プライベートギフト
9月11日(土)中京12R 3歳上2勝クラス
掲載日:2021年9月11日
■■プライベートギフト■■
中京12R 3歳以上2勝クラス
16時10分発走
ダート1200m/16頭
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プライベートランク:☆
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<評価順>
◎15 ララクリュサオル
○8 パドカトル
▲13 メラナイト
☆11 ラインガルーダ
☆2 ショウブ
△6 アイティナリー
△9 アストロノーティカ
△10 サウンドサンビーム
<◎の見解>
中京ダート1200mを舞台に行われる3歳上2勝クラスの一戦。
当会が本命に指名するのは栗東・辻野厩舎の管理馬にあたる◎ララクリュサオル。
◎ララクリュサオル(牡5歳)
父:Speightstown
母:Lindy
馬主:フジイ興産(株)
生産牧場:Ranjan Racing Inc.
栴檀は双葉より芳し。
大成する者は幼少時より才気を垣間見せるという諺だが、本馬のデビュー戦はまさにこの表現を彷彿させるものだった。
初レースの舞台は京都ダート1400m。スタート後、先頭争いを制してハナに立つと、後続に突かれながら先頭をキープ。そして4コーナーを回ると、そこから他馬を突き放して独走態勢に。直線だけで2着以下を千切り “大差”でゴール板を駆け抜けた。
2着馬につけた着差は「2秒1」。ダートの新馬戦で後続に2秒以上の差をつけて勝った馬は、過去10年で本馬を含めて、たった6頭。
すでに引退した3頭はその後3勝以上勝ち星を積み上げており、そのうちの一頭・クロスクリーガーはレパードSを制覇、ジャパンダートダービーでも2着に入る活躍。残る3頭は現役馬だが、4歳のシェダルはすでにオープン入りを果たしている。
過去の活躍馬に比肩する◎ララクリュサオルへの期待がいかほどのものだったか。改めて申し上げるまでもないだろう。
もうひとつ、本馬のデビュー戦で注目すべきは、最後のラップ推移。ラスト3F目から2F目にかけて「12秒4-11秒9」とラップを0秒5も上げているのだ。
通常、ダートの短距離戦は最後消耗戦となって、ラスト3Fは減速ラップになるのが常。せいぜいコンマ1秒か2秒上がればいいところを、同馬は0秒5も加速して後続を突き放している。
つまり、ほかの馬がタレて着差をつけたのではなく、己の瞬発力であそこまでの大差に広げたのである。これは“並の強い馬”でも成し得る芸当ではない。
では、なぜそこまでの強さを見せた馬が、いまだ2勝クラスに留まっているのか。
同馬に関しては一言、ツキがなかった、という言葉に集約されるのかもしれない。
3着だった2戦目の勝ち馬はレッドルゼル。のちに根岸Sを制し、フェブラリーSでも4着に健闘した能力馬だ。しかも向こうはデビュー4戦目であり、キャリアの差が明暗を分けた格好だった。
さらにその後は屈腱炎を発症し、1年9カ月にも及ぶ休養を余儀なくされる。
ようやく戦線復帰できたかと思えば、初戦はスタートで落馬。2戦目は小倉ダート1000mで取りこぼし。1勝クラスを勝ち上がったあとの2戦は、勝ち馬がいずれもオープン級の能力を秘めた馬(2走前の勝ち馬バーティナシティはすでにオープン入り)で、いかにも相手が悪かった。
前走、良馬場での1分10秒1というタイムは2勝クラスはおろか、オープンでも勝ち負けできる時計。相手関係が違っていれば、すでにオープン馬になっていてもおかしくないことはご理解いただけるだろう。このクラスで足踏みしている馬ではない。
また、オーナーサイドが今年、この馬に大きな期待をかけていることも透けて見える。
というのも、本馬は今年の4月に今野厩舎から辻野厩舎へと転厩しているのだ。
オーナーサイドが今野厩舎と関係が悪くなったわけではなく、同厩舎には別の所有馬を現在も預けている。一方、転厩先の辻野厩舎は本馬が初めての預託馬だ。
辻野厩舎は角居厩舎で数々の名馬を手掛け、勇退した角居厩舎を引き継いで開業した期待の新鋭ステーブル。角居厩舎は屈腱炎だったカネヒキリを見事に復活させてGI3連勝を果たすなど、故障持ちの馬の扱いにも定評がある。
この転厩が、脚元に不安を抱える本馬をどうしても大成させたいという思いからの措置であることはお察しいただけると思うが、厩舎サイドもそれを承知だからこそ、今回は中1週で特別戦ではなく平場戦に使ってきたのだ。
鞍上の中井騎手を心配する向きもあろうが、同騎手は前走後「(近走で)確実にレベルアップしている」と必死に訴え、リベンジを公に誓っている。これほどの素質を持った馬に跨るチャンスも少ないだけに、ここに懸ける気持ちは誰よりも強い。
前述のとおり、まだまだ上を目指せるポテンシャルを秘めた馬。
ここは能力を出し切る鞍上の手綱さばきに期待したい。