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REVELATION REPORT

【結果総括】REVELATION REPORT[スプリンターズS週:2020/10/03-04号]

皆様、お世話になっております。 JTTC種牡馬部門の執行役員を務めております吉田晋哉です。 フランスの地で今年も無事開催された凱旋門賞。 武豊騎手騎乗・松島オーナーが共同所有するジャパンも出走馬に名を連ねる予定でしたが、周知のとおりA.オブライエン厩舎所属の4頭は薬物検査の結果、陽性となり当日午前中に出走取消が発表。 「武豊とともに凱旋門賞を勝つこと」を目標に馬主生活をスタートしたキーファーズの松島オーナーの心境は察するに余りあるものでしょう。 また、肝心のレースについて、大注目のエネイブルは凱旋門賞3勝目とはならず6着に敗れた一方で、昨年3着のソットサスが昨年の雪辱を果たして優勝。 最後の直線走路では玉突き事故のような形で複数の出走馬が不利を被っていたとはいえ、この大一番の舞台を早め先頭の競馬で押し切ったわけですからC.デムーロ騎手をはじめソットサス陣営には最大級の賛辞を贈りたいと思います。 この辺りが世界最高峰のレースたる所以だと感じたエピソードを一つこの場でご紹介したいのですが、勝ったソットサスは当然のことながら、負けて引き上げてきたエネイブルに対して場内に居合わせた5000人ほどの競馬関係者が皆一様にエネイブルのこれまでの輝かしい実績であり、今回の奮闘ぶりを称えていたそうです。 もちろん、単なる美談としてご紹介しているわけではございません。 エネイブルは自らの魂と肉体を駆使し、世界中の競馬関係者にサラブレッドが秘める未知なる可能性であり探求心を大いに刺激するパフォーマンスを約4年間に渡る現役生活を通じ披露してみせました。 歴代の名馬を何十頭も輩出してきたトレーナーでさえ、「エネイブルを目にするたびに、新たな発見がある」と言わしめた逸材。 メンバーの皆様には欧州を代表する超一流馬の馬体でありエネイブル特有の走法は是非とも記憶に留めていただき、そう遠くない未来において真っ先に比較すべき対象としてエネイブルの姿を思い起こしていただければ幸いです。 そして、凱旋門賞から遡ること7時間半。 中山競馬場では1頭の馬がその馬名の由来通り【大歓声】をメンバー様にもたらしてくれました。 秋空に差し込んだ一筋の光、グランアレグリア。 週中の【REVELATION DIRECTIVE】で示した一部見解を抜粋しつつ、馬単大本線決着の幕開けとなった秋GI緒戦「スプリンターズS」の結果を振り返りたいと思います。 -----スプリンターズS見解を引用----- この一戦に関してはあまり多く触れることはできないのですが、秋のGI開幕戦ということで、何も触れないわけにもいきません。 ダノンスマッシュ  三浦騎手→川田騎手 ミスターメロディ  北村友一騎手→福永騎手 ダイアトニック   武豊騎手→横山典弘騎手 グランアレグリア  池添騎手→C.ルメール騎手 レッドアンシェル  福永騎手→M.デムーロ騎手 エイティーンガール 坂井騎手→池添騎手 クリノガウディー  森騎手→三浦騎手 アウィルアウェイ  川田騎手→松山騎手 上記の通り、出走馬16頭中半数にあたる8頭の乗り替わりが生じている一戦ですが、 ・インディチャンプ (前走 福永騎手) ・タワーオブロンドン(前走 C.ルメール騎手) ・ステルヴィオ   (前走 川田騎手) スプリンターズSに出走を予定していた上記3頭の出走回避に伴う乗り替わりが起こりました。 出走回避に伴い、「相手馬」は玉突き的に優先順位も変化が生じた一戦となるわけですが、「本命馬◎」の変更はもちろん生じておりません。 カレンチャン、ロードカナロア時代と比較すれば、明らかに今の日本競馬のスプリント路線の馬は、世界との差は開いてしまっています。 日本の馬は、世界トップレベル。 このように言われている時代ではありますが、シビアな話をすれば、どの路線も世界との差が開き始めていると言わざるを得ないのです。 2011年から2013年頃は、ロードカナロアが国内だけでなく香港スプリントも制し、「世界のロードカナロア」と言われておりました。 同じ時代には、2011年に三冠馬となったオルフェーヴルが、2012年2013年の凱旋門賞で2年連続2着と世界制覇に、あと少しのところまで迫り、世界を驚かせました。 あれから7、8年が経過した2020年のいま。 もう一度、世界の頂点に迫っていくべく、強化していかなければならないのです。 日本ダービーや凱旋門賞は芝2400m。 芝の中距離路線での活躍を見込んだ生産、育成に力は注がれ続けているわけですが、繁殖馬に対する価値の見出され方という観点では、世界の主流は「スピード」タイプ。 スプリントやマイルに適性が高いスピードタイプの繁殖馬から芝中距離に対応できるサラブレッドを輩出させようという矛盾。 スピードタイプの繁殖馬が重宝される時代になったのは、種牡馬産業における利権の都合。 この無理難題ともいえるような試練の中で、試行錯誤を繰り返しているのです。 ただし、無謀なことではありません。 スプリント路線で活躍した繁殖馬と、中長距離傾向の繁殖馬を掛け合わせて、何頭も中長距離GI馬が誕生しています。 もっとも記憶に新しく、印象の強い存在が、2020年6月9日に34頭目のJRA顕彰馬に選出されたキタサンブラック。 父ブラックタイド(ディープインパクトの全兄) 母シュガーハート 母父サクラバクシンオー(1993年、1994年スプリンターズS連覇) 今年のスプリンターズSは、どの馬が勝つことが理想なのか。 想像しながら、秋のGIシーズンの開幕をお楽しみください。 -----スプリンターズS見解を引用----- 日本近代競馬の結晶・ディープインパクトを父に持ち、チャーチルダウンズのD4.5F戦でデビューしたTapitsflyを母に持つグランアレグリア。 【世界】を意識したその配合は「ディープインパクト産駒初となるスプリントGI制覇」へと導きました。 ここで改めて、スプリンターズSに渦巻いていた背景をご説明いたします。 なぜ、グランアレグリアはスプリンターズSを秋競馬緒戦に設定したのか?  その結果、どのようなことが戦前起きていたのか? ・インディチャンプ→右後肢の大腿二頭筋に炎症を発症したため回避 ・タワーオブロンドン→爪の状態が整わないため回避 ・ステルヴィオ→キーンランドC熱発回避の影響でスワンSへ インディチャンプは昨年の安田記念でアーモンドアイを撃破したシルクレーシング所有馬。タワーオブロンドンはC.ルメール騎手騎乗で昨年のスプリンターズSを勝利。グランアレグリアと同じ藤沢和師の管理馬です。 また、ここで思い返していただきたいのが1週間前(神戸新聞杯週)の出来事です。 ノースヒルズ系列のコントレイルが圧巻のパフォーマンスを披露した当時。 2着ヴェルトライゼンデ陣営にとって、セントライト記念より与しやすいメンバー構成となったことでしっかり2着賞金を獲得。 今年のクラシック戦線において希薄といえた【サンデーレーシング】の存在感をアピールするには十分な結果でした。 その神戸新聞杯の結果を踏まえた上で、スプリンターズSを再度振り返りますと、実戦の場面において【極端な戦術】に徹した出走馬が思い当たるはずです。 そうです。 コントレイルに通じるノースヒルズ系列の【ビアンフェ】が、執拗なまでにモズスーパーフレアに競りかけたのです。 「前半競られた分、直線で甘くなってしまいました」 敗戦騎手となった松若騎手が語る言葉の裏には「まさかあそこまで徹底的に競られるとは・・・」との心情が窺えます。 その結果、起きたのは中山芝1200mではめったにお目にかかれないレベルの大外一気。 ノースヒルズ系列のビアンフェが、社台ノーザングループのグランアレグリアをアシストしたと思われても致し方ないレベルの競り合いに映ったはずです。 日本競馬界にとって念願だった、世界に通じるスプリンター誕生の背景にあった事実。 オープンイノベーション(OI)に等しい概念がここ競馬界においても急速にアップデートされつつあることを心の奥底に留めておいてください。 ================= [日]中山11R スプリンターズS プライベートランク:☆☆☆☆☆ <評価順> ◎10 グランアレグリア ○3 ダノンスマッシュ ▲2 モズスーパーフレア ☆7 ミスターメロディ 注6 ライトオンキュー 穴12 ビアンフェ <結果> 1着◎10 グランアレグリア 2着○3 ダノンスマッシュ 馬単:790円[5点]※投資配分35%指定 ================= 続いて、ルメール騎手の土日重賞ジャックの先陣を切ったシリウスSを振り返りましょう。こちらも【REVELATION DIRECTIVE】と合わせてご覧ください。 -----シリウスS見解を引用----- ずは土曜日に中京ダート1900mで行われるシリウスS。 16頭立てで行われるわけですが、シリウスSを1つの重賞として単体で考えるのは御法度です。 このレースに迫る上で、皆様の「共通認識」を統一しておきたいと思います。 9月30日(水) 船橋競馬場ダート1800m 「日本テレビ盃」 10月3日(土) 中京競馬場ダート1900m 「シリウスS」 地方・中央の交流重賞として水曜日に行われた「日本テレビ盃」との使い分け。 ここを無視して、シリウスSの本質に迫ることは不可能です。 6月に行われたユニコーンSの前後で公開した『REVELATION DIRECTIVE』の内容を見返していただいた方が良いかもしれませんが、今年のシリウスSで日本、そして米国の関係者が視線をまず送る対象は、American Pharoah(アメリカンフェイロー)産駒にあたるカフェファラオ。 ユニコーンSから中1週の間隔で、大井競馬場で行われたJDD(ジャパンダートダービー)では、疲れを残したまま強行策でとりあえず出走させる形であったカフェファラオ(堀厩舎)が敗れた一方で、もう1頭のAmerican Pharoah産駒のダノンファラオ(矢作厩舎)が優勝しました。 このような情勢でもあり、日本で活躍するAmerican Pharoah産駒の2頭が今年のケンタッキーダービーに挑戦するには至らなかったわけですが、この秋は「使い分け」を行ったのです。 ダノンファラオは「日本テレビ盃」へ。 (結果は7着) カフェファラオは「シリウスS」へ。 ダノンファラオの敗因は明確です。 JDD出走時は目一杯に仕上げていたのに対し、今回は良化途上。 では、今回のカフェファラオは? JDD(GI)<今回シリウスS(GIII)<ユニコーンS(GIII) JDDに出走していた時よりも、動きは良い。 ただし、絶対に負けさせるわけにはいかない状況で、勝つためのお膳立てが揃えられていたユニコーンSに臨んでいた時ほどの出来ではない。 このレースを、カフェファラオ陣営がどのように位置づけているかは、説明するまでもないでしょう。 -----シリウスS見解を引用----- スプリンターズSの項では世界に通じるスプリンター・・・とさせていただきましたが、ダート路線にもこれと同じことが言えます。 ゴールドドリーム、クリソベリルという国内NO.1&NO.2が子ども扱いされたサウジカップ。 日本のエース級を投入してもなお、勝てない現実。 世界制覇の壁は厚く、関係者にとっては屈辱以外の何物でもなかったことでしょう。 種牡馬ビジネスにおける莫大な利権を考えたとき、世界が注目するアメリカンファラオの後継種牡馬争いは何としてでも制したいもの。 【種牡馬価値向上】を見据える意味で、秋の大舞台出走に向けて賞金加算が必須のここは勝利の二文字の「厳命」がオーナーサイドより発動された一戦。 ================= [土]中京11R シリウスS プライベートランク:☆☆☆☆☆ <評価順> ◎15 カフェファラオ ○9 ダノンスプレンダー ▲6 メイショウワザシ ☆4 アルドーレ 注2サクラアリュール △3 エイコーン <結果> 1着◎15 カフェファラオ 2着注2 サクラアリュール 馬単:3980円的中[5点] ================= 先を見据えた仕上がりだったものの、カフェファラオは危なげなく勝利し賞金を上積み。2着に飛び込んだ伏兵サクラアリュールはゴールドドリーム、クリソベリルと同じ【ゴールドアリュール産駒】。 こちらもダートにおける種牡馬価値を維持するにふさわしい好走でした。 なお、スプリンターズSのビアンフェほど露骨ではございませんが、このレースにも【不自然な動き】があった点、お気づきいただけましたでしょうか。 武豊騎手のフランス遠征に伴い、メイショウワザシに手配された浜中騎手。 彼は前走、今回有力馬のなかに数えられていたアルドーレ(昆厩舎)でありダノンスプレンダー(安田隆厩舎)に騎乗していました。 昆厩舎はライトオンキュー、安田隆行厩舎はダノンスマッシュで、ともにスプリンターズSに参戦。 安田隆行厩舎はダノンスプレンダー(シリウスS)、ダノンスマッシュ(スプリンターズS)ともに川田騎手。 玉突き的な騎手の動きがありましたが、メイショウワザシ×浜中騎手は【必勝】を期するカフェファラオ陣営にとってプラスでしかなかった点を覚えおいてください。 レースをご覧いただければ、3-4コーナーで同じ3歳馬のライバル・ダイメイコリーダに何が起きていたかを確認できるかと思います。 その浜中騎手は今週、『キセキ』をはじめ武豊騎手のお手馬の何頭かに騎乗予定。 今となって、なぜキセキに浜中騎手が騎乗するの? といった疑問を抱かれる方はさすがにいらっしゃらないと思いますが、かつてリーディングを獲得するなど絶大な信頼を集めたエース騎手が、泥水をすする役割を全うした事実。 その【返し】がそう遠くない将来に用意されることは間違いありません。 彼らのような存在がいるからこそ、C.ルメール騎手は必勝が厳命されたレースをしっかりモノにできるのです。 我々はその【約束に至る経緯と真意】を事前に知り得る立場だった、というだけです。 改めましてメンバーの皆様、的中おめでとうございました。 さて、今週は東京で毎日王冠、京都で京都大賞典が行われます。伝統の2レースの名前を聞くと、いよいよ秋競馬開幕の機運が高まります。 特にサリオスの始動戦となる毎日王冠は少頭数ながら質の高いメンバーが集結。 ・アイスストーム(ゴドルフィン) ・カデナ(ノースヒルズ系列) ・コントラチェック(キャロットファーム) ・ザダル(キャロットファーム) ・サトノインプレッサ(矢作厩舎) ・サリオス(堀厩舎) D.レーン騎手がその手綱を握っていたサリオスは、ルメール騎手へと乗り替わり。 「前走レーン騎乗→今回ルメール騎乗の堀厩舎所属馬」は先週も観た光景ですね。 それ以外にも散りばめられたキーワードは、これまで我々が【貸し借り】のプラン実行を知り得たものばかり。 矢作師、堀師は春から続く貸し借りをここでも継続させるのか? 2頭出しで臨むキャロットファームの思惑は? 現段階ですべてをお伝えすることはできませんが、そのあたりを中心に想像を膨らませつつ、週末に備えてください。 今週のレポートは以上でございます。 JTTC日本競走馬育成評議会 執行役員 種牡馬部門 吉田晋哉