JTTC | 日本競走馬育成評議会公式サイト

ログイン 新規登録
REVELATION DIRECTIVE

REVELATION DIRECTIVE[セントライト記念週:2020/09/19-21号]

■開催競馬場:中山/中京 ■開催重賞:ローズS/セントライト記念 ■執筆担当:吉田晋哉 ------------------------------------- <REVELATION RACE LIST> ■土曜 中京11R ケフェウスS ■月曜 中山11R セントライト記念 ------------------------------------- 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 JTTC種牡馬部門担当の吉田晋哉です。 今週、世間で話題にのぼるのは、菅新内閣誕生一色ムード。 競馬業界と関わりの深い河野太郎氏は、防衛相から「行政改革・規制改革担当相」にスライドする形で再び入閣を果たし、【改革派】としての存在を際立たせるポジションに配置されました。 早速、深夜まで続いた新閣僚就任会見の慣例に対して苦言を呈するなど、【改革推進】としてのインパクトを残すべくパフォーマンスを見せていたわけですが、政界は勿論のこと、競馬業界においても、改革を敢行していく上で、キーパーソンであることは言わずもがな。 ワイドショー、新聞、ネットニュースのどれも新内閣の話題ばかりですし、この「REVELATION DIRECTIVE」の場では、ほどほどにしておきたいと思います。 日本馬ディアドラの凱旋門賞参戦は既報の通りですが、2週後に迫る10月4日開催の凱旋門賞に向けて、キーファーズが共同所有しているジャパンが出走する方向となり、出走する際には、その鞍上に武豊騎手が配されることも内定。 凱旋門賞も無観客開催となるわけですが、「武豊騎手」の参戦によって、日本人、日本の競馬ファンの注目を集めることができるため、海外競馬発売を実施するJRAだけでなく、現地のFrance Galop(フランスギャロ)にとっても、望ましい決定事項と言えましょう。 世界の競馬界においてトップであるクールモアと、日本のキーファーズが共同所有する馬の名は、Japan(ジャパン)。 昨年の凱旋門賞で4着、今夏のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSで3着という実績。 凱旋門賞2勝馬エネイブルに対して2度敗れているとはいえ、エネイブルは6歳牝馬、ジャパンは4歳牡馬ですので、「成長力」という点で、どれだけ迫ることができるのか。 世界のエイダン・オブライエン(A.オブライエン)厩舎の管理馬にあたり、Galileo産駒という血統背景からも、決して圏外というような馬ではなく、昨年の凱旋門賞馬ヴァルトガイストと同様に、「大金星」があっても驚けない存在です。 A.オブライエンといえば、 日本で海外馬券発売の第1弾となった2016年凱旋門賞で、 1着ファウンド(父Galileo 母父Intikhab) 2着ハイランドリール(父Galileo 母父Danehill) 3着オーダーオブセントジョージ(父Galileo 母父Gone West) 管理馬3頭出しで、その3頭で上位を独占。 しかも、自身が育てたGalileo産駒の1、2、3フィニッシュを果たした厩舎としても有名。 また今年2020年の凱旋門賞には、 ラブ(父Galileo 母父Pivotal) ジャパン(父Galileo 母父Danehill) マジカル(父Galileo 母父Pivotal) 3頭のGalileo産駒を出走させる見込みです。 凱旋門賞という舞台に、厩舎の管理馬3頭を同時に送り込むことが異常ともいえますが、Galileoを育てあげた張本人。そのチーム・A.オブライエンに、日本の武豊騎手とキーファーズが加わるというのは、出走する時点で快挙ともいえるのです。 なお、チーム・A.オブライエンにとっての最大のライバルとなるエネイブルの父Nathanielが、Galileoの仔です。また昨年の勝ち馬ヴァルトガイストもGalileo産駒であり、いわば、近年の凱旋門賞は[Galileo]の血が席巻し続けているのです。 サンデーサイレンスの血の飽和状態。 これが日本競馬界で度々議題にあがっていたものですが、日本でサンデーサイレンスの偏りによって利権が生まれたように、欧州でも「Galileoの血」の偏りにより、すでに利権が生まれています。 [父Galileo]の時代から、[母父Galileo]の時代へ。 日本では、[父ディープインパクト]の時代から、[母父ディープインパクト]の時代へ。 日本も海外も、考えることは似ています。 この機会に、日本競馬を見る上でも、種牡馬だけでなく、むしろ【母父】に重きを置くようにしながら、競走馬を観察すると良いかもしれません。 さてジャパンに関して、もう少し掘り下げるとすれば、母の半兄には、1998年凱旋門賞馬サガミックス、2001年凱旋門賞3着のサガシティがいる凱旋門賞好走血統馬。 2001年にサガシティを3着に好走させたのが、他でもなく、武豊騎手本人です。 凱旋門賞で渡仏すると、帰国後2週間は自宅待機を余儀なくされるわけですが、それによって秋華賞に騎乗ができなくなることを承知のうえで、 「騎乗オファーをいただいたら、迷いなく参戦するつもり」 と自身の公式サイトでも、明言しております。 凱旋門賞が開催される10月4日は、日本国内では、秋競馬のGI第一弾となる「スプリンターズS」が行われます。 先週行われたセントウルSを優勝したダノンスマッシュの鞍上は、三浦皇成騎手→川田将雅騎手に戻ることになったわけですが、これは既定路線。 本番でも騎乗することが前提であれば、三浦騎手は、セントウルSであのような競馬はしていなかったはず。本番を見据えた騎乗をしていたはずです。 「勝たせて、本番での騎乗依頼に繋げる」というモチベーションによって、勝負騎乗での渾身の勝利をもたらしたわけですが、この件に関しては、「非情」と言える采配に映るかもしれないとはいえ、セントウルSで勝つためには、「必要な戦略」であったのです。 一方で、本番で騎乗することが水面下ですでに決まっていた川田騎手にとっては、セントウルSで騎乗できなかったことは、特に問題なし。 もし、セントウルSで川田騎手に任せていた場合、スプリンターズSを見据えて、勝つことにこだわることもなかったはずです。 賛否両論、波紋を呼ぶ可能性があったとしても、人身掌握をしながら、勝ち取った重みのある1勝。 これもまた、いわゆる【政治力】ではないでしょうか。 「政略」によって、意のままに、望む結果をもたらすことができる存在。 競馬でも、政治でも、「政略」と「もたらされる結果」の因果関係は、共通事項です。 「結果にはすべて原因がある」 これはガリレオ・ガリレイの言葉。 その「原因」にあたる部分を、「政略」という言葉に置き換えてみてください。 先週行われた「セントウルS」の結果は、つまり、そういうことであったのです。 あまり大きな声では言えませんが、政略というのは、 勝つということだけではなく、あえて「負ける」「譲る」という動きもまた政略の1つです。 今回の自民党の総裁選でも、話題になりました。 石原氏を2位にはしないために、菅氏を支持する派閥の票を、あえて菅氏ではなく岸田氏に譲り、岸田氏を2位にしたという話題。 真偽はさておき、そのようなことが話題になるということは、「火のないところに煙は立たない」ということを皆が知っているからでしょう。 今週は、「政略」という言葉を意識しながら、2つのレースに注目してみてください。 話が脱線し、長くなってしまいそうなので、今週の<REVELATION RACE LIST>の話に移ります。 まずは土曜日に、中京芝2000mという金鯱賞と同じ舞台で行われるケフェウスS。 聞き慣れない「ケフェウスS」というレース名は、私も初見です。 今年の秋には、新潟牝馬Sというようなレースも新設されておりますが、京都競馬場整備工事に伴い、関西圏の開催場が振替になっている影響で、今年は新設レースが増えており、「ケフェウスS」もその1つ。 3歳以上のオープンハンデ戦。重賞に出走するような出走メンバーで行われます。 全体像としては、まずは<クラブ馬群>と<個人馬主群>という視点でご覧ください。 <クラブ馬群> グローブシアター(キャロットファーム) ワイプティアーズ(吉田照哉/社台グループオーナーズ) アトミックフォース(吉田千津/レックス) ヒンドゥタイムズ(シルクレーシング) ハナズレジェンド(広尾レース) マイネルフラップ(サラブレッドクラブ・ラフィアン) ラストドラフト(社台レースホース) トリコロールブルー(シルクレーシング) サラス(吉田照哉/社台グループオーナーズ) <個人馬主群> ノーブルマーズ(吉木伸彦) ランスオブプラーナ(五影慶則) ミスディレクション(ノースヒルズ) ポポカテペトル(金子真人ホールディングス) サトノクロニクル(サトミホースカンパニー) ミスマンマミーア(吉田勝利) フランツ(近藤英子) 出走馬16頭中9頭が、<クラブ法人群>という構成。 <個人馬主群>には、 金子真人ホールディングス サトミホースカンパニー 近藤英子氏 という社台グループ懇意のオーナーの所有馬も揃えられています。 ノーザンファームの代表吉田勝己氏を知らない方は勿論いないはずですが、ミスマンマミーアを所有する「吉田勝利氏」は一文字違い。 吉田勝利氏は、サッカーファンの方であればご存知だと思いますが、中京競馬場がある愛知県の隣、岐阜県を拠点とするFC岐阜で、取締役を経験したことのある方です。 Jリーグ発足直後には、名古屋グランパスエイトのサポーター組織を設立し、愛知県や岐阜県といった地元で地域密着しながら事業を行っております。 ノーザンファームの吉田氏と名前が似ているということは偶然というのは、あくまでも余談です。 「ケフェウスS」という聞き慣れないレース名には、違和感しかないわけですが、この一戦は3歳以上のオープンクラスの一戦で、出走メンバーは、重賞とオープン特別の狭間にいる馬ばかり。 賞金順で出走メンバーが決まる重賞に出走させるためには、獲得賞金が問われるわけですので、1着賞金2400万円を「どの馬に稼がせる」という思惑が焦点。 ともすれば、レース名だけではない【矛盾】という違和感を抱いている方は、どれだけいらっしゃるでしょうか。 ≪同一の馬主名義での複数頭出し≫ シルクレーシング ・ヒンドゥタイムズ ・トリコロールブルー 吉田照哉/社台グループオーナーズ ・ワイプティアーズ ・サラス ≪同一厩舎の複数頭出し≫ 友道康夫厩舎 ・トリコロールブルー ・ポポカテペトル このような複数頭出しが仕込まれているわけです。 何かを「勝たせる」ために、レース前から「犠牲になること」を前提に出走する政治的な馬が複数いるということです。 それこそが、ケフェウスSの核心部分です。 また、先ほども申し上げましたが、せっかくですので、ケフェウスSの出走馬の【母父】にも注目しながらレースをご覧ください。 続いて、月曜日に行われる菊花賞トライアルのセントライト記念。 こちらもまずはわかりやすいように、<クラブ馬群>と<個人馬主群>にわけましょう。 <クラブ馬群> フィリオアレグロ(サンデーレーシング) マイネルソラス(サラブレッドクラブ・ラフィアン) ラインハイト(キャロットファーム) <個人馬主群> ヴァルコス(佐々木主浩) ガロアクリーク(水上行雄) ココロノトウダイ(星野壽市) サトノフラッグ(サトミホースカンパニー) サペラヴィ(伊達敏明) ダノンファスト(ダノックス) バビット(宮田直也) ピースディオン(久米田正平) リスペクト(石川達絵) こちらは出走馬12頭に対し、クラブ馬は3頭のみ。 フルゲートは18頭ですので、出走しようと思えばできたはずの馬もいたわけですが、3着馬までに菊花賞の優先出走権が与えられるという一戦ながら、「出ない馬」が続出したのです。 間接的な圧力によって、呼んだ自粛の動き。 その上で、セントライト記念が行われるということを念頭に注目ください。 ・アイブランコ(ライフエンタープライズ) →土曜日中山9Rに出走。 ・エクセレントラン(田畑利彦) →日曜日中山7Rに出走。 ・エヒト(平井裕) →今週は出走せず。 ・フォワードアゲン(浅川皓司) →今週は出走せず。 アイブランコとフォワードアゲンは、どちらも美浦の中野栄治厩舎の管理馬ですが、社台系生産馬で管理しているのは、山本三津子氏が所有する2頭のみ。 またエクセレントランを管理する大江原哲厩舎も2頭だけ。 さらにはエヒトを管理する森秀行厩舎もいまは2頭しかおりません。 そのあたりを踏まえて、≪社台系生産馬群≫と≪非社台系生産馬群≫にもわけておきましょう。 ≪社台系生産馬群≫ ヴァルコス ココロノトウダイ サトノフラッグ ダノンファスト フィリオアレグロ ラインハイト ≪非社台系生産馬群≫ ガロアクリーク サペラヴィ バビット ピースディオン マイネルソラス リスペクト 綺麗に、6頭:6頭というバランスでわかれました。 [3着]までに与えられる権利の割り振り。 出走自粛が生じてしまった意味はおわかりいただけることでしょう。 またいくつかポイントをあげておきます。 ・C.ルメール騎手は非社台系生産馬のリスペクトに騎乗。 ・サトノフラッグには、武豊騎手でもC.ルメール騎手でもなく、戸崎圭太騎手を起用。 ・先週重賞には姿がなかったM.デムーロ騎手が、今週はローズS、セントライト記念で騎乗。 ・友道厩舎の3歳牡馬使い分け。 ⇒アドマイヤビルゴ(先週のムーンライトハンデ/武豊騎手)、ヴァルコス(セントライト記念/三浦皇成騎手)、マイラプソディ(神戸新聞杯/武豊騎手) 弥生賞を優勝した後、国枝栄厩舎が管理するサトノフラッグの騎乗を巡って、 キーファーズのマイラプソディか。 サトミホースカンパニーのサトノフラッグか。 武豊騎手の選択が注目を集めました。 同じエージェントが担当するC.ルメール騎手が皐月賞でサトノフラッグに騎乗し、武豊騎手はマイラプソディに騎乗することで話をつけて、迎えたダービーでは、 サトノフラッグ(武豊騎手) マイラプソディ(横山典弘騎手) ワーケア(C.ルメール騎手) このような配置転換が行われました。 そして凱旋門賞の1週前となる次週の神戸新聞杯では、マイラプソディは再び武豊騎手が騎乗という流れで、セントライト記念に臨むサトノフラッグには、C.ルメール騎手や武豊騎手を起用する選択肢もありながら、そうはならなかったのです。 なぜなのか? 今回、サトノフラッグに関しては、極端な結論が下されているということをお伝えし、今週の「REVELATION DIRECTIVE」を締めたいと思います。 先週ピックアップしていた紫苑SとセントウルSに関しては、川田将雅騎手とM.デムーロ騎手が[排除されていた]ことにも注目いただきました。 一方、今週は、 ■土曜 中京11R ケフェウスS 川田騎手がラストドラフトに騎乗。 ■月曜 中山11R セントライト記念 川田騎手はガロアクリークに騎乗。 M.デムーロ騎手はフィリオアレグロに騎乗。 先週とは異なり、二人ともに今週はキーパーソンになりうるのです。 どちらのレースも、彼らが3角あたりでどういう動きをするのか注目してみてください。 JTTC日本競走馬育成評議会 種牡馬部門 吉田晋哉