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REVELATION DIRECTIVE

REVERATION DIRECTIVE[フェブラリーS週:2021/0220-21号]

■開催競馬場:東京/阪神/小倉 ■開催重賞:フェブラリーS/小倉大賞典/ダイヤモンドS/京都牝馬S ■執筆担当:松井彰二 ------------------------------------- <REVELATION RACE LIST> ■京都牝馬S ■ヒヤシンスS ■フェブラリーS ■サウジカップ ------------------------------------- 究極の1週間。 そう評してもいいのではないかと思える今週のラインナップ。 恩赦競走が『週2本』という、それこそ数十年に1度ともいえる1週間となる。 と同時に、日本では『フェブラリーS』が開催され、そして、海外では『サウジカップ』が開催されるという、世界のダート市場から見ても重要な週となるのが今週。 馬券発売こそ行われないサウジカップだが、日本ダート界においても大きな注目が寄せられている。 世界の主流は『コーナー4つのダート戦』であり、その意味でチャンピオンズC優勝馬のチュウワウィザードが挑戦することの意味は大きい。 昨年は、クリソベリル、ゴールドドリーム、といったゴールドアリュール産駒が世界に挑戦し、その壁に阻まれた結果となってしまったが、『砂と土』という全く違う馬場で行われる以上、別競技と言っても過言ではないだけに、本年のチュウワウィザードの挑戦がいかに『ダート利権を牛耳るいくつかのスタリオンオーナー』を困惑させたかは、想像に難くないだろう。 そして、世界の潮流とは真逆にある『東京ダ1600m』という特殊なコースで行われるフェブラリーS。 世界の競馬から見れば『特殊』という表現よりも、奇形、ゲテモノと評されることも多い東京ダ1600m。 芝の上でスタートを切り、世界でも珍しい『砂』の馬場で走るワンターンのレース。 しかも、ダートGIの中では世界一長い最後の直線が待ち構える東京競馬場。 世界の馬事産業界から見ても『フェブラリーS勝利の価値は種牡馬価値に還元しにくい』とまで言われているのである。 ゴールドドリームの引退。 チュウワウィザードの海外挑戦。 クリソベリルの故障による戦線離脱。 このような中、チュウワウィザードが『東京ダ1600』に見向きもせずに、世界へ駒を進めたことこそが、フェブラリーSが日本独自の発展を遂げた『特殊GI』であると証明している。さらに言えば本年のフェブラリーSは『ノーザンF生産馬がゼロ』という非常に珍しいGIとなっている。 2010年以降のフェブラリーSと言えばまさに『ゴールドアリュール産駒vs輸入(外国籍)種牡馬産駒』という構図で成り立っていたのがフェブラリーS。 ■ゴールドアリュール系 ・サンライズノヴァ ・オーベルニュ  ■輸入(外国籍)種牡馬産駒 ・エアアルマス ・インティ ・カフェファラオ ・ワンダーリーデル ・ワイドファラオ ・スマートダンディー ・ヤマニンアンプリメ ・ソリストサンダー ・ミューチャリー ■父内国産馬(ゴールドアリュール系以外) ・ヘリオス ・サクセスエナジー ・アルクトス ・エアスピネル ・レッドルゼル サウジカップとフェブラリーSの背後にまつわる思惑。 その結末がどのようなものになるのか、是非楽しみにして頂きたい。 そして、今週もまた競馬産業界の『究極の総意』が表出することになる『恩赦競走』が実施される。 しかも、その対象レースは2本。 一つが京都牝馬ステークス。 もう一つがヒヤシンスステークス。 まず、フェブラリーSではなく『ヒヤシンスS』が恩赦対象競走に選出されたことからも、現状のダート界がいかに早急なパラダイムシフトを求められているかが分かるのではないだろうか? 本年のヒヤシンスSに関しては、フェブラリーSの項で語った『ゴールドアリュール系』の出走馬は居ない。 そもそも、昨年のヒヤシンスSの結果から振り返れば、 ■2020年ヒヤシンスS 1着◎3カフェファラオ 2着▲12タガノビューティー 3着○10ヤウガウ 3連単2440円的中(2点) という結果であったこと。 そして、これが、令和第一期-第10回目の恩赦競走であったことを思い出していただける方も多いのではないかと思う。 あれから1年。 またしても、ヒヤシンスSが恩赦競走に選出されるわけだが、この超法規期間における思惑は、令和第一期の思惑とは若干異なる事は申し上げておきたい。 ヒヤシンスSと言えば『JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY』のポイント付加対象レースに選ばれているわけで、ある意味では日本人よりも、米国ホースマンの方が注目しているレースなのではないかと言える。 仮に日本ダービーのトライアルが海外で行われていれば、そのレースに注目しない日本人ホースマンは皆無であろうし、その意味においても『ヒヤシンスS』が置かれているポジションがどのようなものであるのか、御想像いただけるのではないだろうか。 『日本であって日本ではない』 ある意味では『インターナショナルスクール』とでも言えるような立ち位置にあるヒヤシンスS。 米国視点でこのレースを紐解けば『母父Empire Maker』を持つラペルーズに目線が向くはずでなのである。 エンパイアメーカー  ∟パイオニアオブザナイル    └アメリカンファラオ  と続く父系の血筋。 昨年のヒヤシンスSにて、アメリカンファラオ産駒のカフェファラオの勝利が必然であったことの背景には「エンパイアメーカー」にまつわる日米での様々な確執が背後に合った事は言うまでもない。 そして本年「アメリカンファラオ」の子供は出走していない。 いま世界中でアメリカンファラオ産駒を買い漁っているのが日本人であることは有名である。 「アメリカンファラオの子供なら日本人は何でも勝っていくぞ」 と揶揄されているのも事実である。 そんな2021年に輸入されたのがアメリカンファラオ産駒の「フォーウィールドライブ」。 繋養先はサラブレッドブリーダーズクラブが運営する「ブリダーズスタリオンステーション」 代表者は下河辺牧場代表の下河辺俊行氏が務めるが、近年「社台SSの2軍」と言われるようなラインナップを揃え、名称も「社台SS」「ブリーダーズSS」と、「スタリオンステーション」という名称を付けている事からも、「SSS」と「BSS」などのように、略す関係者も多い。 社台系の牧場ではない中でも「下河辺牧場」や「ケイアイファーム」が社台Gと蜜月関係にあることは、セレクトセールへの上場馬の頭数や、ディープインパクト産駒などの生産数でもご理解いただけると思う。 また、下河辺氏と言えばオーナーブリーダーが数多く在籍する「札幌馬主協会」の会長であり、その意味においても「表の吉田、裏の下河辺」と言われるほどに、日本の生産事業を更に進展させる意味でも必要不可欠な存在でもある。 さて、この「ブリダーズSS」が「フォーウィールドライブ」を購入輸入した事はどのような影響を日本の馬事産業に与えたのか? ここが今回のヒヤシンスSの肝となる。 もちろん、ラペルーズが勝つとかそのような単純な話ではない。 例えば、父でいえば「ダンカーク」「ヘニーヒューズ」「マジェスティックウォリアー」も米国で活躍した馬である。 その点を踏まえ『エンパイアメーカーから代表産駒を輩出しきれなかった日本生産界』を米国がどのように見ているのか? そして、逆に「日本生産界は、米国生産界にどのようなインパクトを与えたいのか?」という視点を同時に持つことが必要である。 フェブラリーSと同時に行われるという事。 サウジカップと同週に行われるという事。 ここが非常に重要な肝となるという事をお伝えし、ヒヤシンスSに関しての話は終了とする。 続いて、京都牝馬Sについて。 こちらはまさに先日のクイーンC同様「繁殖牝馬選出競走」ともいえる背景が恩赦競走としての根底に流れている。 ノーザンF 社台F ノースヒルズ 三島牧場 千代田牧場 岡田牧場 といった、生産界の中でも常に上位ランクに位置する牧場の生産馬が多いことからも、その意図に関してはご納得いっていただけるのではないだろうか? その上で、今回の出走馬いずれは繁殖となり、これらの父が、先々は「母父(ブルードメアサイアー)」として血統表に名を連ねる形となる訳だが、生産界にとっては「ブルードメアサイア―」としての実績は、既存種牡馬の価値づけとしても非常に重要となるばかりか、新種牡馬にとってみても「どの母父とニックスの関係になれるか」によっては、自らの種牡馬価値を一気に引き上げることに繋がるのである。 今回の出走馬の「父」として、現状の価値をさらに伸ばすためにここで競走戦績を積み上げさせておくのか? それとも、今回の出走馬が繁殖に上がった後に、未来の母父として「新たな配合相手の価値を伸ばす」ために、ここで競走戦績を積み上げておくのか? 仮に、後者であった場合には「数年後どの種牡馬を引き上げようとしているのか?」が重要であり、2.3年後のセリ市場から逆算したイメージを持つことが重要になる。 とりわけ、本年の京都牝馬Sの出走メンバーの父で、ゆくゆく「母父の立場」となる産駒が多数見込まれていて、現段階で産駒がデビューしていないのは、 母父ロードカナロア 母父オルフェーヴル であることは間違いない。 この2頭は共に「世界基準」の知名度を満たしており、日本のみならず海外のホースマン、オーナーからの覚えもめでたいということが非常に重要なポイントである。 勿論ハーツクライやダイワメジャーを知る海外ホースマンも居るが、これらの種牡馬は既にブルードメアサイア―としての産駒は世に出ている。 その意味でこの京都牝馬Sについては「未来のブルードメアサイア―」としての基盤づくりのレースであると言え、すなわち「恩赦競走の中でも非常に珍しい立ち位置」に属していると言える。 「どう珍しいのか」 については、この場でお伝えできることは無いが、御参加いただく皆様には「提供券種並びに点数には驚かないでいただきたい」と申し上げておく。 恩赦競走の中でも「かなり特殊」なレースであるからといって、的中に向けての精度は過去提供してきた恩赦競走と変わりはない。 以上が、今週この場で伝えられる「最大限のご報告」である。 そして、もう一つ申し上げられるとすれば、来週恩赦競走として予定している「すみれS」以降の恩赦競走に関して、更に「一段引き上げられた状態に突入する事が確実視されている」という事。 これは、現在競馬界を賑わせてしまっている「持続化給付金の不正受給問題」の背景にも関わってくる話であり、今回の失態をいかにして火消しするのか?というテーマも加わってくるという事は、お伝えしておきたいと思う。 2021年最初のGI開催であり、そこに恩赦競走が2本加わる週である。 さらに加速するパラダイムシフトの恩恵を存分に堪能していただきたい。 また、お時間が許す限りサウジカップに関してもLIVEでの視聴をお進めしておきたい。 JTTC日本競走馬育成評議会 松井彰二