REVELATION REPORT
【結果総括】REVELATION REPORT[菊花賞週:2020/10/24-25号]
掲載日:2020年10月26日
平素は格段のご厚情を賜り、厚くお礼申しあげます。
JTTC内部監査室長を務める宇野篤でございます。
激動の菊花賞から一夜明け、大変有り難いことに多くのメッセージを頂戴しております。
「初めて同一年に牡牝の三冠馬が誕生した事実をJTTCと一緒に見守った事は嬉しい。」
「ヴェルトライゼンデは私からみても惚れ惚れする好馬体で登場してくれたので、まさにアリストテレスのような競馬をするものと思いきや、直線で置いていかれるとは・・・。来週是非ともこの鬱憤を晴らしてほしいです!」
我々の下した最終結論に則り、菊花賞の馬券を購入されていたメンバー様。
ご自身でアレンジして馬券購入されていたメンバー様。
様々な思いや期待を胸に、牡馬三冠を成し遂げた◎コントレイルの姿を見届けられたことと思います。
表情ひとつ変えず、最後の4コーナーを通過する福永騎手に対して、プッシュプッシュと手綱をしごくアリストテレスのルメール騎手。
そのワンシーンだけ切り取れば、明らかにコントレイルの手応えが上回っていただけに、福永騎手からすれば、かつてのパートナー“エピファネイア”の仔に、あそこまで苦しめられるとは戦前の段階では予想だにしない出来事だったと思います。
無論、我々からすれば、敗戦は敗戦でも、頭はコントレイルということを前提に相手筆頭馬とした○ヴェルトライゼンデがよもやの7着敗退。
前日行われた、富士Sにおいてはペルシアンナイト、サトノアーサーが揃って馬券圏外に終わった池江厩舎も、この大一番に向けて昨年2着のサトノルークス以上の手応えをもって送り出していたわけですから、にわかには信じがたい結果。
最終追い切りで併走パートナーから遅れた点などを材料に、本調子になかったとする論評も散見されますが、本調子にない馬が栗東・CWにおいて84.5-67.1-51.7-37.5-11.8といった実戦さながらのラップを刻めるのでしょうか。
さらに付け加えさせていただくならば、4馬身ほど追いかける形のスタートでしたから、最終追い切りで先着を許したことをもって敗因と断定するのは早計でしょう。
REVELATION REPORTを執筆する意義であり、JTTCの使命として、『競馬業界の矛盾を解き尽くす』という大きなテーマがございます。
そうした価値観に共感いただき、今回の菊花賞を我々JTTCに託していただいたメンバー様には切実に結果でお応えするほかないわけですが、それ以上に説明責任を果たすという基本の「キ」に重きを置くべき機会であると考えています。
冒頭部分では、“我々にとって”大変励みになるメッセージを紹介させていただきましたが、そのメッセージを打ち込まれている際の悔しさや本当に言いたいこと、伝えたいことをグッと堪えていらっしゃるのだというそういう優しさにもしっかり気づいています。
お気遣いいただいて本当に申し訳ございません。そして心から感謝申し上げます。
すべてのメンバー様にご納得いただけるかは分かりませんが、この菊花賞週に『競馬業界の矛盾を解き尽くす』という使命を全うすべく、吉田が言及した3レースの提供結果につきご報告申し上げます。
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[土]東京11R:富士S
プライベートランク:☆☆☆☆☆
<評価順>
◎11 ラウダシオン
○2 タイセイビジョン
▲5 ヴァンドギャルド
☆10 ペルシアンナイト
注4 サトノアーサー
△9 ケイアイノーティック
△12 ワーケア
<結果>
1着▲5ヴァンドギャルド
2着◎11ラウダシオン
3着△9ケイアイノーティック
3連複F:7710円的中[14点]
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NHKマイルCに続き、シルクレーシングの◎ラウダシオンを本命抜擢のうえ臨んだ土曜の東京メイン「富士S」。
今春はNHKマイルC(ラウダシオン)→ヴィクトリアM(アーモンドアイ)→安田記念(アーモンドアイ、インディチャンプ)と軸指定馬は漏れなくシルクの勝負馬を抜擢していた経緯を知るメンバー様も多々いらっしゃると思いますが、つい最近、吉田が執筆した下記の記述を覚えていらっしゃる方は十中八九◎ラウダシオンを中心視されていたことでしょう。
-----REVELATION REPORTの見解を引用-----
まずは土曜日に行われる府中牝馬S。
東京芝1800m戦で行われる一戦ですが、
10月11日(日)毎日王冠(芝1800m)
10月17日(土)府中牝馬S(芝1800m)
10月24日(土)富士S(芝1600m)
少なくとも、この3戦をセットにしてご覧いただきたいのです。
<中略>
8頭中6頭がノーザンファームの生産馬。
1頭が社台ファーム。
さらにグリーンファームが、社台ファームが提携するクラブ法人です。
すなわち8頭中7頭が、社台グループとの関連がある馬なのです。
これほどまでに、出走登録の段階から露骨に忖度されているレースというのは、なかなか見受けられるものではありません。
独裁という言葉が相応しいでしょうか。
キャロットファームだけでなく、サンデーレーシングの所有馬も出走させていないというのもポイントです。
-----以上REVELATION REPORTの見解を引用-----
「この3戦をセットに」
ひとつひとつのレースを単体ではなく、線としてつなげる重要性。
今春のマイルGI三連戦と同じく、シルクレーシングが紡ぐ「3部作」完結の主役はいったいどの馬か?
さすがに馬名まで挙げることは致しませんでしたが、
◎サリオス(毎日王冠)
◎サラキア(府中牝馬S)
◎ラウダシオン(富士S)
全てが明かされた今となっては、シルク以外の共通点を導き出すほうが難しい・・・はず。
秋の東京・京都開催から幕を開けた「シルク旋風。
こうしてみると時系列できれいに並んでいるとお思いでしょうが、彼らが常に意識するのは【ゴールからの逆算】。
然るべきミッションをシルクレーシングが発動させる以上、ある種の物語の終わりに向けて良い結果を残し続けるのは必然の理。
すべてを裏で操るフィクサーが如く、競馬の世界で起きる出来事を彼らはいとも簡単にコントロール可能。
今春のマイルGI3連戦、そして今秋の三重賞ともにその舞台が「東京競馬場」であった事実だけは忘れないでください。
また、同日の新潟メインは新設レースでありながら、芝2200mの牝馬限定戦といかにも「エリザベス女王杯」を意識せざるを得ない条件で行われた一戦を取り上げておりました。
さて、その勝者を先にお伝えしますとペルシアンナイトでお馴染み“GIレーシング”の◎ウラヌスチャームが向正面から異例のロングスパートを発動し、そのまま逃げ切ってしまうという横綱相撲の競馬でございました。
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[土]新潟11R:新潟牝馬S
プライベートランク:☆☆☆☆
<評価順>
◎6 ウラヌスチャーム
○9 パルティアーモ
▲3 ティグラーシャ
☆2 エスポワール
<結果>
1着◎6ウラヌスチャーム
2着☆2 エスポワール
馬単F:2710円的中[6点]
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「今週行われるレースの中では、一番の[チーム戦]といっても過言ではありません」
【Revelation Directive】にて、一番のチーム戦という言葉で締めくくられたこのレース。
なぜ、府中牝馬Sが8頭立てだったのか?
なぜ、芝2200mの条件で新設されたのか?
背景を紐解けば、おのずと答えは絞られます。
府中牝馬Sに出走可能だった社台ノーザングループの馬の多数がこちらへエントリー。
クラブ規定により6歳春での引退を余儀なくされるクラブ馬の「賞金稼ぎ」を目論むボーナスステージである、と。
春の東京で牡馬相手のリステッド競走勝利があるウラヌスチャームを新潟にスタンバイさせた一戦。
もうひとつの背景をお伝えしますと、芝2200mと条件が重なるエリザベス女王杯との因果関係を測定する狙いもありました。
そんななか、◎に擁立されたウラヌスチャームは言葉を失うほどの圧勝劇。
ウラヌスチャームと同じクラブ馬かつ父キングマンボ系×母父サンデーサイレンス系のパルティアーモとの本線的中はならなかったものの、☆エスポワール(父、オルフェーヴル)が道悪適正を活かし2着入線。
「ウラヌスチャームの手応えがあまりにも違った分、自分の競馬に徹しました」
上記は2着したエスポワールの鞍上、藤岡佑介騎手によるレース後談話となりますが、仰せの通り「ウラヌスチャームが強すぎた」ゆえの2着好走と捉えたいところ。
それでも同レースのバックボーンとして明言していたクラブ法人(GIレーシング)・個人馬主(近藤英子オーナー)の所有馬が揃って連対を果たすという、ある種収まりのいい決着シーンとなりました。
さて、このように社台ノーザングループは土曜競馬を『チーム戦』で挑んだことになります。
一方で翌日曜日に行われた菊花賞はといえば、春先から何度もお伝えしているノースヒルズによる『チーム戦』。
あえて多くは語りません。キーワードをかいつまんで記します。
・ノースヒルズ系3頭出し
・矢作芳人厩舎2頭出し
・国枝栄厩舎の登録馬3頭中2頭が抽選対象馬
・サトミホースカンパニー2頭出し
「前走ダート出走のノースヒルズ生産馬キメラヴェリテ」
「前走毎日王冠出走の矢作芳人厩舎サトノインプレッサ」
ある種の「違和感」が存在した今年の菊花賞。
目的がコントレイルによるディープインパクト以来となる無敗の三冠馬であることは、メンバー様であれば120%ご理解いただけたはずです。
コントレイルの三冠達成はもはや必然。
しかし、土曜競馬でダブルスタンダードたる結果を演出したノーザンファーム生産のクラブ馬には思いがけない結末が待ち受けていました。
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[日]京都11R :菊花賞
プライベートランク:☆☆☆☆☆
<評価順>
◎3 コントレイル
○6 ヴェルトライゼンデ
▲8 ディープボンド
<結果>
1着◎3 コントレイル
2着無9 アリストテレス
馬単:1010円不的中[2点]
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父ディープインパクトに続き“無敗の三冠馬”に輝いたコントレイル。
『チーム戦』にふさわしく、キメラヴェリテはバビットのハナを叩き、そのバビットは示し合わせていたかのように番手のポジションを選択。
日本ダービーと同じくディープボンドがコントレイルを先導する役目を担いましたが、福永騎手と同期の和田騎手だからこそできる芸当とも言えるでしょう。
一方、馬単における相手本線とした、
○6 ヴェルトライゼンデ
▲8 ディープボンド
に関しては、▲ディープボンドを想定以上にコントレイルが早く捕まえに行ってしまったこと、○ヴェルトライゼンデが直線走路において【右手前のまま】走り切ってしまった点が今尚悔やまれます。
なお、コントレイルの福永騎手からはレース後、
「2着馬がずっと斜め後ろにいて、プレッシャーをかけてきて、それもあってエキサイトしていました」
とコメント。
ある程度マークを受けることは想定済でしたが、終始張り付かれたことで先導役のディープボンドを潰す予想外の展開に。
また、コントレイルと熾烈な叩き合いを演じた今となっては、2着アリストテレスを拾えていない事実を指摘するご意見はごもっともであり、お叱りを受けるのは当然かもしれません。
しかし、終始右手前で走ったヴェルトライゼンデに対して、そもそもスタミナ切れといった批評を良しとするならば、疲労度合いにより手前をスイッチするという競走馬の本能であり本質に反することになります。
あの、コントレイルですら最後の1ハロンは左手前から右手前に戻していたほどです。
「思ったよりはヴェルトライゼンデが上がっていけなかったです」
前記はブラックホールを5着に導いた藤岡佑介騎手のレース後談話。
新潟牝馬Sに続いて彼の談話を取り上げたのは、レース中に他馬を分析する眼が非常に優れているからです。
そんな彼にとっても想定外だったヴェルトライゼンデの走り。
あの馬の能力値を知るだけに、こんな形でクラシック最終戦を終えてしまったことは不本意と言わざるを得ません。
ご参加いただいた皆様方におかれましては、1.2着馬の火花散るデッドヒートを複雑な心境で見守るレースとなってしまったことと思います。メンバー様とともに喜びを分かち合うことが我々の目指すところ。この結果を真摯に受け止めたうえで、我々が事前に関係者筋から知りうる【然るべきレースのシナリオ】を戦果で実証するほかありません。
周知のとおり、今週は東京競馬場で天皇賞・秋が行われます。
芝GI・8勝目がかかるシルクレーシング所属・アーモンドアイが断然の主役候補。
同じシルクレーシングのサリオス、グローリーヴェイズは当たり前のように同レースを回避し、すでに世間一般ですらその【違和感】を抱いている印象すら受けます。
この場ですべてをお伝えすることはできずとも、近年、天皇賞・秋というレースの価値そのものがシフトしつつある点は留意すべきです。
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2013年
・[ジャスタウェイ]ジェンティルドンナを下し初GI勝利。
2014年
・[スピルバーグ]ジェンティルドンナを下し初GI勝利。
2015年
・[ラブリーデイ]エイシンヒカリとの2強対決に完勝。
2016年
・[モーリス]国際GI2勝馬エイシンヒカリに完勝。
2017年
・[キタサンブラック]歴史的不良馬場で非主流血統が上位独占
2018年
・[レイデオロ]スワーヴリチャードとの2強対決に完勝。
2019年
・[アーモンドアイ]サートゥルナーリアとの2強対決に完勝。
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歴史的名牝を下し、種牡馬価値を青天井にした馬もいれば、国際GI馬に勝利することで世界的な名声を得た馬もいるレース。
「勝つことでどんな称号を得られるのか?」
「勝つことで将来的な利益を得られるのは誰か?」
目先の1勝ではない、その先に見据える終着点を想像しつつ週末の競馬をお待ちいだけますと幸いです。
JTTC-日本競走馬育成評議会
内部監査室長
宇野篤