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REVELATION DIRECTIVE

REVELATION DIRECTIVE[朝日杯FS週:2020/1219-20号]

■開催競馬場:中山/阪神/中京 ■開催重賞:ターコイズS/朝日杯FS ■執筆担当:吉田晋哉 ------------------------------------- <REVELATION RACE LIST> ■土曜 中山9R ひいらぎ賞 ■日曜 中山11R ディセンバーS ------------------------------------- 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 JTTC種牡馬部門担当の吉田晋哉です。 2020年の中央競馬も残すところは、あと2週のみとなりました。 12月20日(日)朝日杯FS 12月26日(土)ホープフルS 12月27日(日)有馬記念 今週と来週で上記3つのGIレースが繰り広げられていくことになるわけですが、今年12月競馬に行われたGIレースは、2週連続で的中馬券を仕留めているだけに、勢いそのままに締め括りたいところです。 2020年12月6日(日) 中京11R チャンピオンズC 1着◎チュウワウィザード 2着▲ゴールドドリーム 馬単1万1170円的中 2020年12月13日(日) 阪神11R 阪神JF 1着◎ソダシ 2着☆サトノレイナス 馬単1290円的中 昨年の12月競馬では、 2019年12月1日(日) 中京11R チャンピオンズC 1着○クリソベリル 2着◎ゴールドドリーム 3着☆インティ 3連単8980円的中 ※フォーメーション提供 2019年12月8日(日) 阪神11R 阪神JF 1着◎レシステンシア 2着△マルターズディオサ 馬連1万円的中 2019年12月15日(日) 阪神11R 朝日杯FS 1着◎サリオス 2着○タイセイビジョン 馬単950円的中 2019年12月22日(日) 中山11R 有馬記念 1着○リスグラシュー 2着☆サートゥルナーリア 馬単6130円的中 ※フォーメーション提供 2019年12月28日(土) 中山11R ホープフルS 1着◎コントレイル 2着○ヴェルトライゼンデ 3着▲ワーケア 馬単2760円的中 ※フォーメーション提供 チャンピオンズCからホープフルSに至るまでの12月に行われたGIレースは「パラダイムシフト」の象徴であり、“明確なミッション”が敷かれていた上で、レースの背景を馬券に置き換える形で『変則的なフォーメーション』を駆使しながら5連勝で締め括った2019年の師走。 昨年の暮れ頃には、一般競馬ファンの皆様向けにプライベートサロンを開放し、ともにこの一年駆け抜けてまいりましたが、ありきたりな表現にはなってしまうものの、「本当にあっという間」に、再び『有馬記念』を迎えることになります。 “シルクレーシング”のアーモンドアイ。 “キャロットファーム”のリスグラシュー。 昨年は、ノーザンファーム提携のクラブ法人がそれぞれに抱えていた2頭の女王を擁立させて行われていたわけですが、その2頭はすでに引退。 昨年とは異なる「有馬記念」をお届けすることが、今から楽しみで仕方ありません。 なお明日12月19日(土)には中山競馬場でアーモンドアイの引退式が催される予定となっております。非常に冷え込んで参りましたので、出席される方は暖かい格好でご参加ください。 明日の中山競馬場では、牝馬限定重賞の「ターコイズS」が行われますが、その前に行われる2歳戦の「ひいらぎ賞」があるため、私も中山競馬場に向かう予定です。 アーモンドアイの引退式まで現地にいられるかどうかは未定なのですが、私の姿を見掛けた場合には、是非ともお気軽にお声がけいただけましたら嬉しいです。 「ターコイズS」は、今週の『プライベートギフト』対象レースですので、無料メンバーの皆様も『プライベートギフト』を通じてお楽しみください。 日曜日に行われる2歳GIの朝日杯FSについては、「規制」がかけられていることもあり、先週の阪神JF同様に、<REVELATION RACE LIST>にピックアップする許可がおりていません。 そのために深く掘り下げることはしませんが、種牡馬部門の担当として、さすがに何も言及しないというわけにもいかないでしょう。 朝日杯FSは、2014年から舞台が阪神芝1600mに替わりました。 2013年まで中山で行われていた「朝日杯FS」と、2014年以降に阪神で行われている『朝日杯FS』は、レース名は同じでも、レースが施行される背景は変貌を遂げました。 2000年以降に行われた朝日杯の勝ち馬と種牡馬を比較ください。 ■中山芝1600m ======== 2000年メジロベイリー(サンデーサイレンス) 2001年アドマイヤドン(ティンバーカントリー) 2002年エイシンチャンプ(ミシエロ) 2003年コスモサンビーム(ザグレブ) 2004年マイネルレコルト(チーフベアハート) 2005年フサイチリシャール(クロフネ) 2006年ドリームジャーニー(ステイゴールド) 2007年ゴスホークケン(Bernstein) 2008年セイウンワンダー(グラスワンダー) 2009年ローズキングダム(キングカメハメハ) 2010年グランプリボス(サクラバクシンオー) 2011年アルフレード(シンボリクリスエス) 2012年ロゴタイプ(ローエングリン) 2013年アジアエクスプレス(ヘニーヒューズ) ======== ■阪神芝1600m ======== 2014年ダノンプラチナ(ディープインパクト) 2015年リオンディーズ(キングカメハメハ) 2016年サトノアレス(ディープインパクト) 2017年ダノンプレミアム(ディープインパクト) 2018年アドマイヤマーズ(ダイワメジャー) 2019年サリオス(ハーツクライ) ======== 中山開催時代の朝日杯優勝馬と、阪神開催に替わってからの優勝馬を比較すれば、明らかに変わったのは、「種牡馬」です。 2000年のメジロベイリー(サンデーサイレンス)と、2009年のローズキングダム(キングカメハメハ)以外は、その時代をリードする種牡馬であったとは言えず、方向性もバラバラであったわけですが、 2014年に阪神競馬場に舞台が替わってからは、 ・ディープインパクト ・キングカメハメハ ・ダイワメジャー ・ハーツクライ 近年の日本競馬界を引っ張ってきた種牡馬の産駒に、“まとめられていた”のです。 すなわち、 『阪神芝1600mのGI優勝馬』に対して、「種牡馬価値」を見出す時代に水面下で移行するとともに、日本のトップ種牡馬たちの後継種牡馬を擁立するレースこそが、2014年以降の「朝日杯FS」の本質なのです。 2018年優勝馬アドマイヤマーズは、先日電撃引退を発表。 2018年「朝日杯FS」(阪神) 2019年「NHKマイルC」(東京) 2019年「香港マイル」(香港) 異なる地のマイルGIタイトルを3つ獲得し、4歳にして早くも引退。 4歳での引退はディープインパクトと同じですが、これまでは固めることができていなかった“ダイワメジャーの後継種牡馬”という期待の現われそのものです。 昨年の夏に逝去したディープインパクト、キングカメハメハに対し、ハーツクライ、ダイワメジャーは生きておりますが、この2頭はキングカメハメハと同世代の活躍馬であり、年齢や体調面で、種牡馬として「厳しい」段階にあるのが実情なのです。 「アドマイヤマーズを4歳で引退させた」ということからも、ご察しいただけると思います。 また昨年2019年の朝日杯FSをハーツクライ産駒のサリオスが優勝した際には、ノーザンファーム代表の吉田勝己氏が、「マイルをあの時計で走れるのは種牡馬としても魅力的」とすでに種牡馬入りを明言していたこともすべてを物語っています。 2014年以降の朝日杯FSは、「種牡馬価値」に影響を与えるレースに変わったのです。 2014年の勝ち馬ダノンプラチナは日本国内ではなく、南アフリカ共和国で2018年に種牡馬入り。年間100頭を越える種付けのニーズも生まれており、“ディープインパクトの血”は世界各地に広まり始めています。 ダノンプラチナが獲得したGIタイトルは、朝日杯FSのみ。 それでも海外が強く求めた理由は明確です。 ダノンプラチナは、 [父ディープインパクト×母父Unbridled's Song] という配合。 皆様もご存知の通り、今年無敗の三冠馬となったコントレイルと同じです。 これ以上の話は規制の領域を越えてしまうため、朝日杯FSについてはここまで。 それでは、今週の本題である<REVELATION RACE LIST>に話題を移します。 ■土曜 中山9R「ひいらぎ賞」 ■日曜 中山11R「ディセンバーS」 今回は中山競馬場で行われる2レース。 「ひいらぎ賞」2歳1勝クラス 「ディセンバーS」3歳以上OP 有馬記念を翌週に控えているからこそ、この2戦を通じて、注目しておいていただきたい“厩舎”が存在します。 それは、フィエールマンを管理する美浦の【手塚貴久厩舎】。 今の日本競馬界では、もっとも「潤滑油」的な立ち回りが上手い厩舎と申しましょうか。 2011年 ・朝日杯FS(アルフレード) 2013年 ・桜花賞(アユサン) ・朝日杯FS(アジアエクスプレス) 2018年 ・菊花賞(フィエールマン) 2019年 ・天皇賞春(フィエールマン) 2020年 ・天皇賞春(フィエールマン) これまで4頭で6つのGIタイトルを獲得し、実績を積み重ねている厩舎です。 2020年は12月18日現在31勝。 チューリップ賞(マルターズディオサ) フローラS(ウインマリリン) 天皇賞春(フィエールマン) 紫苑S(マルターズディオサ) リーディングの順位は突出しているわけではありませんが、上記の通り今年は重賞を4勝しています。 先週行われた阪神JFで3着となったユーバーレーベンが、手塚厩舎の管理馬にあたるわけですが、ユーバーレーベンは岡田一族のクラブ法人である「サラブレッドクラブ・ラフィアン」の所有馬であり、フローラSを勝ったウインマリリンも岡田一族のクラブ法人である「ウイン」が所有しています。 簡潔に申し上げるならば、 社台グループと岡田一族、双方から信頼を得ているわけですが、このようなことが出来るのは、「手塚厩舎だから」といっても過言ではありません。 GIレースに管理馬をよく送り込む厩舎の管理馬構成を比較すれば、一目瞭然です。 リーディング順位 1位 矢作芳人厩舎(岡田一族0頭) 2位 友道康夫厩舎(岡田一族0頭) 3位 堀宣行厩舎 (岡田一族0頭) 4位 安田隆行厩舎(岡田一族0頭) 5位 藤沢和雄厩舎(岡田一族0頭) 6位 国枝栄厩舎 (岡田一族0頭) 7位 杉山晴紀厩舎(岡田一族3頭) 8位 池江泰寿厩舎(岡田一族0頭) 9位 清水久詞厩舎(岡田一族2頭) 10位 西村真幸厩舎(岡田一族0頭) 11位 藤原英昭厩舎(岡田一族0頭) 12位 音無秀孝厩舎(岡田一族0頭) 13位 須貝尚介厩舎(岡田一族0頭) 14位 木村哲也厩舎(岡田一族0頭) 15位 伊藤圭三厩舎(岡田一族4頭) 有馬記念を制したマツリダゴッホや、天皇賞春を制したマイネルキッツを管理していた国枝栄厩舎でさえ、いまは預託ゼロ。 7位の杉山厩舎はノルマンディーのデアリングタクトで牝馬三冠を達成しましたが、社台系からの厚遇を受けている厩舎ではありません。 15位の伊藤圭三厩舎は、社台ファーム生産馬4頭を管理しているものの、ノーザンファームの生産馬はゼロ。それでも上位にいるのは“ゴドルフィン”のバックアップが大きい厩舎です。 手塚厩舎もラフィアンやウインといった岡田一族の所有馬で、現役で管理しているのは「4頭」と多いわけではありませんが、重賞で活躍するような馬を任されているのです。 何が異質かといえば、 ノーザンファーム23頭 社台ファーム3頭 白老ファーム1頭 追分ファーム1頭 管理馬56頭中、半数の28頭が社台系生産馬であるように「社台グループ」からの厚遇がある厩舎ながらに、岡田一族の馬も重賞で活躍させているわけです。 リーディング上位に君臨する多くの厩舎とは、明らかに異なるわけですが、勝ち星の数を競うリーディング争いでは目立たなくとも、重賞実績を見れば決して、トップ厩舎に劣るとはいえないのが手塚厩舎です。 リーディングの上位争いに加わっていないのは、 ・主役になる ・引き立て役に回る ・調整役としてバランスを図る 社台グループ、岡田一族だけでなく、懇意にしている下河辺牧場等々の各牧場に顔が立つように上手くバランスをとっていることの弊害とも言えなくはありません。 とはいえ、リーディングが全てということはなく、リーディング争いには反映されないところに、レースに影響を与えることになる「牧場と厩舎の関係性」が隠されていることを、皆様には知っておいていただきたいのです。 リーディング争いに注目が集まる時期だからこそ、リーディングばかりに目を奪われてしまっては、本質を見失うことになります。 木を見て、森を見ず。 この言葉の通りではないでしょうか。 リーディング上位に加わっていない手塚厩舎が、1999年の開業以来積み重ねてきた中央の重賞勝利数は、27個。 「数打てば当たる」ではないということは、想像に難くはないでしょう。 主張することだけが、勝ちに繋がるわけではありません。 バランスを図る側として貢献すれば、その時は「勝ち星」を諦めなければならなかったとしても、あとで「勝ち星」はついて回るものです。 政治の世界も共通するでしょうが、競馬界においても「政治力」は立派な武器になるのです。 【社台グループ】・・[手塚貴久厩舎]・・【岡田一族】 このような関係性で、「バランスを図れる立場」「間に挟まれる立場」になるわけですが、 土曜 中山9R「ひいらぎ賞」 シュネルマイスター 手塚貴久厩舎 馬主:サンデーレーシング 生産:ノーザンファーム 日曜 中山11R ディセンバーS マイネルファンロン 手塚貴久厩舎 馬主:サラブレッドクラブ・ラフィアン 生産:ビッグレッドファーム この2レースは、上記でお伝えしたことを前提に、手塚貴久厩舎が送り込むシュネルマイスター(ひいらぎ賞)とマイネルファンロン(ディセンバーS)が、それぞれどのようなミッションが課されているのかという視点で注目してみてください。 ■土曜 中山9R ひいらぎ賞 <社台系>2頭 アヴァノス シュネルマイスター <岡田一族>4頭 ワザモノ コスモアシュラ グロリユーノワール ウインミニヨン <その他>6頭 マウンテンムスメ アラビアンナイト サニーオーシャン マルス トーセンマッシモ サクセスエース ■日曜 中山11R ディセンバーS <社台系>7頭 サトノダムゼル パッシングスルー ホウオウピースフル マウントゴールド ルミナスウォリアー レッドサイオン ロシュフォール <岡田一族>4頭 ウインイクシード コスモカレンドゥラ マイネルハニー マイネルファンロン <その他>4頭 アポロテネシー ガロアクリーク ショウナンライズ トーラスジェミニ 昨年2019年のディセンバーSは、 1着セダブリランテス(手塚厩舎/シルクレーシング) 2着ウインイクシード(ウイン) という決着でしたが、セダブリランテスは手塚貴久厩舎の管理馬にあたります。 なお、近年のディセンバーSを振り返ると、 2018年 1着アドマイヤリード(ノーザンファーム) 2着プロディガルサン(ノーザンファーム) 3着アストラエンブレム(ノーザンファーム) 4着ナイトオブナイツ(社台ファーム) 5着ハートレー(手塚厩舎/ノーザンファーム) 2017年 1着マイネルハニー(サラブレッドクラブ・ラフィアン) 2着ゲッカコウ(サラブレッドクラブ・ラフィアン) 3着グレーターロンドン(下河辺牧場) 4着ベルキャニオン(ノーザンファーム) 5着ハートレー(手塚厩舎/ノーザンファーム) このような決着だったわけですが、過去3年の結果を受けて、今年はどのようなバランスが図られるのかを想像してみてください。 ものごとには「順番」というものがあるのです。 有馬記念を前にして、手塚貴久厩舎の多彩な「政治力」を目の当たりにできるはずです。 今週は以上です。 JTTC日本競走馬育成評議会 種牡馬部門 吉田晋哉