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REVELATION DIRECTIVE

REVELATION DIRECTIVE[阪神JF週:2020/1212-13号]

■開催競馬場:中山/阪神/中京 ■開催重賞:中日新聞杯/カペラS/阪神JF ■執筆担当:吉田晋哉 ------------------------------------- <REVELATION RACE LIST> ■土曜 中京11R 中日新聞杯 ■日曜 中京10R つわぶき賞 ------------------------------------- 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 JTTC種牡馬部門担当の吉田晋哉です。 「三度目の正直」 【物事は一度目と二度目はあてにならないが、転じて、物事は三度目には期待どおりの結果になるということ】 生まれてから今日に至るまで、「三度目の正直」ということわざは、私だけでなく、皆様も何度も耳にされたことがあるのではないでしょうか。 勝負事でよく用いられるわけですが、案外しつこく粘る人よりも、一度目、二度目で簡単に諦めてしまう人は多いもので、どの業界においても生き残っている人は、「三度目の正直」まで粘れた人ばかりなのではないかと思っております。 時には、「五度目の正直」「十度目の正直」まで辛抱して、好機を手にして一気にブレークスルーを果たしたというケースも頭に浮かびます。 今回、この言葉を冒頭から提言した理由は、まさに「三度目の正直」を体現した朗報が競馬界に今週舞い込んだばかりだからです。 私より、少しだけ歳上の先輩にあたりますが、武豊騎手の同期にあたる蛯名正義騎手(51歳)が、3度目の受験で調教師試験に見事合格しました。 来年2月まで騎手を続けた後、3月から調教師に転身。 アパパネで牝馬三冠を達成。 イスラボニータとディーマジェスティで皐月賞を2勝。 フェノーメノで天皇賞春を連覇。 騎手として数々の功績を残している蛯名騎手ですが、 日本ダービーでは、フェノーメノ(2012年)とイスラボニータ(2014年)で2着まで迫りながらも勝ちきれず。 凱旋門賞は、エルコンドルパサー(1999年)とナカヤマフェスタ(2010年)で2度の2着。 騎手として、あと少しのところまで迫りながらも、『ダービージョッキー』『凱旋門賞ジョッキー』になれなかった「やり残し」を調教師という立場で果たせるようにホースマンとして私も応援していきたいと思います。 アパパネ以降、ジェンティルドンナ、アーモンドアイ、デアリングタクトという3頭の三冠牝馬が誕生しているわけですが、2歳女王決定戦にあたる「阪神JF」から秋華賞に至るまで、同世代のGIで四冠を達成したのはアパパネだけ。 この約10年で4頭の三冠牝馬が誕生しているため、記憶がやや薄れがちの方もいるかもしれませんが、「無敗の三冠」にもひけをとらぬ記録とも言えますし、この偉業が色褪せることはありません。 「三度目の正直」とは対極の言葉になるかもしれませんが、「二度あることは三度ある」「三度あることは四度ある」を体現し、キングカメハメハ、ディープインパクト、マカヒキ、ワグネリアンで日本ダービーを4度制している金子真人氏。 その金子氏にとって初のダービー馬となったキングカメハメハの仔で、初めてGIを制覇したのが、2009年のアパパネによる阪神JF優勝の瞬間でした。 開業は少し先にはなると思いますが、数年後に蛯名厩舎開業の際には、オーナーサイドからどのような素質馬が預けるのか。 人と人の絆で成り立つのが、競馬の世界ですので、今から楽しみです。 その蛯名騎手が騎手を引退する来年の2月末に入れ替わるようにして、調教師を引退することになるのが、そのキングカメハメハをGI馬に育てあげた松田国英調教師です。 そして、松田厩舎で友道康夫現調教師とともに調教助手として切磋琢磨し、厩舎開業後に国内外で活躍した角居勝彦調教師が、定年を待たずして同じく2月に引退を迎えます。 松田国英師は「競馬ニホン」社でトラックマンとして活躍。 1979年に退社した後は調教助手の時代を経て1995年に調教師免許を取得したという経歴ですが、10年連続で2次試験に落ちながらも「十一度目の正直」にして調教師に登りつめたという執念をお持ちの方です。 松田国英厩舎(1996年開業) ・友道康夫現調教師[1996年-2001年 調教助手] ・角居勝彦現調教師[1997年-2000年 調教助手] ・高野友和現調教師[2002年-2010年 厩務員→調教厩務員→調教助手] ・村山明現調教師 [2002年-2005年 騎手] 騎手として所属していた村山明師を含め、松田国英厩舎に所属経験のある現調教師4名の方々は、皆GIトレーナーとなっているあたりの功績は注目に値するのではないでしょうか。 また再来年2022年2月には、美浦トレセン所属の藤沢和雄厩舎が定年を迎えます。 武幸四郎師や四位洋文師など、近年は騎手から調教師に転身した面々が、厩舎開業前に藤沢和雄調教師に弟子入りを志願して、藤沢師の手腕を学ぶ姿もあります。 名伯楽からの継承によって、新たな時代に向かう上での礎が着実に作られているのです。 「引退直前」の「好走」という因果関係。 皆様にとって記憶に残っている馬と調教師のコンビはいますでしょうか。 勝ったわけではありませんが、2011年のフェブラリーSで3着と好走したバーディバーディという存在。 バーディバーディを管理していたのは、金子真人氏が所有していたディープインパクトを管理していた池江泰郎氏。 2011年2月が定年の時期であり、引退直前のGIで3着好走という内容に、当時は感激したことを覚えています。 ご子息にあたる池江泰寿調教師は現役で活躍しておりますが、1994年に父の厩舎で調教助手として経験を積んだ後に海外修行を経て、2003年に調教師免許を取得して今に至ります。 私も海外留学をしていた身で、当時は、外国の調教師が池江師を高く評価していたこともよく覚えております。 池江泰寿調教師(1969年1月13日生まれ) 武豊騎手   (1969年3月15日生まれ) 蛯名正義騎手 (1969年3月19日生まれ) この3名は同い年かつ早生まれという共通点もあるわけですが、2歳GIの時期になると、 ドリームジャーニー のことを思い出します。 2006年に当時は中山競馬場で行われていた朝日杯FSを制覇。 これが中央GI20勝を誇る池江泰寿厩舎にとって、初のGIタイトル獲得。 ドリームジャーニーというと池添謙一騎手とのコンビが強く印象に残っているかもしれませんが、デビューから春のクラシックまでは蛯名正義騎手が主戦を務め、3歳秋から武豊騎手にバトンタッチという経緯があります。 「同い年の縁」で紡がれた夢だったのです。 さて毎年2月頃になると、引退を労う話をマスコミがピックアップし、勝ち星を献上するような出走馬への注目が集まるわけですが、「2月」になってから注目し始めたのでは、「旬を逃している」と言わざるをえません。 確かに、引退の時期や新人が加入し、人が入れ替わる時というのは、ご祝儀のようなことも増えるわけですが、決して「2月だけ」というわけではなく、引退3ヶ月前とはいえ、すでに始まっているということは知っておいて損はないと思います。 来年の2月には、三冠牝馬ジェンティルドンナ、ダートGI9冠馬ヴァーミリアンを輩出した石坂正調教師も引退します。 いまこのような話をすることは決して「時期尚早」ということはありません。 早くて得をすることはあっても損はしない。 文字量にして、6000文字を超えてしまうことも珍しくない「REVELATION DIRECTIVE」ではございますが、意味のない話は致しません。 ディープインパクト(池江泰郎氏) キングカメハメハ(松田国英氏) 私は種牡馬部門を専業としておりますが、現代の日本競馬において、金子真人氏の所有馬としてダービーを勝ち、種牡馬としても偉大な功績を残した二大巨頭を育てあげた調教師の引退が近づいているというのは、とても感慨深いものがあります。 あと3ヶ月弱。 引退したからといって、離れるわけではありませんが、「引退」や「卒業」というものは、やはり寂しいものですね。 全く話しは変わりますが、もう1つだけ、ことわざを引っ張ると、 プライベートメンバーの皆様には、 【早起きは三文の徳】 という言葉をあえて強調しておきたいと思います。 それでは、今週の<REVELATION RACE LIST>に話を移します。 今回は、 ■土曜 中京11R 中日新聞杯 ■日曜 中京9R つわぶき賞 まずは、「中日新聞杯」について。 出走馬は、下記18頭となります。 -------------------------------- 1枠1番 サトノガーネット 馬主:サトミホースカンパニー 厩舎:矢作芳人 父:ディープインパクト 1枠2番 ボッケリーニ 馬主:金子真人ホールディングス 厩舎:池江泰寿 父:キングカメハメハ 2枠3番 テリトーリアル 馬主:ゴドルフィン 厩舎:西浦勝一 父:Teofilo 2枠4番 ショウナンバルディ 馬主:国本哲秀 厩舎:松下武士 父:キングズベスト 3枠5番 ギベオン 馬主:社台レースホース 厩舎:藤原英昭 父:ディープインパクト 3枠6番 トリコロールブルー 馬主:シルクレーシング 厩舎:友道康夫 父:ステイゴールド 4枠7番 ワイプティアーズ 馬主:吉田照哉 厩舎:加用正 父:ダイワメジャー 4枠8番 タガノアスワド 馬主:八木良司 厩舎:五十嵐忠男 父:ネオユニヴァース 5枠9番 ヴェロックス 馬主:金子真人ホールディングス 厩舎:中内田充正 父:ジャスタウェイ 5枠10番 デンコウアンジュ 馬主:田中康弘 厩舎:荒川義之 父:メイショウサムソン 6枠11番 グロンディオーズ 馬主:サンデーレーシング 厩舎:田村康仁 父:ルーラーシップ 6枠12番 バラックパリンカ 馬主:社台レースホース 厩舎:平田修 父:ノヴェリスト 7枠13番 インジビブルレイズ 馬主:シルクレーシング 厩舎:吉村圭司 父:ハーツクライ 7枠14番 シゲルピンクダイヤ 馬主:森中蕃 厩舎:渡辺薫彦 父:ダイワメジャー 7枠15番 レッドヴェイロン 馬主:東京ホースレーシング 厩舎:石坂正 父:キングカメハメハ 8枠16番 マイネルサーパス 馬主:サラブレッドクラブ・ラフィアン 厩舎:高木登 父:アイルハヴアナザー 8枠17番 オウケンムーン 馬主:福井明 厩舎:国枝栄 父:オウケンブルースリ 8枠18番 サトノソルタス 馬主:サトミホースカンパニー 厩舎:堀宣行 父:ディープインパクト -------------------------------- 2020年リーディングトレーナーランキング 1位 【矢作芳人】51勝 2位 【友道康夫】50勝 3位 【堀宣行】45勝 4位 【国枝栄】43勝 5位 [藤沢和雄]43勝 藤沢和雄厩舎以外の上位4位までの厩舎が、それぞれ管理馬を出走させる一戦となるわけですが、【事実】として、このことも知っておいて頂きたいのです。 10位 【池江泰寿】 35勝 11位 【藤原英昭】 35勝 17位 【中内田充正】31勝 12月11日時点の成績ということになりますが、現時点で10位以下となっている上記3厩舎も管理馬を出走させる今年の中日新聞杯。 いわゆる「ビッグネーム」と言われる面々が、今年は勝ち星が「伸び悩んでいる」ように見えてしまっているのではないかと思います。 過去3年の成績をご覧ください。 【池江泰寿】 2019年 6位 45勝 2018年 8位 46勝 2017年 1位 63勝 【藤原英昭】 2019年 18位 35勝 2018年 1位  58勝 2017年 2位  55勝 【中内田充正】 2019年 4位  48勝 2018年 11位 45勝 2017年 8位  46勝 2017年リーディング1位の池江厩舎。 2018年リーディング1位の藤原厩舎。 そして毎年50勝目前まで勝ち星を積み重ねている安定の中内田厩舎。 この数字をパッと見た場合、「低迷?」という印象をほとんどの競馬ファンが抱くのではないかと想像してしまうわけですが、 今年は「勝ち星を献上する側」に回ることが多かったのでは? という直感が働いたメンバー様は、いらっしゃいますでしょうか? 皐月賞、日本ダービー、そして夏競馬とお付き合いいただいているメンバー様は、 矢作芳人厩舎 堀宣行厩舎 この厩舎が同じレースに出走馬を送り込んだ際にどのようなことが起きていたかは何度もご覧いただいてまいりました。 今回は、 矢作厩舎  サトノガーネット 堀厩舎   サトノソルタス ≪サトミホースカンパニー≫の所有馬2頭出しでチームのようになるわけですが・・・ 一方では、 池江厩舎  ボッケリーニ 中内田厩舎 ヴェロックス ≪金子真人ホールディングス≫の所有馬も2頭出しということになります。 「貸し借り」の延長線上で繰り広げられるのが、勝ち星を数字化した「リーディング争い」となるわけですが、 リーディング2位  友道厩舎 トリコロールブルー リーディング4位  国枝厩舎 オウケンムーン リーディング11位 藤原厩舎 ギベオン 中日新聞杯は、『勝ち星を献上してもらった側』と『勝ち星を献上していた側』でバランスが図られたレースであるということだけは、事前にお伝えしておきたいのです。 サトノガーネット(白老F) サトノソルタス(ノーザンF) ボッケリーニ(ノーザンF) ヴェロックス(ノーザンF) トリコロールブルー(ノーザンF) オウケンムーン(ノーザンF) ギベオン(社台F) この7頭はすべて社台系生産馬に分類されるわけですが、 今年で言えば、多くの方がまず気になるであろう「ルメールはどの馬に乗るの?」という問いへの回答は「この6頭の中にはいません」。 中京はローカルだから、中山?阪神?ということではなく、C.ルメール騎手は、グロンディオーズ(サンデーR)で中日新聞杯に騎乗します。 前もってお伝えできることとして、グロンディオーズは本命馬ではありません。 続いて、日曜日の「つわぶき賞」の舞台は中京競馬場。 2歳の牝馬限定戦という意味では、2歳GIの阪神JFに注目が集まることは当然なのですが、こちらは、触れることが許されている範囲がほとんどなく規制が多いため、今回は「つわぶき賞」をピックアップします。 阪神JF(GI) つわぶき賞(2歳1勝クラス) レースの格こそ違いますが、先週の「こうやまき賞」と遜色ない一戦と言わせていただきます。 出走馬は、厳選された僅か“8頭”のみ。 -------------------------------- アールラプチャー 馬主:前原敏行 厩舎:千田輝彦 父:ミッキーアイル カイトゲニー 馬主:本田恒雄 厩舎:和田雄二 父:カレンブラックヒル グランデフィオーレ 馬主:キャロットファーム 厩舎:藤岡健一 父:ドゥラメンテ ニシノエルサ 馬主:西山茂行 厩舎:中野栄治 父:トゥザワールド ネクストストーリー 馬主:ミルファーム 厩舎:中川公成 父:ジョーカプチーノ マウンテンムスメ 馬主:西村新一郎 厩舎:中野栄治 父:アドマイヤムーン ムーンビード 馬主:社台レースホース 厩舎:友道康夫 父:American Pharoah ルース 馬主:山田和夫 厩舎:池添兼雄 父:ドゥラメンテ -------------------------------- 先週の「こうやまき賞」は、 1着◎ダディーズビビット(キズナ) 2着▲シティレインボー(エピファネイア) 3着○ストゥーティ(モーリス) 3連単2万1390円的中 このような決着だったわけですが、同じ2歳世代の1勝クラス、芝1400m戦の「つわぶき賞」には、 キズナ産駒 エピファネイア産駒 モーリス産駒 は1頭も出走せずに、ディープインパクト産駒さえも出走が認められていないのです。 種牡馬ビジネスの視点から見ても、【露骨な使い分け】が仕掛けられている一戦なのです。 阪神JFと比較しても面白いかもしれません。 昨年の阪神JFを優勝したのは、“キャロットファーム”のレシステンシアでした。 しかしながら、今年の阪神JFにキャロットファームの所有馬はゼロ。 “1勝馬”でも抽選対象にはなれたわけですが、グランデフィオーレは登録すらしていなかったのです。 さらにはアルテミスS2着馬のククナ(キャロットファーム)も阪神JFには登録せずに来月のシンザン記念に出走予定。 キャロットファームはクラブ馬であり、「GIに出られるならGIへ」という選択肢も優先順位として高いはずなのですが、「登録すらしなかった」という事情。 阪神JFにあって、「つわぶき賞」にないもの。 「つわぶき賞」にあって、阪神JFにないもの。 そのあたりを想像しながら、注目してみてください。 JTTC日本競走馬育成評議会 種牡馬部門 吉田晋哉