースです。 ■土曜 札幌11R 札幌2歳S ■日曜 札幌11R 丹頂S まずは土曜日に行われる2歳戦の「札幌2歳S」。 昨年の「札幌2歳S」は、 キズナ エピファネイア ゴールドシップ という初年度産駒世代ながら、 キズナ、エピファネイアの産駒は出走ゼロというメンバー構成の中、 1着ブラックホール 2着サトノゴールド ゴールドシップ産駒のワンツー決着というインパクトのある結果が残された一戦でした。 迎える今年2020年の「札幌2歳S」。 現2歳世代は、初年度産駒としては、モーリス、ドゥラメンテの仔が注目されているわけですが、「札幌2歳S」には、モーリス産駒も、ドゥラメンテ産駒も姿を見せません。 またディープインパクト産駒もキングカメハメハ産駒も不在。 2大注目新種牡馬だけでなく、昨夏揃って逝去した歴史的2大種牡馬の仔もいないのです。 「なぜ?」という皆様の疑問に対しては、 「出走登録の段階から調整されているため」とお答えしておきます。 札幌2歳Sにおけるポイントは、 ・新種牡馬は、リオンディーズ産駒1頭のみ。 ・ノーザンF生産馬は、ソダシ(金子真人HD)のみ。 ・社台系クラブ法人の所有馬はゼロ。 このあたりの視点は最低限持っておいてください。 キズナ産駒の出走馬ゼロだった昨年に対し、今年は2頭。 バスラットレオン 馬主:広尾レース 厩舎:矢作芳人 ヴィゴーレ 馬主:ノースヒルズ 厩舎:松永幹夫 ノースヒルズが輩出したキズナの仔は、2頭に絞られたわけですが、ノースヒルズ所有のヴィゴーレとともに出走するバスラットレオンは、ノースヒルズの代表看板馬である二冠馬コントレイルを擁する矢作芳人厩舎が管理する馬であるという事実は、1つのポイントです。 また同舞台(札幌芝1800m)で行われた2歳オープンのコスモス賞を勝ったウインアグライアは、重賞獲りのチャンスであった今回の札幌2歳Sに出走させずに、次走はアルテミスSに出走予定。 そんな中、同じクラブ法人ウインの所有馬ウインルーア、ウイングリュックが2頭出し、いえグループとしては、岡田一族は4頭出しも際立つのではないでしょうか。 ・コスモアシュラ(馬主:岡田繁幸) ・ユーバーレーベン(馬主:ラフィアン) ・ウインルーア(馬主:ウイン) ・ウイングリュック(馬主:ウイン) また岡田一族のビッグレッドファームがシンジケートを組み繋養している「ゴールドシップ」産駒が5頭、オルフェーヴル産駒1頭を加えると、ステイゴールド系が6頭というメンバー構成。 <ステイゴールド系>の6頭 ヴェローチェオロ(父ゴールドシップ) コスモアシュラ(父ゴールドシップ) ユーバーレーベン(父ゴールドシップ) ウインルーア(父ゴールドシップ) アオイゴールド(父ゴールドシップ) スライリー(父オルフェーヴル) 岡田一族にとっての今年最大の目玉は、無論、春に牝馬二冠を達成したデアリングタクトという存在がいます。なお、秋華賞トライアルは使わずに秋華賞直行という方向で話が進んでおります。 そのデアリングタクトと同じ「父エピファネイア×母父キングカメハメハ」という配合が今注目度を増しておりますが、 ジオルディ 父:エピファネイア 母父:キングカメハメハ 厩舎:杉山晴紀 デアリングタクトと同じく杉山晴紀厩舎の管理馬にあたるジオルディが送り込まれ、その鞍上には、先週こそ週間0勝であったとはいえ、今夏の札幌リーディング独走のC.ルメール騎手が配されていることもまた【明確な意図あり】です。 [父エピファネイア×母父キングカメハメハ]という新たな黄金配合が作り出されようとしている中で、デアリングタクトを擁する岡田一族中心にゴールドシップ産駒が多数擁立されているわけです。 馬産地、北海道の中心「SAPPORO」で、生産界の重鎮が何をしようとしているのか。 夏競馬の「トレンド」を思い出してみてください。 そして、翌日の日曜日に行われる芝2600mを舞台とするオープンクラスの「丹頂S」。 「丹頂S」については、札幌2歳Sとの「共通点」と「相違点」を比較すると、その裏側にある人や組織の「貸し借り」が見えてくると思います。 日曜日のメインですので、このレースを迎える頃には、「札幌の厩舎リーディング」も固まっている頃でしょう。 最終週を迎える前の段階での上位トップ5は、 1位 矢作芳人厩舎(5勝) 2位 池添兼雄厩舎(4勝) 3位 安田隆行厩舎(4勝) 4位 荻原清厩舎(4勝) 5位 藤沢和雄厩舎(3勝) このようになっておりますが、10名の調教師が3勝をあげているという状況下。 6位にいる須貝尚介厩舎は、札幌開催最終週に一挙10頭を出走させ、その中には、札幌2歳Sに厩舎2頭出しとなるヴェローチェオロとソダシも含まれます。 「丹頂S」には、ゴールドシップの全弟にあたるゴールドフラッグも出走メンバーに添えているのは須貝厩舎の粋な計らい。 また、札幌2歳Sの複数頭出しとは一転し、「岡田一族」が送り込むのはナイママ1頭のみ。 一方で社台グループが「札幌2歳S」では1頭の出走に踏みとどまっているのに対し、「丹頂S」では、下記の通り7頭という構成です。 ・ウラヌスチャーム ・タイセイトレイル ・バラックパリンカ ・バレリオ ・ヒシゲッコウ ・ボスジラ ・ルミナスウォリアー 札幌2歳Sに唯一出走するノーザンファーム生産馬ソダシを所有するのは、金子真人HDですが、「丹頂S」にはディープインパクト産駒のボスジラを擁立し、ここにも金子氏の所有馬が顔を覗かせています。 このボスジラは今週土日の札幌メインレースに出走する唯一のディープインパクト産駒です。 といったところで、今年2020年競馬の「象徴的なこと」をこの機会に思い出していただきましょう。 ------------------------------------- 矢作芳人厩舎 タイセイトレイル(馬主:田中成奉) ハナズレジェンド(馬主:広尾レース) 堀宣行厩舎 ヒシゲッコウ(馬主:阿部雅英) ------------------------------------- 矢作芳人厩舎と堀宣行厩舎の共存。 皐月賞 1着コントレイル(矢作芳人厩舎) 2着サリオス(堀宣行厩舎) 日本ダービー 1着コントレイル(矢作芳人厩舎) 2着サリオス(堀宣行厩舎) コントレイル、サリオス以外にも、矢作厩舎と堀厩舎の管理馬が同じレースに共存するときに、「何か」が起きていたことは、これまでお付き合いいただいている皆様であれば、印象に残っていることでしょう。 今年2020年競馬を象徴する「矢作厩舎」と「堀厩舎」を巡る貸し借り。 これは、これまでの「REVELATION DIRECTIVE」でも何度も触れてまいりましたし、JTTC監修BOOKSの【日本ダービー大全】でもピックアップされておりました。 一連の動きは、人と人の「駆け引き」、「貸し借り」で繋がっています。 最後に、 札幌2歳S バスラットレオン 丹頂S ハナズレジェンド どちらのレースにも、矢作厩舎が管理する広尾レースの所有馬が出走しているというのが、今週特筆しておくべき要素です。 今夏、「矢作厩舎」×「広尾レース」は沢山の恩恵を受けながら局面で好走に繋げておりました。 2020年7月5日(日) 福島11R ラジオNIKKEI賞 2着パンサラッサ(矢作芳人厩舎) 2020年7月11日(土) 函館5R 2歳新馬 1着カイザーノヴァ(矢作芳人厩舎) 2020年7月26日(日) 札幌5R 2歳新馬 1着バスラットレオン(矢作芳人厩舎) 2020年8月1日(土) 札幌11R STV賞 1着ハナズレジェンド(矢作芳人厩舎) 2020年8月23日(日) 札幌9R クローバー賞(2歳OP) 1着カイザーノヴァ(矢作芳人厩舎) 過去に類を見ないほどの際立つ好走劇の数々。 夏の締め括りに行われる「札幌2歳S」と「丹頂S」で、「矢作厩舎」×「広尾レース」の2頭は、それぞれ再び恩恵を受ける立場であるのか、それとも恩恵を与える役回りに回るのか。 そのような視点からも、レースの行方をご覧ください。 今週もここまでお付き合いいただきありがとうございました。 夏競馬最終週もJTTCで存分にお楽しみいただきながら、次週の秋競馬開幕週を迎えましょう。 JTTC日本競走馬育成評議会 種牡馬部門 吉田晋哉